長崎で1カ月にわたってロケが行われた月9ドラマ「君が心をくれたから」。ドラマではストーリーはもちろん、ファンタジーの要素を引き立たせる「長崎の風景」を見るのも楽しみの一つだ。毎回登場する美しい長崎の風景は、「長崎らしさ」を求めた徹底したロケハンがなせる業なのである。
監督こだわりのスポット
撮影に入る前のロケハンは2023年夏から敢行。スタッフは2カ月にわたって長崎県内150近くのスポットを巡ったという。
この記事の画像(20枚)ドラマで登場する長崎の風景は、監督がこだわりぬいた「最高級に長崎らしい場所」ともいえる。
2人の思い出は「みんなで朝日を待ったこと」
永野芽郁さん、山田裕貴さんも長崎の風景に感激しながらロケに臨んでいたようで、特に印象に残っているのが第2話で登場した「結の浜マリンパーク」でのシーンだという。
ここでは2人の想い出の「マカロン」が登場し、海をバックに朝日が昇る印象的なシーンだった。朝日が必須のシーンだったため、早朝からのロケとなった。
永野芽郁さん(逢原雨役):
大人数で朝日を見ることは、なかなかないよなと思った。見たとしても初日の出ぐらいかな。それはちょっといつもと違うイベント感があって、記憶に残っている。
諫早市にある海水浴場「結の浜マリンパーク」は、ドラマスタッフが探し出したというこだわりの場所ともいえる。実は、知る人ぞ知る、初日の出スポットだ。
ロケは3日かけて行われた。スタッフは朝日が昇る前からスタンバイ。
ロケに立ち会った諫早市の職員は、朝日シーンという時間が限られる中での集中力はさすがプロだと感じたという。
諫早市は、早速市のホームページでロケ地情報をアップしている。
長崎人の発想を覆す「場所の使い方」
今回のロケ地について、ある観光関係者は、長崎人の発想にはない「場所の使い方」が新鮮だと話す。結の浜マリンパークの朝日もしかり。
他にも第1話で、太陽君が東京へ帰ろうとした雨ちゃんを探し出した年越しシーンで使われた「おのうえの丘」を挙げた。
「おのうえの丘」とは長崎県庁横の緑地だ。ロケ地選定では、「バスが発車する」「打ち上がる花火が見える」「多くの人が集まる」の3つが実現できることが条件だった。
普段はバスの乗り入れはない。九州号は長崎~福岡間を結ぶ実在する高速バスだが、ロケでは撮影用のバス停は東京から運んできた。
長崎人が思わず突っ込んでしまうシーン
一方で、ドラマを見て長崎人なら思わず突っ込んでしまう時もある。例えば、走って学校を後にすると、次のシーンでは公園にいる雨ちゃんと太陽君。
実際は、学校の撮影場所である長崎県立長崎東中学校・長崎東高等学校から、水辺の森公園までの距離は3キロほど。山手にある学校から海辺の公園まで走っていくにはかなりの距離だ。とはいえ、違和感なく風景がつながっていることに、長崎の街並みの良さを再発見する瞬間だ。
検証するYouTubeがひそかな人気
撮影シーンの疑問を検証しているYouTube番組がいまひそかに人気だ。
この番組は、長崎県教育庁が作っている「YouTu部!」。長崎県内の高校を紹介する番組で、学校のネタ帳をテーマに、県教委の職員が制作している。
長崎の高校がロケ地になっていることから学校を取り上げつつ、ドラマを通して長崎らしさを紹介できればと、実際に学校から公園まで走って、雨ちゃんと太陽君の健脚を検証してみた。
要した時間は33分。一瞬で移動してしまう雨ちゃんと太陽君の健脚は確実なものとなった。
ランタンフェスティバルが開幕
いよいよ長崎は、2月9日から17日間の日程で「長崎ランタンフェスティバル」が開幕し、長崎の街が中国ランタン一色に染まる。
会場の一つとなる孔子廟では期間中、劇中にも登場した「恋ランタン」のスポットがあり、“君ここ気分”を味わえる。君ここ巡礼地巡りには必須ポイントとなりそうだ。
ドラマ第5話となる5日(月)は、味覚、嗅覚を失った雨ちゃんに次なる試練が待っている。涙なしには見ることができない展開だ。
(テレビ長崎)