長崎で1カ月にわたってロケが行われた月9ドラマ「君が心をくれたから」。高校のシーンでは、撮影された高校の生徒70人もエキストラで出演し、下校シーンや「ランタン祭り」が催される文化祭シーンなどが撮影された。舞台となった学校にはドラマのシーンがよみがえる「ある物」が託された。

舞台になった学校 決め手は“長崎らしさ”

雨と太陽の高校時代のシーンの一部は「長崎県立長崎東中学校・長崎東高等学校」で撮影が行われた。

高校シーンの一部が撮影された 長崎県立長崎東中学校・長崎東高等学校
高校シーンの一部が撮影された 長崎県立長崎東中学校・長崎東高等学校
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長崎ロケで監督が何よりも大事にしたのが「長崎らしさ」だ。高校の撮影場所としても、“坂の街”長崎らしく高台に位置することや、ロケーションを重視して何度も足を運び、学校の選定が進められたという。

長崎県立長崎東中学校・長崎東高等学校の下駄箱。ドラマではここで太陽君が雨宿りする雨ちゃんを見つけた
長崎県立長崎東中学校・長崎東高等学校の下駄箱。ドラマではここで太陽君が雨宿りする雨ちゃんを見つけた

「雨を降らせること」「下駄箱のシーン」を念頭に入れてのロケハンだったそうだ。

メイキングシーン・当日は散水車を用意して雨を降らせた
メイキングシーン・当日は散水車を用意して雨を降らせた

撮影当日は、雨を降らせるために散水車が用意された。ロケでは、生徒たちも窓を閉めた教室から見学が許された。

生徒たちも教室から窓を閉めてロケの様子を見学していた
生徒たちも教室から窓を閉めてロケの様子を見学していた

本番は窓から1メートル離れて声を出さないことが条件だったという。

雨と太陽の青春時代を演出したエキストラ

東高ではエキストラ70人に対して323人の生徒がエントリー。当日は制服などの衣装が用意された。

メイキングシーン・東高下の「東風の道(こちのみち)」
メイキングシーン・東高下の「東風の道(こちのみち)」

制服にジャージを羽織る人、野球部のユニホームの人など様々だ。その場で2、3人のペアが決まり、それぞれに演技指導が行われたという。

桜満開時の「東風の道」はこんな感じ
桜満開時の「東風の道」はこんな感じ

東高の敷地の外周にある通称「東風の道(こちのみち)」は、春になると満開の桜のトンネルが絶景だ。ロケは12月。合成で満開の桜の中で下校するシーンが演出され、ここを雨ちゃん太陽君とともに、エキストラの生徒たちも堂々と登場した。

撮影は12月。CGで桜満開に。エキストラの高校生が登場した
撮影は12月。CGで桜満開に。エキストラの高校生が登場した

生徒たちのエキストラ出演を見守った長崎県立長崎東高校川口由美子副校長は、細部にまでこだわるドラマスタッフのプロ魂を、目の前で見て感激したと話す。

長崎県立長崎東高校・川口由美子副校長:
「前の2人が歩きだしたら次のペアは1メートル離れてスタート」とか、「楽しそうに談笑しながら歩いて」という細かい指示があった。エキストラはわき役だが、わき役もしっかり意味のある動きをして、初めてメインの2人が引き立つシーンに仕上がるんだと、放送を見てさらに強く感じた

エキストラで参加した生徒たちの感想の一部だ。

「たくさんの人たちの力で作品が作られていることを実感した」
「自分が知らないところで、多くの人が工夫を重ねてこの作品を作り上げていると思うと、本当にすごい」
「テレビでいつも見ている人が、自分の学校に来て撮影していることが信じられなかった」

カットを確認する太陽役の山田裕貴さん
カットを確認する太陽役の山田裕貴さん

エキストラ出演は生徒たちにとって発見と驚きの連続で、夢のような時間となったようだ。撮影後、エキストラに頭を下げて次の撮影現場に向かった出演者達の優しさにも触れたという。

