交差点で信号待ちをしている際、高齢者らが青信号のうちに横断歩道を渡りきれずにいる場面を見たことはないだろうか。
「もう少し信号が変わる時間に余裕があったらいいのに」などと思ったこともあるかもしれないが、実は横断歩道を渡る際の補助をする交通弱者向けのスマホアプリがある。その名も「信GO!」だ。

このアプリ使えば、アプリと連動している交差点で次のようなことが可能となるのだ。
・歩行者信号の情報を「音声」「振動」「画面表示」によって確認することができる
・交差点名称と方向を音声で確認することができる
・押ボタン機能がある交差点で、スマートフォンから押ボタンの操作ができる(一部のみ)
例えば、対象の交差点に接近してサービス提供範囲内に入った場合、アプリが「〇〇交差点です」と音声と振動で知らせる。青になった場合は「〇〇が青になりました」、信号が変わりそうになったら、「〇〇の赤が間もなく終了します」と同様に知らせる。

そして、もし、表示されている信号(設定されている信号)の青信号の延長の必要がある場合は、「〇〇は青延長の制御が可能です。〇〇の延長を行いますか」と尋ねられ、青信号の延長支援要請をすることができる。

このアプリはiOS版とアンドロイド版があり、無料でダウンロードが可能。
交通弱者に心強いアプリだが、どこで使えるのか、どのような仕組みになっているのだろうか。また、使った人の感想なども気になる。アプリを開発した日本信号に聞いた。
「安心して横断できる」感想も
――どのような人が使っていいの?
視覚障がい者など交通弱者向けのアプリになりますが、健常者の方でもお使いいただくことはできます。なお視覚障がい者の方々はボイスオーバー等、スマホの画面を読み上げる機能を使用しています。
――使っている人はどれくらいいるの?
現状、約1万ダウンロードしていただいております。
――今使える場所はどれくらいある?
高度化PICS設置交差点で使えます。現在、全国に463基あります(2023年7月10日時点)。警察庁ホームページに高度化PICS整備交差点の一覧が載っています。

――使った人の感想は?
音響付加装置(ピヨピヨカッコー)が付いていない交差点でも画面表示、音、振動で情報提供してくれるので、安心して横断できるなどの感想をいただいており、設置台数を増やして欲しい等の要望が出ています。
信号機に設置した機器で情報を送受信
――どのような仕組みで信号と連動しているの?
信号機に設置された路側機から歩行者用信号の情報をアプリに送って表示させたり、アプリから送信した機能要求を路側機で受信して信号機を制御したりします。
具体的には、高度化PICS(こうどかぴっくす)を設置している交差点で歩行者灯器の色を画面表示、音、振動で案内します。
PICSとは、高齢者や障害者の方々が、安全に移動できるように支援するシステムです。正確で安全な交差点の情報を、音声で提供します。令和2(2020)年度からは、Bluetoothを活用し、スマートフォン等に対して歩行者用信号情報を送信するとともに、スマートフォン等の操作により青信号の延長を可能とした高度化PICSが導入されています。
――信号を延長する機能があるようだけど交通に影響はないの?
延長する機能は、既に延長できる機能を運用している交差点ですので影響はありません。
ナビアプリとの連携も検討
――なぜこのようなアプリが出来たの?
PICSというサービスは以前から存在していましたが、専用の端末が必要でした。スマートフォンを使うことで、より多くの視覚障がい者にPICSサービスを提供することができるのではないかとの考えのもと、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の調査研究が行われ、アプリが開発されました。

――現在、課題や改善点など検討していることはある?
現在のアプリは方向判別ができないため、全ての方向の歩行者灯器の色を通知していますがナビアプリと連携するなどして、自らが進みたい方向の色を通知できるようになるとさらに使いやすいアプリになります。
――今後どのような場所に導入していく予定?
各都道府県警察が設置場所を決めます。
現在、「信GO!」が使える交差点は全国に463カ所あり、今後も各都道府県警察が設置場所を決めていくということだ。必要な人に届いてほしい。