12月30日(土)午前10時。号砲とともにスタートを切る2023富士山女子駅伝。
今年で11回目を迎えるこの大会は、大学男子に「出雲駅伝・全日本大学駅伝・箱根駅伝」の三大駅伝があるように、「全日本大学女子駅伝対校選手権大会」とならび”大学女子二大駅伝”として注目されている。

名称こそ「富士山女子駅伝」として定着、親しまれているが、正式名称は「全日本大学女子選抜駅伝競走」。つまり“大学女子駅伝の日本一”を決めるレースなのだ。
そして出場する4年生の選手にとっては、同じチームで走る最後の駅伝大会となり、男子でいえば「箱根駅伝」のような位置づけにあたる、大学女子駅伝の集大成でもある。

果たして今年はどんなドラマが展開されるのか?注目選手を紹介する。
学生世界一の”二刀流”ランナー
今大会の出場選手の中で異彩を放つのが、大阪芸術大学の4年生、北川星瑠(きたがわひかる)選手だ。
今年、日本学生女子ハーフマラソン選手権で優勝し、歴代7位のタイムを記録した実力の持ち主で、チームのエースでありながら、全く別の一面も持ち合わせる。

なんと彼女は、ミュージカルを学ぶタレントと学生トップランナーの“二刀流”選手なのだ。
7月にはこんな場所にも立った。

「このたび松竹芸能に所属することになりました、北川星瑠です」
元陸上競技選手で、アスリート芸人として活躍する森脇健児さんが所属する大手芸能事務所からの誘いを受けて、芸能事務所にも所属することになり、記者会見まで開いたのだ。

4歳から小学生まで子役として活躍し、高校時代は3年連続で駅伝の全国大会に出場するほどの実力を持ち合わせて来た北川選手。
なぜ今も「芸能」と「陸上」の二足のわらじを履き、歩み続けているだろうか?

「やっぱり自分の夢とかやりたいことがあって、それのための努力だと思っているので、夢のためのモチベーションが高いので、陸上を頑張ろうって気持ちになります」
その言葉通り、芸能界への夢が、彼女の陸上での『原動力』となっている。
さらにその頑張りは、結果となって実を結ぶ。

松竹芸能に入ったわずか1カ月後。中国・成都で開催された大学生世界一を決める「学生のためのオリンピック」ワールドユニバーシティゲームズ(旧ユニバーシアード競技大会)のハーフマラソン種目で、金メダルを獲得するまでに成長。
北川選手はこの”二刀流”の道を歩むと決めた時のことを振り返る。
「よく考えた時に、何も持ってない状態で芸能界に進むより、何か持っていた方がいいなと思って、自分が芸能界に進むための一番の近道は、これしかないと思って大阪芸術大学に進んで、陸上を続けながら演劇も学ぶことにしました」
チーム過去最高の8位入賞を目指して
そんな“二刀流ランナー”北川選手は、富士山女子駅伝では、これまで2年連続で区間賞を獲得。30日のレースにはチームのエースとして大会にのぞむ。

「自分も区間賞を取りたいですし、チーム自体も絶対に8位入賞と言うことを目標に、チーム全体で戦っていきたいと思います」
北川選手の所属する大阪芸術大学は、2021年の富士山女子駅伝は6秒差で9位。昨年は19秒差で10位と、入賞の背中は見えているものの、いつもあと一歩のところで悔しい思いをしてきた。

最終学年の今年、チームとして過去最高の8位を目指す富士山女子駅伝。北川選手の”学生駅伝ラストラン”に注目だ。
富士山の麓は女子駅伝屈指の“難コース”
“大学女子駅伝日本一決定戦”である富士山女子駅伝に出場できるのは24チーム。
10月に開催された全日本大学女子駅伝対校選手権大会の上位12大学と、5000m7名のチーム記録による10大学、そして全日本大学選抜と静岡県学生選抜の精鋭ランナーたちだ。

その戦いの舞台は世界遺産“霊峰富士”の麓を駆け抜ける全7区間・43.4km。さらに区間編成は、女子駅伝の中でも随一の過酷さと多様性を併せ持つことで知られている。
区間距離は最短の3.3㎞から最長10.5㎞。富士山からの傾斜が生み出すアップダウンや、海岸沿いは強烈な海風が選手の行く手を阻む。

そして、最終区間には高低差169m、ビルに例えると50階にもおよぶ“魔の坂”が待ち受けている。
また全43.4kmは実業団の駅伝を含めて女子駅伝最長距離だ。過酷なコース設定は、区間ごとに特性が違うため、どの選手をどの区間に配置するのか、各チームの戦略にも注目が集まる。
大会史上初の6連覇なるか?名城大学
第1回大会から5連覇の絶対女王・立命館大学に変わって、名城大学という新たな女王が誕生したのが2018年。以来、大会5連覇を果たし“名城一強”時代を築いてきた。

今年は絶対女王として、大会史上初の6連覇という偉業を狙う。
シルバーはもういらない 大東文化大
さらに2018年から4年連続の2位、“シルバーコレクター”脱却をかける大東文化大学も初優勝を狙う。

去年のレースでは、関東インカレの10000mで33年ぶりに大会記録を塗り替えたケニアからの留学1年生、サラ・ワンジル選手が衝撃のデビューを果たし、その名を全国に轟かせた。チームとしての総合力もアップさせてのぞむ今大会で、ついに打倒・名城の悲願を成し遂げるか注目だ。
勢いに乗り女王復活へ 立命館大
そして“女王復活”を期すのが立命館大学だ。10月の全日本大学女子駅伝では、6区間中3区間で区間賞を達成。最後は大東文化大学に競り負け3位に終わったものの、その後もトラックで好記録を連発し、6年ぶり王座奪還へ勢いに乗っている。

一本のタスキに仲間への思いを乗せて。
日本全国から集う全24チームが、集大成の戦いに挑む富士山女子駅伝。
2023年の駅伝シーズンを締めくくる戦いに注目だ。
大学女子駅伝の頂点へ
2023富士山女子駅伝
12月30日(土)あさ9時55分~
フジテレビ系にて生中継