2025年の大阪・関西万博の国負担費用は最大1647億円に上ることを政府が発表し、自見万博担当大臣は内訳を説明した。津田塾大学教授の萱野氏は、テーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」について、地球規模の課題解決の場としての意義を強調すべきと指摘する。  

万博の国負担、最大1647億円

2025年の大阪関西万博について、政府は国が負担する費用の総額は、最大で1647億円と発表した。

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これは自見万博担当大臣が記者会見で明らかにしたもので、万博開催の国の費用の総額は、最大で約1647億円としている。

内訳は、会場建設費の国負担分783億円のほか、日本館の建設費360億円、途上国の出展支援240億円、会場内の警備費199億円、全国的な機運醸成などの費用38億円。

そして、これまでに誘致などでかかった費用が27億円だ。さらに今後、機運醸成のための費用の追加が見込まれるとしている。

自見大臣は会見で「費用対効果をきちんと説明できるよう、経済波及効果も再度試算する」と述べた。

全力で機運高める取り組みを 

「Live News α」では、津田塾大学教授の萱野稔人(かやの としひと)さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
約半世紀ぶりに大阪で開かれる万博。萱野さんは、どうご覧になりますか。

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
大阪・関西万博については、建設費や運営費の膨張や、準備の遅れなどネガティブな話題ばかりが先行している。

開幕まであと500日を切っており、前売り入場券の販売も始まっているにも関わらず、なかなか機運が高まっていない。

このまま機運が高まらなければ、入場券の売上にも影響してしまい、万博の収支さえ悪化しかねない。

開幕までどう機運を高めていくか。運営主体の日本国際博覧会協会や大阪府・市、そして、政府はこの機運の醸成に全力で取り組まなくてはならない。

堤 礼実 キャスター:
せっかくの万博ですから、日本はもちろん、世界の人に楽しんでもらえるようになるといいですよね。

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
ポイントは「莫大なお金をかけてまで、万博を開催する意味なんてあるのか」という懐疑論を吹き飛ばすほどの、開催の意義を人々に示せるかということ。

事実、国際的にも「万博は時代遅れではないか」という懐疑論は根強くある。考えなくてはならないのは、万博に求められるものが、かつてとは大きく変わってきているということ。

万博は地球規模の問題解決の場

堤 礼実 キャスター:
それは、どういうことでしょうか。

津田塾大学教授・萱野稔人さん:
もともと万博は、それぞれの国の産業力や文化力を示すための、国家の見本市という性格を強く持っていた。その一つのピークが、来場者数が当時過去最高の6400万人となった1970年の大阪万博。

しかしその後、万博に求められるものが、地球規模の課題の解決策を考えることへと大きく変化してきた。

今回の大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」としているが、ここに込めたものを、改めて考えてみる必要がある。

そのテーマの本質を深く掘り下げることで、大阪・関西万博がまさに、いのち輝く未来社会を作るための、地球規模の課題解決の場になることを示していくことが求められている。

半世紀前に大阪で開かれた万博とは全く違った、”新しい万博”の形を示してほしい。

堤 礼実 キャスター:
そもそも万博は、世界中の英知を集めて新たなアイディアが生まれる場であり、そこで日本の文化を世界に発信することが目的ですよね。さまざまな意見がありますが、その目的を忘れずにより良い形になっていくことを期待したいです。
(「Live News α」12月19日放送分より)

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