能登半島地震の被災地から集団避難していた石川県輪島市の中学生の一部が、保護者の同意がないまま地元に戻されていたことが分かった。これを受け、輪島市の教育長が謝罪した。
「トップとして痛恨の極み」教育長謝罪
輪島市・小川正教育長:
教育行政を預かるトップとして痛恨の極みです。本当に心から関係の皆さま、何をおいても生徒、そしてその保護者、関係者に心からおわび申し上げます
能登半島地震で校舎などに大きな被害が出た輪島市は、市内に3つある中学校のうち、希望する約250人が親元を離れて白山市に集団避難している。
このうち東陽中学校と門前中学校の生徒について、市内で授業ができる環境が整ったとして、4日までに避難を解除し、全員を保護者のもとに帰していたことが分かった。しかし、ここに保護者の同意はなかったという。
東陽中学校PTA・川原伸章会長:
(家に)住めない状況になって避難所暮らしをしている人もいるわけです。子どもたちが戻ってくるって言われた瞬間に皆さん困惑していたんです。避難所にいても子どもたちが安心して暮らせる環境がない、学べる環境がない
「他の方に内密に」“集団避難解除”通知
保護者の話を総合すると、1月下旬に輪島市から「集団避難を解除する可能性がある。しかし、他の保護者には内密にしてください」と連絡があった。
そして2月になって突如「集団避難解除」の通知があり、市に問い合わせたところ、「あなた以外の皆さんは同意されている」と考え直してもらえなかったという。実際には全員の保護者が同意したわけではなかった。
東陽中学校PTA・川原伸章会長:
大人の1年と子どもの1年は違います。子どもの時間、環境を本当に守ってあげてほしい。そのために動いてほしい
FNNの取材に対し、小川正教育長は「地元に戻れること」を伝えたつもりだったが、選択肢がないかのような誤解を与える伝え方だったと謝罪した。
輪島市教育委員会・小川正教育長:
結果として保護者の皆さまは、「なんだこの紙切れ、帰れということか」と。まったくおっしゃる通りです。これはなんの弁解の余地もありません。自分の不手際です、本当に申し訳ございません
馳浩知事「丁寧にしていただきたい」
これについて馳知事は「報告はありません、今初めてお伺いしました。保護者の皆さんとの同意を踏まえて次の計画に進んでいく。学校・教育活動の基本中の基本であります。丁寧にしていただきたいと思います」と述べた。
輪島市によると、今後、輪島市で授業を受けるか再び白山市に避難するかの意向を改めて聞き取って対応するとしている。
(石川テレビ)