1月から始まった月9ドラマ「君が心をくれたから」は長崎が舞台で、1カ月にわたって長崎ロケが行われた。ご当地局となったテレビ長崎が、撮影の舞台裏と長崎解説をお伝えする。
奇跡と引き換えに失われるのは「五感」
シリーズ「長崎」で「君ここ」~長崎が舞台の月9「君が心をくれたから」。
1回目は「長崎人とカステラ」。出演者である永野芽郁さん・山田裕貴さんが感じたのが「長崎人のカステラ愛」だ。
主人公・逢原雨(永野芽郁)は、故郷である長崎で、かつてただ一人だけ心を通わせた男性・朝野太陽(山田裕貴)と高校時代以来の再会を果たす。
しかし再開を喜んだのも束の間、太陽が事故に遭ってしまい、雨は愛する太陽の命を救うために“五感を差し出す”という過酷な奇跡を受け入れる。
永野芽郁さん(逢原雨役):
毎話、どんどん五感がなくなっていくが、この役に出会うまではなかなか五感というものを自分が考えたことがなく、五感の大切さを改めて感じながら撮影している。
長崎ロケは2023年秋、1カ月にわたって行われた。長崎の代表的な観光スポットが撮影場所となっている。
眼鏡橋をバックに2人が思わず抱き合ってしまうシーンは、長崎の夏の伝統行事「精霊流し」が行われているという設定。しかし撮影時の気温は10度。そんな状況の中、川に落ちてしまった太陽君だった。
山田裕貴さん(朝野太陽役):
ドラマは長崎の言葉、長崎の話にしたいのではなくて、ファンタジー要素があふれているこの作品に、長崎という土地の力を借りて色々な場所で撮影しているが、そこに意味があると思っている。
長崎はとてもきれいな場所や伝統的な祭りが多い。そういった風景をお借りして物語を盛り上げている。
ちなみに眼鏡橋の待ち時間、2人はアルプス一万尺やしりとりで和気あいあいと過ごしていた。
撮影中にびっくり 長崎人のカステラ愛
そんな2人が、長崎での撮影中に気になったのが「長崎人のカステラ愛」だ。
永野芽郁さん(逢原雨役):
住宅街でも撮影させていただいて近隣の方々が協力的だが、「撮影頑張ってね」と皆さん『カステラ』をくれる。長崎の方は、基本的にカステラを常備していると思ってびっくりした。
山田裕貴さん(朝野太陽役):
いつ誰と会うということを当てる直観力がすごい。カステラの賞味期限を頭の中に入れながら、あの日に会うぞというのを当てる直観力がすごい(笑)
そういう山田さんはとにかく「ざらめ」が大好きで、ざらめが多いカステラを探していた。長崎ロケの最終日、スタッフがカステラを渡したところ、撮影中にも関わらずその場で食べてしまうくらい、長崎のカステラ愛に溶け込んでしまったようだった。
ちなみにドラマの中でもカステラが登場したのをお気づきだろうか。
第1話で雨の実家を訪れた望田(白洲迅)をもてなすために、祖母の雪乃(余貴美子)が出したのは「カステラ」だった。
雨の実家近くの南山手のカステラ屋には出演者のサインがある。
ここは撮影時に待機場所として提供した。寒さ厳しいある日、永野さんはお礼に店のスタッフにもホットスナックをたくさん差し入れたというエピソードも。
このカステラ屋がある、南山手界隈のロケ地を巡ってみよう。
第1話で雨が長崎に帰ってきたときに、スーツケースを押して歩いていたのが、南山手の「グラバー坂」。土産店が軒を連ねる。
石畳の坂道を上がると、世界遺産となっている大浦天主堂(写真掲載については長崎大司教区の許可をいただいています)やグラバー園が迎えてくれる。
このエリアは印象深い「赤い傘」が度々登場した。
第1話で高校時代の雨と太陽が花火を楽しんだのは、長崎の代表的な観光スポット「グラバー園」。
ここは世界遺産にもなっている文化財施設ということで、実際に花火はしていない。合成技術で花火シーンが完成したのだ。
“君ここファン”受け入れ体制万全
グラバー園には50人ほどの園内ガイドがいる。園では、訪れる人からの撮影場所の問い合わせに対応できるように、スタッフ用に手作りのマップを用意。
ドラマでこのエリアのシーンが登場するたびに撮影場所を探し当て、マップをアップデートし、情報を共有しているという。
ロケ地巡りをする“君ここファン”を受け入れる体制は万全だ。
22日放送の第3話では、長崎の冬の風物詩「長崎ランタンフェスティバル」がストーリーを盛り上げる。それが5年前から登場した「恋ランタン」。
雨が次に失うのは「嗅覚」。ただ匂いを感じるだけではない嗅覚の大切な意味とは…。
どんな切ない展開になるのか、長崎の異国情緒漂う風景もドラマの盛り上げに一役買うこととなりそうだ。
(テレビ長崎)