お正月といえば「お年玉」。年始の楽しみとして、三が日に親や親戚からもらった子どももいることだろう。また毎年、預かったお年玉をお小遣いとして子どもに渡す親もいるかもしれない。

キャッシュレスが浸透し、スマホさえあればいつでもどこでも買い物ができてしまう時代。もらったお年玉やお小遣いの管理の仕方にも、キャッシュレス時代ならではのサービスが登場している。

そのひとつが、子ども向けのプリペイドカードとアプリを組み合わせた「シャトルペイ」。子どもはプリペイドカードで買い物することができ、「親」と「子ども」それぞれの専用アプリで送金やお小遣い管理ができるというものだ。

「シャトルペイ」を開発したシャトル 代表取締役 見原思郎氏
「シャトルペイ」を開発したシャトル 代表取締役 見原思郎氏
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サービスの仕組みやうまく使いこなすポイントについて、開発した「シャトル」代表取締役の見原思郎さんに聞いた。

買い物履歴から子どもの日常を見守る

2022年7月に本格スタートした「シャトルペイ」は次のようなサービスだ。

(1)専用のプレイペイドカードを使って子どもはお店でもネットでも買い物ができる(※)
(2)親用のアプリからいつでも送金でき、子どもの買い物履歴をリアルタイムで確認できる
(3)子ども用アプリでは自動でお小遣い帳がつけられ、お金の使い方の振り返りができる
 (※)2023年12月時点で、利用できるのはマスターカード加盟店

子ども用アプリでは自動でお小遣い帳がつく
子ども用アプリでは自動でお小遣い帳がつく

最初の5カ月間は無料で利用でき、それ以降は月480円の利用料がかかる。

親子それぞれに専用のアプリがある点が大きな特徴で、見原さんは「お金を送りっぱなしではなく、その後の見守りもできる仕組みになっていて、親子で良いお金の習慣を身につけていくことを目指している」という。

具体的にはどんな機能があるのだろうか。まず、親用アプリでは、いつでも子どものプリペイドカードに“手数料なし”でお金を送ることができる。

キャッシュレス化で「急に現金が必要になったが、お財布をみたら足りない」なんてことも(画像はイメージ)
キャッシュレス化で「急に現金が必要になったが、お財布をみたら足りない」なんてことも(画像はイメージ)

見原さんによると、キャッシュレス化が進んだことによる変化として「親の手持ちの現金が少なくなってきている」のだという。確かに、キャッシュレスでの支払いが日常的になっている人の中には、「急に現金が必要になったが、お財布を見たら足りない」なんて経験もあるのではないだろうか。

その点、もし子どもから急に「明日文房具を買うお金が必要なんだよね」と言われたとしても、「シャトルペイ」ならすぐに送金して渡すことができる。

そして、子どもがカードを使って買い物をすると、履歴が親用アプリにリアルアイムで通知される仕組みだ。買い物履歴から子どもの行動を見守ることができ、突然の高額出費があれば、お友達に奢らされていないか、などトラブルの早期発見にもつながるという。

親用アプリでは子どもがどこでいくら使ったかを確認できる(左:子ども用アプリ 右:親用アプリ)
親用アプリでは子どもがどこでいくら使ったかを確認できる(左:子ども用アプリ 右:親用アプリ)

一方、子ども用アプリでは、自動的にお小遣い帳がつくので、何にいくら使ったかを子ども自身で振り返ることができる。

例えば、部活の帰りにコンビニで買い食いしていた子どもが、「お金を貯めたいから」と買い食いをやめたなど、「支出の積み重ねが見えるようになることで、子どもが自らお金の使い方の計画性を考え出すことにつながる」と、見原さんは話す。

「報酬制」で自ら“収入を増やす”体験も

また「シャトルペイ」は、「毎月」「曜日」など決まった日に決まった金額を自動で送れる機能だけでなく、お手伝いや毎日の勉強などに応じてお小遣いを渡す「報酬制」に対応した機能も備えている。

報酬の対象とするお手伝いを事前に登録しておき、そのお手伝いを子どもが終えると、アプリを通じて「完了報告」が親に届く仕組みだ。親は、タイミングを逃さずに報酬を渡すことができる。

お手伝いが完了すると親用アプリに通知が届く(画像はイメージ)
お手伝いが完了すると親用アプリに通知が届く(画像はイメージ)

この機能によって、親におねだりしたり、節約してお小遣いを貯めたりするだけでなく、子どもが自ら“収入を増やす” 体験もできるのだ。

また、「勉強」については、報酬の対象を「テストの成績」にすると、自分の努力とは無関係にテストの難易度などによって報酬の有無が決まることがあり、失敗体験になってしまうケースもあるため、「結果ではなく行動」を対象とすることを勧めているという。

見原さんは、「今の親世代は、金融教育の重要性は知っているものの、自分自身が教えられてこなかったこともあり、子どもにどう教えてよいかわからない面もある。親子でコミュニケーションを取りながらお金の学びが深まるようなツールを目指したい」と話す。

口出しは我慢!子どもが自分で気づくきっかけを

とはいえ、買い物履歴が親に見られることに子どもが抵抗感を感じたり、親がついつい口出ししたくなったりすることはないのだろうか。このサービスをうまく使うためのポイントを聞くと、実際にあった親子のエピソードを教えてくれた。

「シャトルペイ」を使う小学生の女の子が、ある時、友達と大手コーヒーチェーンに行き、フローズンドリンクを飲んだ。その履歴を見て、親は「小学生にはまだ早いのでは…」という気持ちになったという。

(イメージ)
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しかし、頭ごなしに注意するのではなく「このお店に行ったんだね」という問いかけをしてみたところ、女の子は「お姉さんたちがそこのお店で飲んでいる様子を見てすごくかっこよかったから、友達とだけで一度体験してみたかったんだ」と、その理由を話したという。

さらに女の子からは、「でも一杯買うのに500円もしてお小遣いなくなっちゃったから、次はもっと違う買い物の仕方をしようかな」といった言葉まで出たのだった。

「親としては『またこんな無駄遣いして』などとつい言いたくなってしまうが、できるだけそれを我慢して、子どもが自分で気づくきっかけを作ってあげることがポイント」と見原さんは話す。

“親離れ”のタイミングが始め時?

ただ、いくらキャッシュレス時代であっても、「まずは現金の使い方から学ばせたい」と思う親は少くないだろう。キャッシュレスを使い始めるタイミングはいつが良いのだろうか。

「現金は支払いの瞬間に物理的にお金がなくなることから痛みを感じやすく、このお金を大切に使いたいという意識が高まるので、特に小学校の低・中学年頃までは現金になじんでおくメリットがある」と見原さん。

その後、塾に通うようになったり、子どもたちだけで出かけるようになったりと、自分で管理する金額が増えるのが小学校高学年。こうした時期やスマートフォンを持ち始めるタイミングなどでキャシュレスでの管理を始めるのがおすすめだという。

親からすると、子どもの様子が少し見えにくくなる“親離れ”のタイミングでもある。子どもの自立の第一歩にもなるお小遣いの管理。

お正月でもらうお年玉をきっかけに、改めて親子で“お小遣いの管理”を考えてみてもよいかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。