元日に北陸地方で発生した能登半島地震。懸命の捜索活動が続けられるなか、発災直後に広島から向かった救助隊が1月6日夜、倒壊した住宅に閉じ込められた93歳の女性を124時間ぶりに救出した。

神石高原町のNPO法人 現地で支援活動

元日に石川県で最大震度7の揺れを観測した能登半島地震。地震の影響で住宅の倒壊などが相次ぎ、石川県のまとめによると、9日午後2時の時点で死者202人、安否不明者102人と連絡が取れていない。全国から駆けつけた救助隊による懸命の捜索活動が続くなか、広島からも救助隊が送られている。

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山北陸斗 記者:
神石高原町です。石川で起きた地震の支援活動を行っている団体がこの場所に本部を構えています

広島・神石高原町にあるNPO法人の本部
広島・神石高原町にあるNPO法人の本部

神石高原町は広島県の中東部に位置し、岡山県との境を接する町。そこに本部を置くNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」は約30人のスタッフを現地に派遣し、現場と本部で情報を共有しながら支援活動にあたっている。

ピースウィンズ・ジャパン・飛田ほのかさん:
元日の日は発災直後から団体内で連絡を取り合ってすぐに出動態勢をとりました

派遣医師が最前線で93歳女性を救助

避難所運営や医療支援など活動が多岐にわたるなか、レスキュー活動にあたっていたスタッフが“奇跡の救出劇”に大きな力を発揮した。
6日夜、石川県珠洲市で倒壊した住宅に閉じ込められた93歳の女性の救助活動。この現場の最前線で救助にあたったのが稲葉基高医師だ。

稲葉基高 医師:
頑張れよ!おかあちゃん

6日、石川県珠洲市で倒壊した住宅に閉じ込められた女性の救助活動
6日、石川県珠洲市で倒壊した住宅に閉じ込められた女性の救助活動

稲葉医師は、長時間、覆いかぶさっていたがれきを急に取り除くとその後の容態が悪化してしまう「クラッシュシンドローム」を考慮し、女性へ慎重に医療処置を実施。絶望的な状況で、他の救助隊と力を合わせ、地震発生から約124時間後に女性を無事、救出した。

稲葉基高 医師
稲葉基高 医師

本部で情報を収集していたスタッフたちも現場とのやり取りから緊迫した様子が伝わったという。

ピースウィンズ・ジャパン・飛田ほのかさん:
連絡をとることも難しい状況で、途切れ途切れの連絡でした。訓練や薬の準備など多くの対応が今回の救助を可能にしたと思います

広島に住む私たちも被災地の声に耳を傾け、関心を持ち続けることが重要だ。

ピースウィンズ・ジャパン・飛田ほのかさん:
ニュースなどで逐一被災地の状況が共有されているので、これからも関心を持ち続けてもらえればうれしいです

このNPO法人の話では、地震発生から1週間以上が経過し被災地で深刻な問題になっているのが感染症対策。寒さや避難所生活の疲れなどによって被災者の免疫が下がり、新型コロナやインフルエンザなどの感染症のまん延が懸念されている。

しかし道路の通行止めなどにより、石川県内の金沢市からでも能登半島北部の被災地まで場所によっては片道10時間かかるなど、支援物資が届きにくい状態が続いているという。ライフラインの復旧が急がれる。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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