いよいよ今年7月に開幕するパリオリンピック。仙台市出身のテコンドー選手、岡崎陽向さんも、その大舞台を目指す選手の一人だ。幼い頃から目指していた夢の場所へ。7日には日本代表の最終選考会も予定され、勝負の年が始まる。
夢のパリ五輪へ 18歳の挑戦
東北福祉大学1年生の岡崎陽向選手。テコンドー漬けの日々を送る彼女の夢は、いよいよ今年7月に開幕する「パリオリンピック」に出場することだ。

華麗でスピーディーな足技が魅力の韓国発祥の格闘技「テコンドー」2000年のシドニーからオリンピックの正式競技となっている。試合は2分3ラウンド制で、蹴りの得点がほとんど。頭部、胴体の順で得点が高く回転が加わるとより高得点となる。
かっこいい女の子に…4歳からテコンドーの道に

「強くてかっこいい女の子になりたい」と岡崎選手がテコンドーを始めたのは、わずか4歳の時。強烈な回し蹴りで相手が泣き出してしまうほど、当時から抜群の強さを見せていた。
彼女の強さの秘密は持ち前の「負けん気」小さいころから一番になりたいという思いが強く、メキメキと頭角を現した彼女は、小学校・中学校の9年間で8度の全日本選手権優勝を果たしたほか、国際大会でも何度も優勝するなど輝かしい成績を収めた。
親元を離れ 「強くなるために」

そんな順調な成長を見せた岡崎選手が、飛躍するきっかけになったのが、小学4年生の時に親元を離れたこと。「強くなりたい」と覚悟を決め、親戚であり小さいころから彼女を指導していた相原儀雅さんの元で下宿生活を開始。

練習が終わるとご飯を食べて、お風呂に入って、すぐに寝るという、ストイックにテコンドー一筋の毎日を過ごしてきた。下宿先の部屋には、大会で勝ち取ったメダルや、道場仲間からもらったプレゼントなどが並んでいる。

「普通の子供たち以上にたくさん厳しいしんどい練習もしている。そういった積み重ねで今があるのかなと」
(岡崎さんを指導・相原儀雅さん)
子供たちのあこがれの存在に

親元を離れて8年ほど。岡崎選手は今も仙台市内にある相原さんの道場で練習を続けている。彼女はテコンドーの中でもキョルギと呼ばれる組手の選手で、取材をした記者が彼女の蹴りを体験してみると、持っていた木の板が真っ二つに割れ、手のしびれが30秒ほど続いた。それほどスピードと威力を持った選手なのだ。

また、自分の練習もそうだが、彼女は子どもたちの稽古の手伝いも行っている。子供たちにとって日本のトップレベルで戦う彼女は憧れの存在。
自身は「まだまだ尊敬できるお姉ちゃんみたいに思ってもらえてないのかな」と謙虚に話すが、子供たちは「自分もそうなりたい!」「かっこいい」と彼女への憧れを口にした。

夢が現実に 迎える勝負の一年
夢のパリオリンピック出場へ、その目標をより現実のものにしたのが、2023年12月に開催された全日本選手権。
普段の階級は一つ下の46キロ級だが、オリンピックの階級に合わせ、階級を一つあげて49キロ級で出場して優勝を果たし、日本代表の最有力候補に名乗りを挙げた。

「身長差も変わってきますしパワーとかも変わってくるので、五輪階級であるマイナス49キロ級で優勝できたのは、自分の中で大きな力になった。自信につながる結果でした」 (岡崎陽向さん)
そして7日には奈良県で、オリンピックに向けた日本代表の最終選考会も予定されている。

「パリオリンピックに出場して金メダルをとる」という目標を胸に、幼い頃から目指してきた夢の舞台へ。テコンドーにすべてをささげてきた岡崎陽向選手の勝負の一年がいよいよ始まる。
(仙台放送)