次世代の山形県警を担う若手警察官を称える「山形県民の警察官」。2023年度の受賞者のひとりは、語学力を活かして地域の治安維持などに奮闘する警察官だ。努力を惜しまない姿は、同僚や後輩の模範となっている。
語学力を生かし地域の治安を維持
1997年に警察官を拝命した尾花沢警察署の阿曽潤警部補(49)は、警務係の係長として署内の環境調整役を担っている。

山形県民の警察官・阿曽潤警部補:
会議や研修会、署員に対する教養などを企画・実施している。代表的なものとして、警察署協議会がある。部内だけではなく一般の会議もあるので、いろいろな調整が必要になってくる

そんな阿曽警部補が得意とするのは、中国の方言の一つの「北京語」だ。語学力を生かした地域の治安維持が評価され、2023年度の「山形県民の警察官」に選ばれた。

北京語で観光客に「私は警察官です。日本は初めてですか?」と尋ねた阿曽警部補。「銀山温泉は初めて」と話す観光客に、阿曽警部補は「雪でとても滑るから気をつけて」と気遣っていた。
尾花沢警察署が管轄する銀山温泉は近年、外国人観光客が多く訪れるようになった。県警の「北京語指定通訳員」の阿曽警部補は、外国人によるトラブルや交通事故が起きた際、すぐに駆けつけ通訳にあたるなどしている。
加えて住民の協力を得ながら地域の問題を解決していく調整力も、今回高く評価された。

山形県民の警察官・阿曽潤警部補:
(夜光反射材ベストを着けた)「交通安全見守りかかし」は、銀山温泉付近で交通死亡事故が発生して、地域住民から「交通安全かかしを設置したらいいんじゃないか」という意見を受けて設置した。困りごとや意見などに耳を傾けるようにしている
署員の教養を高めるため、警務課が行うさまざまな企画でも「地域とのつながり」を大切にしている。
住民に寄り添い安心感を与える
ある日、阿曽警部補は2023年の陶芸教室でお世話になった「上の畑焼」の工房を訪れた。

熱心に聞いていたのは、警察とは関係なさそうな陶芸の話だった。しかし、阿曽警部補は「住民の暮らしを知って心の距離を縮めることが、スムーズな問題解決や治安の維持につながる」、そんな信念を持っている。

山形県民の警察官・阿曽潤警部補:
尾花沢・大石田というそれほど大きくない地域では、お互いを知る近所付き合いのような付き合い方が大事。これまで以上に幅広い方々の意見を聞けるように、いろいろな場に足を運びたい

尾花沢警察署・甲州敏伸次長:
銀山温泉の周りの方からも「大変助かっている」との声をもらっている。語学をやりたいという署員も増えている。わが署にはなくてはならない存在
そして甲州次長は、北京語で「『山形県民の警察官』の受賞おめでとうございます。私もうれしいです。引き続き頑張ってください」と激励した。
住民に寄り添い、安心感を与えるのが警察官の本分。努力を惜しまないその姿は、同僚や後輩警察官の模範となっている。
(さくらんぼテレビ)