議員や会計責任者が立件され、派閥の解散にまで発展した裏金問題。

渦中の安倍派の事務総長も務めた兵庫県選出の西村康稔議員と中継をつないで、「裏金問題の真相」、「キックバックやめられなかった?」、「政治とカネ今後どうする?」などについて聞いていく。

■地元で説明責任を優先、政治刷新本部会議は欠席

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西村議員は地元の兵庫県明石市から番組へ出演ということだが、23日、自民党本部で政治刷新本部会議があった。これには出席しなくても大丈夫だったろうか?

自民党 西村康稔議員:いま(番組VTRで)地元の皆さんから非常に厳しい声をお聞きしましたし、現にそうした声をいただいております。真摯に受け止め、記者会見を開きましたが、地元の皆さんにもしっかりと説明責任を果たして行くことが、大事だと思っています。まずはそのことを一生懸命やりたい。

地元では何をされていたのか?

自民党 西村康稔議員:まず会見で説明した内容などをまとめたペーパー、いわゆるチラシ作りです。それをベースに駅で話をして、23日は地域の皆さまのところにお邪魔をして、なかなか広いですから、いっぺんには回れませんが、皆さんにご理解をいただけるように取り組んでいます。説明責任をしっかりと果たしたいと思っております。

■西村議員「ノルマを超えた分について意識したことがない」

地元の方や有権者も気になっている、西村康稔議員の裏金問題について現状を見ていく。

西村議員は19日の会見で自身の裏金問題について、秘書に「パーティー券はノルマ分だけ売ればいい」と指示していたので、還付金(キックバック)については把握していなかった。ちなみに2022年までの5年間でキックバックは計100万円となっている。ただこの還付金について秘書によると、全く記載しなかったわけではなく、担当者の判断で西村議員本人のパーティー収入として報告していたということだ。また「安倍派が解散することは安倍首相に対して大変申し訳ない」と話した。

事務総長という立場を経験しているが、キックバックは把握しなかったと、本当に知らなかったのだろうか?

自民党 西村康稔議員:実は2009年に総裁選立候補する時に清和会を離れまして、それから数年間は無派閥で活動しておりました。そして安倍総理第2次政権ができた時に、清和会に戻りました。その後は内閣府の副大臣、官房副長官そしてコロナの担当大臣、経産大臣とほぼ政府で活動しておりました。清和会の役員となって、運営に携わったのは、コロナの担当大臣を終えて、経産大臣になるまでの1年間でした。正直、パーティーに関わってきたことがありません。私自身も、ノルマ分だけ売ればいいと取り組んできましたから、ノルマを超えた分のことについて意識したことがありません。

自民党 西村康稔議員:秘書の判断で、裏金ではない、裏金にしたくないという気持ちがあったのだと思いますけれども、私自身の政治資金パーティーの収入の一部に入れ、政治資金として記載し活用しておりました。裏金とか個人の所得ではありません。これは全ての通帳、帳簿を全部、検察に提出し、そしてそれはいつ記入されているのかなど全部調べた上で、このような判断に認定をいただいております。ただ私自身、十分に目が行き届いていなかったことは、反省しなければいけないと深く反省をしています。

■公設秘書はすでに退職

秘書とはどういう話を、どのように秘書は話していのか?

自民党 西村康稔議員:初当選以来、政治資金報告書をしっかりと適正にやるようにと、非常に強く伝えておりましたので、派閥を離れていたのも長かったですし、ノルマはあまり意識したことがありませんでした。ましてや、それを超える分の話を意識したことはないというのが正直なところです。ただ今回の事件が報道され、表面化して行く中で確認をしたところ、還付金があったという事がわかり、その時点で処理の仕方も聞きました。処理の仕方は私自身のパーティー収入の中に入れて、政治資金として活用していたということですが、本来は、清和会からの寄附として記載しなければいけないという当局からの指摘も、真摯に受け止めて近々、収支報告書は修正しようと思っております。

担当者の判断でもあったということだが、この担当者は今後どのような処遇になるのだろうか?

