自由気ままな子どもたちに、いつも親はハラハラドキドキ、時にもやもや。
「笑った!困った!」…でもウチの子はどうしてこんなことするんだろう。その行動の裏には、知られざる“子どものココロ”が隠されているはず。

今回、元気なココロちゃんとマナブくんきょうだいの育児に追われる小木(こぎ)さん一家が注目したのは、こんなお話。

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「みんな持ってる」は魔法の言葉?記事の続きをチェック!
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「今までは『あれ買って!』だったのに、大きくなったら『みんな持ってるから、あれ買って!』におねだりの仕方が変化した?本当に友達みんなが持っているなら買ってあげるべきかも?と悩んでしまう…」


流行のおもちゃや洋服、スマホなど、子どもたちから「これ欲しい!」とお願いされるアイテムたちは色々あるけれど、パパママ自身「よそはよそ、うちはうち!」と叱られた経験のある人も多いはず。

子どもたちにもぴしゃりと「買いません!」と言いたい気持ちもあるけれど、友達同士で集まって遊ぶゲームなど、本当に“みんな”が持っているものなら、買ってあげないと仲間はずれになっちゃうかも?と心配することもあるだろう。

ネット上には「小学生になったら『みんな持っているから…』とおねだりされるようになった」という話もあるけれど、子どもたちが「みんな持っているから」と口にするようになるのは、どんな気持ちから?そしてそんなおねだりに、パパママはどう対応したらいいの?育児に役立つ“子育て心理学”を発信している公認心理師・佐藤めぐみさんにお話を聞いた。

まずは「その子にとっての“みんな”」を把握してみよう

――「あれ欲しい!」ではなく、「みんな持っているから欲しい!」におねだりの仕方が変化。これって何歳くらいから?

人の持っているものを「いいな」「欲しいな」と思うのは、私たち大人もよくあることなので、この心理自体はどの年代でも見られる現象と言えますが、子どもの場合、その“欲しがり方”はたしかに年齢で変わってきますね。

たとえば、公園の砂場や児童館などで遊んでいる年頃だと「あの子の持っているおもちゃが欲しい」とその場でスコップやおもちゃを借りようとしますが、その後、ママやパパと買い物に行ったりする中で、物はお店でお金を払って購入するものということを知り、「これ買って」「あれ買って」というおねだりが始まります。これは幼稚園時代あたりがピークでしょうか。

そして小学校に入ると、学校やお友だちの家など活動範囲が広がることもあり、様々な物を見る機会が増えるので、この頃から「みんな持っているから欲しい!」が出てくるようになるようです。さらに小学校の半ば過ぎになれば、他者と自分を比較したり、自分が相手からどう見られているかが気になり出すので、なおさら「みんなと一緒」という思いが出てきやすくなるのでしょう。


――「みんな持っているから」をおねだりの“切り札”に…これってどんな気持ちから?

「みんなが持っている」と言えば、買ってもらえるのではないかという1つの交渉術にはなっていると思います。とくに以前それで買ってもらった経験をしていれば、親を説得するいい材料になっているはずです。

一方で、その子なりに切実な場合もあるでしょう。たとえば、それを持っていないと会話に交われないと感じていれば、「みんなと同じ物が欲しい」と思うのは自然なことです。

あとは私たちの“文化的自己観”も関係しているところはありそうです。これは、それぞれの文化圏で歴史的に共有されている自己像のことで、東アジアの人は“相互協調的自己観”を持っていると言われています。そのため、私たち日本人は、人との関わりにおいて、調和や協調を重んじる傾向が強いので、「みんなと一緒」という状態を心地よく感じやすいのです。

欧米の人は“相互独立的自己観”を持っているとされ、その場合、他者との違いの中に自分を見出していきます。私は20年以上ヨーロッパに住んでいたのですが、たしかに個性や独自性がよしとされており、日本ほど“流行り”とか“ブーム”というのがなかったように思います。その点からすると「みんな持っているから!」というおねだりは、日本の方が起こりやすいのかもしれませんね。


――「よそはよそ!」「本当にみんな持ってるの?」子どもたちのおねだりにはどう対応するのがいい?

上で触れたように、子どもの訴えが切実なときも中にはあります。まずは「“みんな”って、実際に誰がそれを持っているの?」と聞いてみるのはいいアプローチだと思います。

聞いてみると、案外2人だけだったということもあるでしょうし、まれだとは思いますが、本当に「我が子以外の全員」ということもあるかもしれません。その子にとっての“みんな”を知り、状況を把握してからの方が、親としてもその後の判断がしやすいと思います。

ただ、何でも買ってあげればいいわけではないことは、多くの方が感じているところです。小学生になれば、お小遣いをもらっている子も多いと思うので、自分の中でやりくりすることを経験させるのもいい学びになると思います。お小遣いで買えないような大きなものであれば、誕生日やクリスマスなどの特別なイベントの“欲しいものリスト”に加えるというのも賢明な方法でしょう。

本当に「みんな持ってた…」なんてこともあるかも
本当に「みんな持ってた…」なんてこともあるかも

子どもたちが「みんな持っているから~」とおねだりするようになるのは、家族以外の人との関わりが増える小学生頃から。
そして、欲しいものをゲットするために「みんな持ってる!」を利用することもあるけれど、実は子どもたちのコミュニティーの中で本当に「○○を持っていないのは自分だけ、話に入れない…」という状況になってしまっていることもあるので、「みんな持ってるなんて、ウソでしょ!」と決めつけちゃうのはNGかも。

まずは、子どもたちの言う「みんな」について聞いてから、おうちルールに則って「買う?買わない?」の判断をするのがいいだろう。

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※改めて取材をさせて頂く場合もございます。

(解説:佐藤めぐみ/公認心理師)
英・レスター大学大学院修士号取得・オランダ心理学会認定心理士。欧米で学んだ心理学を日本の育児で取り入れやすい形にしたポジ育メソッドを考案。アメブロの「ちょっと子育て心理学」(http://ameblo.jp/la-camomille/)にて発信中。

(漫画:さいとうひさし)

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。