宮城県石巻市の通学路となっている市道交差点に1月26日、「1基の信号機」が設置された。
この場所では信号設置の約2カ月前に横断歩道を歩いて渡っていた7歳の女の子が軽トラックにはねられる痛ましい事故が起きた。女の子は意識不明の重体で病院に運ばれた。現場近くの住民たちは交差点の交通量の多さやスピードを緩めない車が多いことから、早期の信号機設置を求めて要望書を出していた。

住民が不安の声あげる中、7歳女児が事故に…

 事故は2023年11月21日午後4時半ごろに起きた。

 宮城県石巻市中屋敷1丁目にある横断歩道を歩いて渡っていた7歳の女の子が、交差点を直進してきた軽トラックにはねられ、意識不明の重体で病院に運ばれた。

宮城県石巻市の事故現場(2023年11月21日撮影)
宮城県石巻市の事故現場(2023年11月21日撮影)
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交通量多い交差点 住民から度重なる要望

 事故があった市道は、石巻市の海岸から1キロほどの場所にある。2011年に起きた東日本大震災後の復興事業として整備され、2023年3月に全線開通を迎えた。

 しかし近くに住む人は「朝と夕方は交通量が多く、中には高速道路並みのスピードで走っていく車や、一時停止をしない車もあった」と話す。

 事故現場の上釜町内会・阿部貞男会長も不安を抱く一人だった。2023年7月と事故が起きたあとの計2回、町内会として、信号機の設置などを石巻市に要望した。

町内会が2023年11月に提出した要望書
町内会が2023年11月に提出した要望書

「(要望の理由は)地域住民の犠牲を出したくない。それしかない。ましてや、あそこは通学路になっているので、子供たちが事故にあったのではまずいので」              (上釜町内会・阿部貞男会長)

上釜町内会・阿部貞男会長
上釜町内会・阿部貞男会長

 宮城県警も対策に乗り出そうとしていた。事故の前から、住民の要望も受けて2025年度中に信号機を設置する計画だった。しかし事故の発生を受けて急きょ前倒しすることを決定。事故から約2カ月後の設置となった。

信号機の設置要望は年間“数百件” 

 宮城県警によると、信号機の設置要望は、県内各地から毎年、数百件寄せられている。2022年度は300件以上あった中、8基の信号機が設置された。

 警察は要望を受けて、交通量や渋滞が発生しているかなどを調べた上で、必要性が認められた場所に信号機を設置しているという。

ハードだけでなく...重要なドライバーの意識

 信号機の設置を受けて近くの住民からは「子供たちも危ないと思っていたから(信号機が)ついて良かった」や「年寄りにはありがたい」などの声が聞かれた。

 一方、2024年の宮城県内の交通死亡事故は、1月22日時点で「7件」と、去年の同じ時期と比べて3件も増加している。交通死亡事故の多くは、スピードの出しすぎや、交差点での安全確認を怠るケースが目立つとされるが、警察は、特にこの冬は「暖冬」で積雪が少ないことから、スピードを落とさないドライバーが多い傾向にあるとみている。

要望書を出した上釜町内会・阿部貞男会長はこうも話す。

「信号機置いたからって事故ゼロになるわけではないので、通る人たちは色々な思いを持ちながら交通安全に気を付けてほしい」
(上釜町内会・阿部貞男会長)

子供たちの安全を守るために。そして事故を繰り返さないために。

ハンドルを握る際は、安全運転の意識を改めて強く持つ必要がある。

(仙台放送)

仙台放送
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