自民党 西村康稔議員:私の目が行き届いてなかったことは、反省をしています。政策秘書として、私が初当選以来、長年務めてくれたこの秘書ですが、実は家庭の事情、年齢的な事情もあって、いまは顧問という形で週に1回程度、新しい若い秘書たちの指導に当たってくれております。したがって、公設秘書はすでに2022年の春頃には外れています。

■派閥からの指示はなく、秘書の判断で政治資金パーティーの収入へ記載

担当者が100万円のキックバックについては西村議員のパーティー収入に入れたという話だが、関西テレビの取材では、キックバックした資金については、派閥から議員に個人のパーティーの収入として記載していいと要請があったと聞いているのだが、そういった指示はなかったのだろうか?

自民党 西村康稔議員:それは聞いておりません。私自身は秘書と話した中では、裏金としたくないと、なんとなく気持ち悪いお金であります。5年間、年間で20万前後のお金ですけれども、政治資金として活用すべきだという判断で、私自身の政治資金パーティーの何回かやった中の一部として、記載をしていたと聞いています。

西村議員としてはあくまでも、派閥からキックバックに関しての指示がなかった。これまでもなかったという理解だろうか?

自民党 西村康稔議員:私自身は聞いておりませんし、秘書がどのような話をしたかは、それ以上のことは聞いておりません。ただ若い議員のみなさんからは、派閥の事務局から記載しなくていいと話を聞いていたということは、間接的にも聞いております。若い議員の皆さんは、書かなくていいお金だと思って、記載しなかったと聞いておりますから、本人の責任ももちろんありますが、裏金にしようという思いはなかったと思います。その意味で、若い議員にとっては本当に傷が大きいと思います。そうした議員のサポートをしっかりやらなきゃいけないと思っています。

■キックバックは廃止する予定だった?

長年続いてきた安倍派のパーティー券収入のキックバックは、実は過去に廃止する方針が一度決まったものの、その後に復活していたことが明らかになっている。しかし誰がなぜキックバックを復活させたのか、未だ明らかになっていない。西村議員をはじめ幹部が「知らない」、「分からない」と話していますが、どう受け止めているのだろうか?

自民党 西村康稔議員:令和4年4月になってからだと思いますが、安倍首相から『還付はやめよう』とお話をいただいて、その後、幹部の間で還付をやめると話し合いが行われておりました。その中で、まさに松本事務局長の刑事裁判に関わる話ですので、詳細は控えたいと思いますけども、私が何か還付をすること、あるいは収支報告書の不記載を指示したり、了承したことは一切ありません。私は8月10日に経済産業大臣に就任をしたので、それ以降はこの資金の問題を幹部の間で話したことはありません。私が申し上げるのは以上であります。いずれにしても、今後、裁判を控えているということで、これ以上の詳細は控えたいと思います。

西村議員の後、高木議員も事務総長になったが、「わからない」と言っている。しかしキックバックが復活している。会長も今、話が聞けないので、会計責任者が独断でやったという見方もできるのだが、そのあたりはどうだろうか?

自民党 西村康稔議員:安倍会長の意向を受けて、還付は行わないという方向で、ずっと話し合いが行われました。毎日、毎日やるわけでもなく、参議院選挙がありましたので、話し合いが行われている中で、私から申し上げられるのは、私自身が何か還付を指示したり、あるいは不記載を支持したり、あるいはそうしたことを了承したりしたことはありません。それから8月10日に経済産業大臣に就任しましたので、それ以降のことは全く分かりません。資金について何か話し合ったことはありません。私が知っている範囲はその範囲です。

■事務総長は会計には関与しない「ここまで大きな話になるとは…」

西村議員がいる間は、「キックバックはやめよう」と幹部全員の中での認識だったということだが、19日の会見ではキックバックの存在は知らなかったと話をしていた。2022年4月の時点で安倍元首相が「キックバックやめよう」と話をしたということは、その時点では、もう知っていたのだろうか?

