出産後のママの心と体をサポートする「産後ケア」。

ホテルに泊って、子どもを預け、育児相談などが受けられる産後ケアの「体験宿泊」が札幌市で行われた。

「産後ケア」をホテルで体験

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ご機嫌な赤ちゃん。そのそばにはすやすや眠る赤ちゃんも。

泣き出す子がいるとあやすのは、助産師だ。

ここは札幌市内のホテルの一室。

助産師が24時間体制で赤ちゃんを預かり、子育ての相談や授乳の指導などを行っている。

ママの心と体を癒してくれる「宿泊型の産後ケア」。

ホテルでの取り組みは北海道で初だ。

ママたちはどう癒やされたのだろうか。

出産後の心と体をサポート

11月14日、札幌市北区のホテルで行われた宿泊型の産後ケア。

生後6か月以下の赤ちゃんを育てるママが対象で、1部屋3万9500円で利用できる。

この日宿泊するのは4組。スタッフみんなが温かく出迎えてくれた。

「夜はお父さん、何時ごろに帰ってくるんですか?」(助産師)

「午後6時くらい。でも月2、3回泊りでいないときがあるので、その日がつらい」(谷口 明莉さん)

「それはつらいですね。夜一人でお風呂に、ご飯に食べさせて」(助産師)

生後4か月と2歳の子を持つ谷口明莉さん。

2人の育児に追われる毎日だ。

「一番大変なのは寝不足。夜の授乳と、上の子もまだ夜起きるので、まとまって8時間くらい寝られたら幸せだなと思う」(谷口さん)

国は少子化対策の一つとして、2022年から産後ケアを自治体の努力義務とした。

北海道では68の自治体が病院などで宿泊型の産後ケアを行っている。

育児中のママに癒しを

ホテルでの産後ケアの体験宿泊を企画したのは、高橋奈美さん。

2歳の女の子のママだ。

夫は出張で家を空けることが多く、ワンオペ育児に追われながら、産後うつの状態になったという。

「1人目の育児で全部分からないことだらけで、神経質になった。ほぼ寝ずに過ごしている日があり、気づいたらベランダで外を見て、はだしで立っていた日もあった」(産後ケアホテルCocokara 高橋 奈美さん)

第2子の出産をためらってしまうことがないように、何かを変えたいと思った。

「今後2人目、3人目を考えたときにこのままの状況じゃ産めないと思った。産後ホテルを知り、札幌にあったら今すぐ泊まりたいと思って調べたみたけど見つからなくて、自分で作ろうと思った」(高橋さん)

高橋さんと打ち合わせをしているのは、助産師の荒木美里さん。

ホテルでの産後ケアを一緒に企画した。

「病院勤務していた時、産後ママの退院したあとの暗い表情や話したら泣いてしまう状況を目の当たりにして、産後ケアって大事だと考えた」(荒木さん)

ホテルのチェックアウトを前に、赤ちゃんがママのもとに帰ってきた。

「夜は完全に預けてゆっくり休んだ。久しぶりにゆっくりできて、(下の子に)早く会いたくなった。心の余裕ができた感じがする」(谷口さん)

出産後の選択肢の一つに

「マッサージも楽しんだみたいなので、下の子の手がかからない分、普段以上に長男に仲良く接することができていたのでは」(谷口さんの夫)

ママが自分だけの時間を取り戻した産後ケア。

出産後の選択肢の一つにしてほしいと高橋さんは話す。

「ママたちのリラックスした顔、来た時より肩の力が抜けたような顔が見られてうれしかった。ママは1人じゃない。頼れる場所があることを発信して、その受け皿を増やしていきたい」(高橋さん)

北海道文化放送
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