感染者数"初の"「100人超」

 2023年、仙台市内で、性感染症の一つ「梅毒」が過去最多の感染者数となった。

 仙台市によると、去年1年間に、市内で確認された梅毒の感染者数は、速報値で126人に上る。10年前の約4倍で、1年間の感染者数が初めて100人を超えた。

 直近10年の感染者数は、以下の通り(人)。
2013年…32、2014年…17、2015年…20、2016年…24、2017年…47、2018年…58
2019年…55、2020年…49、2021年…83、2022年…94、2023年…126

提供:国立感染症研究所
提供:国立感染症研究所
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"偽装の達人"気付かぬうちに…

  梅毒は、「梅毒トレポネーマ」による細菌性の感染症で、「性行為・オーラルセックス」などで感染する。“キス1回”で感染することもあり、感染力は強いとされる。

  梅毒の症状は、「性器」に多く現れる。仙台市によると、セックスをしてから、3~4週間ぐらいで「しこり」「くぼみ」ができたら、診察を受けるのが望ましいという。

夜の国分町(画像はイメージ)
夜の国分町(画像はイメージ)

 症状は、感染から「3週間後」「3カ月後」「3年後」「10年後」の4期に分類される。

 「3週間後」の【第1期】は、感染した場所(性器、口、肛門など)にできもの、しこり、ただれなどができる。治療しなくても約1カ月で症状は自然に消えてしまう。

 「3カ月後」の【第2期】は、手のひら、足の裏、体に赤い発疹ができる。赤い発疹がバラの花に似ていることから「バラ疹」と呼ばれている。発疹は、半年以内に痕を残さずに消えてしまう。

「3年後」の【第3期】は、体の中で炎症が進行する。

「10年後」の【第4期】は、脳や心臓に病変ができることがあり、失明や認知症の症状が出ることもある。

  しかし、ここでやっかいなのは、梅毒の症状の現れ方だ。“偽装の達人”とも呼ばれ、微熱程度の軽い症状や、症状がそもそも無いこともあるという。症状が無くても感染力はあるため、気付かないうちに感染を広げているケースも多いとされる。

突出して多い20代女性…"マッチングアプリ"が関係?

 年代別では、女性が20代で最も多くなった。(女性47人中27人)

 男性では、40代が最も多かったが、(79人中29人)、他にも20代、30代、50代など、幅広い年代で確認された。

 では、なぜ、これほど急増しているのか。仙台市によると、はっきりとした原因は「分からない」としたうえで、「マッチングアプリなどを介して、不特定多数の人と性交渉を持つ機会が増えた」「若年層の女性における性行動の活発化」「性風俗産業で性感染症の検査が十分に行われておらず、風俗店従業員の梅毒増加」などが考えられるという。

提供:日本性感染症学会
提供:日本性感染症学会

予防と早期治療…"何度も感染する"

 仙台市では、梅毒の感染を防ぐには「不特定多数の人と性行為をしないこと」「コンドームを使用すること」などが大切としている。

提供:日本性感染症学会
提供:日本性感染症学会

 「梅毒」かもしれない。そう感じたら、自分の体を守るため、感染を広げないためにも検査が大切だ。仙台市では、毎月「HIV・梅毒・性器クラミジア」の無料検査を実施していて、匿名で誰でも受けることができる。

 梅毒は、治療法が確立している病気で、早期発見・治療で治すことが可能である一方、一度完治しても、何度でも感染する病気である。今や身近な病気になった梅毒から身を守るためにも、ひとりひとり正しい知識を持つことが大切だ。

(仙台放送)

仙台放送
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