自民党 西村康稔議員:私自身は清和会に戻ってから、ほとんど政府の立場で仕事をしていました。コロナの担当大臣をへて、経産大臣になるまでの1年間、令和3年の10月から令和4年の8月まで。それまで派閥の運営とかパーティーのことに関わったことは、ほとんどありません。私自身はノルマ分だけ売ればいいと指示しておりましたので、ノルマ分あるいは還付の意識をしたことはありませんでした。令和4年の4月になって、安倍会長から『こういう話があるようだけど、これはやめよう』ということで、その時点で意識するようになったという状況です。

初めてキックバックの話が出た時は、西村議員はどう思われたのだろうか?

自民党 西村康稔議員:安倍首相が『現金で返すような不透明なことはやめよう』ということをおっしゃったので、私自身は特に今回の事件の全体を見て、こういうことがあったのかというのが、正直なところです。その時点で誰がどのぐらいの金額という話はなく、ここまで大きな話になるとは思っていませんでした。しかし。現金で戻すような不透明なことをやめようという安倍会長の意向を受けて、やめる方向で話し合いを進めてきたというのが真実です。

西村議員は指示していなかったということだが、これだけ大きな問題になった。今後、調査するつもりはあるのか?

自民党 西村康稔議員:事務総長として会計には関与しないというのは、これまでの習わしでしたので、当時も会計も収支報告書の事も会長と事務局長でやっていましたので、そんなところまで意識が及びませんでした。今の時点では取り調べを受けている人、あるいは自主的に修正する人があると思いますけれども、近々、清和会の方で収支報告書を訂正することになるので、それを受けて、各議員がそれぞれの収支報告書を修正することになります。かなりの部分が明らかになってくると思っております。

■議員が口裏を合わせたり調整はしていない

西村議員の収入に関しては、政治資金として記載の仕方が誤っていたという事だが、やっぱりそれは通常の民間企業では許されないことだ。また幹部は「知らない」と口をそろえていて、派閥のガバナンスとして、誰かしら背景にあったことを説明するなり、つまびらかにしていくという姿勢ではない。そのあたり個人と派閥それぞれについてどのように考えているのだろうか?

自民党 西村康稔議員:まず私自身の問題については、秘書からは適正に収支報告がなされていると聞いており、私自身もそう認識をしておりました。このようなことがあったというのは、事件が明らかになって、表面化してから確認をして、還付金があったと言うことです。そして私自身の政治資金パーティーに政治資金として入れたということですので、何か私が個人の収入とか裏金に使ったということではありませんので、この点は申し上げたい。しかし私自身、目が行き届かなかった点は、反省をしなきゃいけないと思います。今後こうしたことがないように、しっかりと目配りしなきゃいけない、おわびしなきゃいけないと思っております。

自民党 西村康稔議員:清和会については、それぞれの幹部が別々に当局の求めに応じて、捜査に協力をしてきております。私自身については、通帳も帳簿もいろんなメモも提出をしておりますので、それぞれの議員がそのように対応しているだろうと思いますが、何か口裏合わせたり、調整したりということはありませんので、それぞれの議員の記憶、記録に基づいて話をしているのだと思います。私自身の記憶については、先ほど申し上げたように、何か私が還付や不記載を指示したり、了承したことはありませんし、法令に違反するようなことを指示した、あるいは推奨したようなこともありません。

■政治家の監督責任は当然ある

ここで視聴者から質問。
‐Q:会計責任者が責任を負う法律を変えるべきだと思いますか?
自民党 西村康稔議員:私は政治家も、一定の責任を取らなきゃいけないと思います。刷新本部に出てないですから、どんな議論が行われているかわかりませんけれども、政治家の監督責任は当然あると思います。

‐Q:今後も総理総裁を目指しますか?
自民党 西村康稔議員:今は将来のことを全く考えている余裕はありません。まさに地元で厳しいお声をいただいておりますので、まずは説明責任をしっかり果たしたいと。そのことを一生懸命やりたいと。そしてこのようなことが二度とないように、初心に戻ってこれまで以上に、精進しなきゃいけないと思っているところであります。

(関西テレビ「newsランナー」2024年1月23日放送)

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