イスラエルは、ガザ地区で拘束されている人質に医薬品を届けることでハマスと合意したと発表した。

ハマスは、戦闘100日目に人質の映像を公開。

一時戦闘停止で100人以上の人質が解放されたが、高齢女性や母親、子供が中心で、男性や独身女性などが多くとらわれているままだ。

ガザ人質交渉に再会の兆し

イスラエル政府は、ガザ地区で拘束されている人質に必要な医薬品を届けることで、イスラム組織ハマスと合意したと発表した。

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これはカタールとフランスの仲介によって合意したもので、17日、ハマスに拘束されている人質に必要な医薬品がエジプトに届けられたあと、ガザ地区に搬入される予定となっている。

またカタール政府によると、今回の合意にはガザ地区にいる市民への支援物資と医薬品の搬入も含まれているという。

仲介役のカタールのムハンマド首相兼外相は16日、停戦と引き換えに人質を解放することが唯一の解決策との考えを示し、交渉を続けるとしている。

ここからは、フジテレビ取材センター・立石修室長がお伝えする。

2023日12月1日の戦闘再開以降、停滞していた人質をめぐる交渉にようやく動きが見られた。

ガザ地区での戦闘がちょうど100日を迎えた14日に、ハマスが3人の人質映像を公開した。
交渉に動きがあった背景には、動画公開に関係があったのかもしれない。

その映像に唯一の女性として映っていたのが、ノア・アルガマニさん(26)だ。

ノアさんは、2023年10月にハマスがイスラエルの音楽祭を襲撃した際に、恋人から引き離されバイクで誘拐されるシーンがSNSで公開され、国内外から大きく注目される存在となった。

ハマスは戦闘100日という節目に、このノアさんが生存しているとする映像を初めて公開してきた。

ただ撮影日時、そして一緒に公開された男性2人も含め、3人の安否は不明。映像の最後は「明日、彼らの命運を明らかに」という文字で終わっていた。

その翌日の15日、ハマスは新たな映像を公開。

その中で、ノアさんは「男性の人質はイスラエル軍の空爆で死んだ。私は頭にけがをした」と話している。

ノアさんは同じ映像に映っていた男性人質2人と一緒に拘束されていたが、イスラエル軍の空爆で2人は死亡し、生き残ったのは自分だけだと話している。

ハマス側は、男性2人の遺体とみられる映像も公開している。

ただし、この映像は、ハマスの監視下で撮影され、強制的に発言させられている可能性が極めて高いものだ。

イスラエル側も男性2人の死亡を確認したが、イスラエルの空爆により男性人質が死亡したことは「ハマスのうそである」と否定。「拘束されていた建物を標的としていない」としている。

また、ノアさんは生存しているとみている。

大勢の人質がとらえられたまま

人質の象徴ともいえるノアさんの映像や情報が、人質解放交渉やイスラエル世論にどう影響していくのだろうか。

イスラエル国内・国外でも、ノアさんの映像は大きく取り上げられている。

最後に人質が解放されたのは2023年11月30日で、それ以後、イスラエルは攻撃を再開し、人質をめぐる動きは止まっていた。

人質の家族などからの批判も強まる中、象徴的なノアさんの映像が公開されたことにより、強硬姿勢をとるネタニヤフ首相も、何らかの行動を起こす必要性に迫られているのではと考えられる。

いまだに捕らえられている女性の人質は、ノアさんだけではない。

人質の支援団体がウェブサイトに公開している写真を見ると、ノアさんのような若い女性の人質が、まだ大勢いる。公開されている写真の中には10代の方も含まれている。

2023年11月末の一時戦闘停止で100人以上の人質が解放されたが、高齢女性や母親、子供が中心で、男性や独身女性などの多くがとらわれているままだ。

ようやく動きを見せた解放への交渉が前に進むことが願われる。
(「イット!」 1月17日放送より)

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