ドラマのワンシーンを彩ったもの

第3話では、長崎の冬の風物詩「ランタンフェスティバル」にちなんで、雨と太陽の学校で「ランタン祭り」が開催されていた。

高校時代の「想い出」…そして10年後の「想い出」…。2人の「想い出」を描く上でとても重要なシーンとなった。

ドラマでの学校名
ドラマでの学校名

スタッフ手作りの小道具がここでもたくさん登場した。

ロケでは実在する校門の右側に設置されていた
ロケでは実在する校門の右側に設置されていた

校門には架空の「長崎県立長崎高等学校」の学校名プレートが設置されており、実在する学校名なども小道具で隠していた。

実在する学校名を隠すために
実在する学校名を隠すために
ドラマでは上から小道具が貼られていた
ドラマでは上から小道具が貼られていた

【画像】ドラマで使われていた手作りの小道具はほかにも

これらの小道具はロケ終了後、東高が譲り受けた。川口副校長は「今年の文化祭で君ここの再現ができれば…」とも考えているそうで、生徒たちと一緒にロケの思い出を蘇らせる企画を考えたいという。

譲り受けた看板などの小道具
譲り受けた看板などの小道具

ちなみに、教室内でのランタン祭りのシーンでは、雨ちゃんと太陽君がスタッフの小道具をいじって大盛り上がりとなる一幕も。ドラマは毎回涙涙だが、現場は和やかな雰囲気で撮影は進んだ。

ドラマが神の力に後押し

第3話のワンシーン
第3話のワンシーン

第3話でストーリーに一役買ったのが、「長崎ランタンフェスティバル」で実際に登場するイベントの一つ「恋ランタン」だ。

2024年の長崎ランタンフェスティバルは2月9日に開幕 「写真提供:(一社)長崎県観光連盟」
2024年の長崎ランタンフェスティバルは2月9日に開幕 「写真提供:(一社)長崎県観光連盟」

長崎ランタンフェスティバルは、中国とつながりが深い長崎ならではの冬の一大イベントだ。毎年、中国の旧正月に合わせて街中に1万5,000個の中国ランタンやオブジェが飾られ、長崎の冬が中国色に染まる。2024年は2月9日に開幕し、25日までの17日間の日程。

恋ランタンの会場となる孔子廟でのメイキングシーン
恋ランタンの会場となる孔子廟でのメイキングシーン

恋ランタンは、会場の一つ「孔子廟」で行われる実在するイベントで、5年前にお目見えした。
孔子廟は論語で知られる儒学の祖、孔子を祀っている日本で唯一の本格的中国様式の霊廟。監督が夜の孔子廟に惚れ込み、雨ちゃんと太陽君の恋愛成就を「恋ランタン」で叶えたいとオファーして、ここでのシーンの撮影が実現した。

恋ランタンの発案者で第3話にエキストラ出演した山下さん
恋ランタンの発案者で第3話にエキストラ出演した山下さん

「恋ランタン」を企画したのは、長崎国際観光コンベンション協会の山下典子さん。山下さんは第3話にエキストラで登場し、雨ちゃんに「恋ランタン」を手渡す役どころを演じた。

恋ランタンシーンは2日にわたって行われた。夜中の撮影となり、とにかく寒かったそうだ。撮影当日は山下さんを始めとするスタッフ全員で、実際使っている1,000個の恋ランタンを飾り付けた。

ドラマでも実際の恋ランタンが登場した
ドラマでも実際の恋ランタンが登場した

恋ランタンは赤い木札に恋にまつわる願い事を書いて飾り、ランタンフェスティバルの最終日には、恋愛成就を祈ってお焚き上げをする。

恋ランタン 「写真提供:(一社)長崎県観光連盟」
恋ランタン 「写真提供:(一社)長崎県観光連盟」

孔子廟を恋愛成就のパワースポットにしたいと意気込んでいる山下さん、ドラマで雨ちゃんの初恋が実ったことで、ドラマが神の力を後押ししてくれた。

2月の長崎は、ランタンフェスティバルでロマンチックに浸りながらロケ地巡りをする「君ここファン」でにぎわうこととなりそうだ。

恋ランタンでポーズをとる雨ちゃんと太陽君
恋ランタンでポーズをとる雨ちゃんと太陽君

太陽君の命を救うために自分の五感を差し出した雨ちゃん。29日の第4話では、雨の嗅覚もタイムリミットが近づいて…。長崎の風景がドラマのストーリーをさらにぐっと深めることだろう。

(テレビ長崎)

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テレビ長崎
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