賃貸契約件数No.1の賃貸仲介事業を展開する「いい部屋ネット」(大東建託リーシング株式会社)は、着実な成長を遂げ、市場でもトップ級の地位を築いてきた。

また、後発としてスタートしたフランチャイズ事業(以下「FC」と表記)においても、加盟店は、わずか2年程で100店舗を超えている。成功の秘訣はどこにあるのだろうか。

フジテレビアナウンサー・小山内鈴奈が、「いい部屋ネット」事業部・安達晃仁さんに、その経営戦略を聞いた。

「いい部屋ネット」の成長を支える“覆面調査”

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――「いい部屋ネット」のサービスを活用した経験のある人も多いと思います。まずはそのサービスの強みや特徴について教えてください。

「いい部屋ネット」(を展開する大東建託リーシング株式会社)の契約件数は16万件、グループで25万件を超えました(※1)。この数字は全国1位で、13年連続No.1でもあります。

「いい部屋ネット」は業界の中でも先駆的に全国すべての都道府県に店舗展開ができたブランドです。

また、サービスを開始した当初は自社のお部屋のみを取り扱っていましたが、今はすべてのお部屋が取り扱いの対象になっています。幅広い層のお客さまのお部屋さがしをサポートする、その件数は、お客さまの信頼の数だと私たちは考えています。

(※1)全国賃貸住宅新聞「2023賃貸仲介件数ランキング399社」(2023年1月2日発行)
直営店舗の仲介件数において(大東建託グループ)

その言葉の通り、2021年にスタートしたFC事業では、加盟店を100店舗超にまで拡大することができたという。

――「いい部屋ネット」を成長させたブランド戦略にはどのようなものがありますか。

常にお客さまの声を大切にすることを心がけてきました。

たとえば、全店舗への覆面調査を実施しています。そのチェック項目は70を超え、その結果を開示して、お客さま目線の店舗運営、接客の質向上に役立てています。

お客さまに実施する調査では、「担当したスタッフだけでなく、店長から挨拶がありましたか?」「お客さまがご来店される際に、店舗の場所はわかりやすかったですか?」「お客さまの要望だけでなく、こういう項目についてもスタッフは話を聴きましたか?」といったことをチェックします。

後発だからこそできたブランド&ネット戦略 

「いい部屋ネット」事業部・安達晃仁氏
「いい部屋ネット」事業部・安達晃仁氏

覆面調査の70項目には、培ってきたノウハウが集約され、それらが実践されているかを徹底チェックし、お客さまからの要望を聞いていく。

そして、そこで得たお客さまの声を店舗運営やブランドの強化に反映させていると安達さんは語る。

「当社は、お客さまの声をブランドだけでなく、現場の店舗にまで浸透させています。その統一感が『いい部屋ネット』ブランドの認知拡大に繋がっています。

また、知名度を高めるという意味でいうと、ネット戦略も欠かせません。この点において、当社は業界の“後発”として出発した強みを活かしました」

部屋さがしをする人のほとんどは、まずネットで検索をする。その際、サイトが検索上位に表示されることが大切だという。

そのためには、Googleのアルゴリズムを理解し、Googleに評価されるようにサイトを作る必要がある。「いい部屋ネット」では“Google最適化”を最初から意識し、サイト制作に取り掛かった。

「少し込み入った話になりますが、当初使用していたサイトを閉鎖し、新しいクラウドでサイトを一から制作しています。

他社の多くのサイトは、途中からクラウドへの移行を試みて困難に直面しています。私たちは『クラウドが普通』という時代になってからサイトを新しく作っているので、サイトの最適化、使いやすさ、表示スピードの対応も最初からできた。

その強みを活かし、さらには賃貸業界のことを熟知しているエンジニアにサイト制作を依頼し、刷新することで、賃貸に関するお問い合わせの数を急増させ、その結果、2019年比で400%を超えました」

「いい部屋ネット」FC加盟はメリット多い?

――FC加盟店が急増した要因はなんでしょうか。

「いい部屋ネット」のブランド認知率は70%以上あります(※2)。

これだけ知られていれば、お部屋さがしをしているお客さまも安心感を抱くでしょう。店舗を出したいと考えているFC加盟店のオーナーもお店が出しやすくなります。

多くのFC加盟店オーナーは賃貸業界に課題を感じています。

私たちはそこに本気で取り組もうとしていて、そこに加盟店オーナーが共感してくれたこと、また、業界と本サービスを当社と共に作り上げていこうという意志を共有できたことが、加盟店の急増の要因だと私は考えています。

年数回、加盟店の売り上げサポートや交流会を実施(代表取締役社長 川原栄司氏)
年数回、加盟店の売り上げサポートや交流会を実施(代表取締役社長 川原栄司氏)

それに、当社FCに加盟するメリットは他にもあります。

他社の多くは、実はFCを目的に賃貸仲介業に進出しています。一方、私たちは賃貸仲介業を全国展開した後にFCを始めた。それゆえ、賃貸仲介業に関するノウハウの蓄積が違います。

どうすればお客さまからのお部屋さがしのお問い合わせが増えるのか、成約率が上がるのか、そういったことに当社なら最適な答えが出せる。

それらノウハウを、加盟店に提供しています。定期的に支部会やFC SUMMITを実施し情報提供の機会を設けているのです。

また、FCでありながら自由で制約が少ないのも当社の特徴です。FCの多くには、「看板はこれを使いなさい」「店舗内装やイス、机はこうしなさい」「システムはこれを選びなさい」といった制約がありますが、私たちにはない。

加盟店には、「当社のブランドを活用して売上をあげてください」と説明しています。これも、みなさんから喜ばれている点です。

FC加盟オーナーたちの声

実際に、FCに加盟している2人のオーナーにも、FC加盟のメリットについて聞いた。

株式会社CUBE代表取締役・岡田孝さん
株式会社CUBE代表取締役・岡田孝さん

「『いい部屋ネット』はみんなが知るブランドなので、安心感がありますよね。来店率も向上しています。看板を見て、予約なしで来店するお客さまも増えました」(FC加盟店オーナーで株式会社CUBE代表取締役・岡田孝さん)

株式会社ハナホーム代表取締役・中村祥成さん
株式会社ハナホーム代表取締役・中村祥成さん

「知名度あるサイトにお部屋の広告が出せるメリットがありますよね。また、フランチャイズでありながら、チームでやっている感じがして、心強さを感じています」(FC加盟店オーナーで株式会社ハナホーム代表取締役・中村祥成さん)

成長を続ける「いい部屋ネット」。今後何を目指していくのだろうか。

――最後に、「いい部屋ネット」の今後の展望についてお聞かせください。

全国に広がる知名度と仲介事業で培ったノウハウをもとに、さまざまなサービスを提供して、お客さまはもとより加盟店のみなさまをサポートしていきます。

特に、今後は加盟店さまとの協業により、「いい部屋ネット」ブランドのさらなる認知拡大と「仲介力」強化を図り、当面は2030年までに550店舗を目指す形で店舗網を広げ、利便性とサービスの向上を目指します。

(※2)ブランド認知
調査主体:大東建託リーシング株式会社
調査実施機関:株式会社インテージ
調査方法(抽出フレーム):インターネット調査
(インテージネットモニターより適格者を抽出)
調査実施時期 :≪SCR≫2023年7月28日(金)~7月31日(月) 
≪本調査≫2023年8月7日(月)~8月10日(木)
調査地域・対象者条件:全国(沖縄を除く)18~49歳男女
サンプルサイズ:≪SCR≫WB後:17902s ≪本調査≫WB後:4985s

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