2012年と比べると小学生で7.2%、中学生では10%以上、視力1.0未満の子どもが増えているという。対策を医師に聞くと、「距離」「時間」「日光を浴びる」という3つのポイントを挙げた。独自の取り組みをしている小学校では、視力1.0未満の児童が減少しているという。

1.0未満が過去最多に

福島県矢吹町の三神小学校。昇降口には「目を大切に」と書かれたイラストが掲示されている。養護教諭の渡邉博子さんは「以前は高学年で眼鏡をつけている児童が多かったが、最近は中学年、低学年とかも多い」と、児童の視力低下について語る。
文部科学省の2022年度の調査によると、福島県内の小学生で裸眼の視力が1.0未満の割合は42%。この5年で5%ほど上昇し、記録が残る1979年以降最多となった。

福島県矢吹町立三神小学校 児童の意識を高めるポスター
福島県矢吹町立三神小学校 児童の意識を高めるポスター
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改善のヒミツは正しい姿勢

三神小学校で、2021年は視力1.0未満の児童が44.6%となった。しかし2022年は38%、2023年は31.8%と回復している。
その秘密が…毎週1回、朝行うその名も「三神ストレッチ」 三神小学校独自の取り組みで、背中や首、腕を伸ばし正しい姿勢を作る。この正しい姿勢を一人一人に意識してもらう事こそが、一番のポイントだという。

ストレッチを取り入れると視力1.0未満の児童が減少
ストレッチを取り入れると視力1.0未満の児童が減少

姿勢を正し 画面から離れる

児童にストレッチの効果を聞くと「授業中とかに猫背になっていたら、気づくようになった」「正しい姿勢だと、距離感が違う気がする。姿勢が悪いと画面を近くで見ているけど、姿勢が良いと画面から離れて、目悪くなりにくいかな」との感想が。
学校では、保護者に対して自宅でテレビやパソコン画面などを見る時間を長くし過ぎないよう呼びかけも行っている。

タブレットを使った授業でも姿勢を意識するように
タブレットを使った授業でも姿勢を意識するように

中学生ではさらに深刻

最新の調査結果では、視力が1.0未満の子どもの割合が、小学校では42%。2012年が34.8%だったので7.2%の増加となる。中学生はさらに深刻な状況で、67%と7割に迫っていて2012年より10%以上増えている。いずれも記録が残る1979年以降、最多となる。

小学生・中学生 いずれも記録が残る1979年以降最多
小学生・中学生 いずれも記録が残る1979年以降最多

要因は環境の変化

福島県福島市のしおや眼科・塩谷浩院長は「環境の変化」が要因にあると話し「今一番、眼科の世界で考えられているのは、デジタルデバイスの普及。10・20年前であれば、子どもがタブレットやスマートフォンを使って勉強するとか遊びに使うとか少なかったはず。近くを見る道具が増えてきた。それによっておそらく近視、近視性乱視が増えていると考えられている」と指摘する。

しおや眼科・塩谷浩院長「近くを見る道具が増えてきた」
しおや眼科・塩谷浩院長「近くを見る道具が増えてきた」

意識する3つのポイント

とはいえ、今やスマートフォンは私たちの生活に欠かせないもの。塩谷院長によると、意識する3つのポイントがあるという。
1つ目は「距離」スマホやパソコン本を読む際も30センチは離すこと。2つ目は「時間」30分を目安に遠くを見ることを心がける。そして3つ目は、一日2時間以上外で活動し「日光を浴びる時間を作ること」

目のために意識すべきこと「距離・時間・日光を浴びる」
目のために意識すべきこと「距離・時間・日光を浴びる」

長時間近くを見ていると、ピントを合わせる目の筋肉が緊張したまま戻らなくなる。筋肉をリラックスさせることが大切なようだ。

ストレッチでリラックス
ストレッチでリラックス

塩谷院長は「時代の流れとしては必要な流れ。使ってはけないではなく、正しい使い方を。距離が近づきすぎないようにして、休みを入れながら、途中途中で大人が気が付いたら声をかけてあげるということがすごく大事」だと話した。

(福島テレビ)

福島テレビ
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