教員の時間外勤務は減少傾向にあるが、対策に手詰まり感も出ている。長野県内の教員にアンケートしたところ「82%が時間内に仕事が処理できない」と回答したという。県教委は「教員の本来の業務」について、市町村やPTAなどと連携し共同メッセージを発信したい考えだ。

時間外勤務…この形では限界

志望者の減少や人手不足。教育の質の低下を避けるためにも対策が急がれるのが「教員の働き方改革」。

2月13日、長野県教委らが推進会議を開いた。

県教委の内堀繁利教育長は、「時間外勤務時間の縮減が図られてきているが、この形で進めていくことには限界を感じている。新たな視点を加えて、改革を進めていくことが必要だろう」と述べた。

長野県教育委員会・内堀繁利教育長
長野県教育委員会・内堀繁利教育長
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改革に手詰まり感

県教委の調査によると、小中学校の教職員の4月・5月の時間外勤務は2017年は平均で63時間を超えていた。

その後、部活動を地域や民間団体に委ねる「地域移行」や行事の削減などを進め、2023年は50時間余りと大幅に改善した。

しかし、減少のペースは鈍化している。2022年に比べるとわずか1%の減少にとどまった。

県は時間外勤務について1カ月で45時間以内を目標にしているが、「手詰まり感」も指摘されている。

資料
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「82%が時間内に仕事処理できず」

県教委義務教育課の企画幹によると、県内の教員900人にアンケートしたところ、82%が時間内に仕事が処理できないと回答。時間外勤務をさらに削減するためにはいったい何をすればいいのかという声が上がっているという。

また、県PTA連合会の副会長は、「業務のいるいらないを分けたり、これはこの人がやらなくてもいいよね、全体でできるよねと共有して行えば、時間外勤務の時間は減るのでは」と話した。

長野県教育委員会らが推進会議
長野県教育委員会らが推進会議

教員の本来の業務は…

現在も学校業務に関係のない電話対応や登下校の児童生徒の見守りなどが負担になっていることが多いという。

教員の「本来の業務」とは何なのかー。

県教委は今後、市町村やPTAなどとも協力し、教員が担うべき本来の業務について「共同メッセージ」を発信する方針。

県教育長は、「業務を見直して、教員がやりたい、追求したいことができるよう裁量権を持てる時間を増やしていくことが大事」と話した。

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(長野放送)

長野放送
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