年末年始の帰省や国内旅行にかける1人当たりの平均予算が、前年比で1万円増加したことが、インテージによる調査でわかった。消費マインド改善の兆しが見られ、政策的な賃上げや家計支援策の実行が消費の活性化に寄与すると指摘されている。

年末年始の国内旅行予算は大幅アップ

年末年始の帰省や国内旅行にかける予算が、2022年に比べ大幅に増えている。

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調査会社のインテージによると、年末年始の帰省や国内旅行にかける予算は、1人当たり平均4万5235円で、前年比で約1万円増えたという。

物価高や円安については、約4割が年末年始の帰省や、国内旅行の予定に影響すると回答したほか、おせち料理の注文や年末年始の食材の費用は5割以上、お年玉の総額は3割以上が影響すると答えている。

インテージは「年末年始の予算は増えているものの、物価高や円安の影響は無視できない」としている。

“消費マインド”実は冷えきらず

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子(まぶち まりこ)さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
年末年始の予算アップ、どうご覧になりますか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
新型コロナの5類への移行後、初めての年末年始となります。感染の懸念などを気にすることなく、せっかくのお休みを楽しみたいという方も多いようです。

旅行大手JTBによると、1人あたりの旅行費用は国内旅行で4万1000円となっています。データが確認できる平成8年度以来、過去最高になる見通しです。

年末年始くらいは贅沢したいという声も多く、自分のためや、家族との楽しみにお金を使って贅沢を楽しむ“メリハリ消費”が期待できます。

堤キャスター:
年末年始くらいはいつもの節約モードを解除しようという方も多いかもしれませんね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
個人消費の回復力が弱くなってきているという声が多いですが、実際どうなのか、消費動向をもっと細かく分解したほうがいいと思います。

そこで参考になるのが、2023年11月に実施された内閣府の消費動向調査です。消費者動向を「雇用環境」「収入の増え方」「暮らし向き」「耐久消費財の買い時の判断」などに分解しています。

この調査を見れば、2023年1月以降の消費者マインドで、半年先の見通しをたずねたものは上向いています。

堤キャスター:
消費の改善を示す兆し、ということでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
特に2023年に入ってからは「雇用環境」や「収入の増え方」が消費マインドを牽引しています。さらに意外かもしれませんが、特に「雇用環境」に関しては、2013年のアベノミクスの時期に迫るようなマインドの改善が見られます。

つまり、消費が落ち込んでいるという表面的なデータから、さらに一段と深掘りすると、消費のマインドの部分はそこまで悪化していないことが分かっています。

「使えるお金増やす」対策を早急に

堤キャスター:
その消費マインドを冷やさないために、どんなことが必要なのでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
節約や消費の鈍化は表面的に確認できますが、マインドはまだそこまで冷え切っていない。冷え切っていないそんな時期だからこそ、「賃上げ」や「家計支援策」などの効果が出やすいわけです。消費者が使えるお金を増やす政策を早期に実行すれば、消費が動き出す期待は十分にあると思います。

堤キャスター:
消費・お金については、自分にとって幸せだと思える使い方ができるといいですよね。2024年が皆さんにとって、良い年になることを願っています。
(「Live News α」12月25日放送分より)

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