2040年には、世界の市場規模は150兆円になると試算される宇宙ビジネス。政府が宇宙戦略基金を創設するなど、日本でも宇宙開発への動きが活発化しているが、アメリカに比べるとその規模はまだ小さく遅れているとの指摘もある。エコノミストの視点からみた、現状とこれからの課題とは。

アジア最大級の宇宙ビジネス展示会

民間企業や大学を支援するために、政府が宇宙戦略基金を創設するなど、宇宙開発への動きが活発化する中、東京・日本橋で宇宙ビジネスに関する展示会が27日から始まった。

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アジア最大級となる宇宙ビジネスイベント「NIHONBASHI SPACE WEEK 2023」は、2022年の2倍を超える91の企業や団体が参加している。

2023年は損害保険会社や旅行会社などの宇宙関連以外の企業や、オーストラリア大使館も参加するなど、国内外での注目が高まっている。

JAXAのブースでは、1/30サイズの地球観測衛星「だいち4号」が展示された。「だいち4号」は、地震などの災害時だけでなく、火山活動の早期発見や農業などでも活用されるという。

また、実業家の前澤友作さんが乗った、ロシアの宇宙船「ソユーズ」の帰還モジュールも公開された。

前澤友作氏:
到着したままの姿です。近寄って見ると焦げがすごくリアル。地球に帰還後、あまりじっくり見る機会がなかった。じっくり見られてうれしいです。

展示会は、27日から12月1日までの5日間、東京・日本橋で行われる。

宇宙ビジネスは現在の3倍の市場規模に

「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
宇宙ビジネス、成長への期待が高いようですね。

エコノミスト・崔真淑さん:
宇宙ビジネスは、世界では2040年までに市場規模は150兆円と、いまの3倍なるという試算もあります。

宇宙ビジネスというと、遠いイメージがあるかもしれませんが、実は地球に住んでいる私たちの生活をよりよくするためのビジネスでもあります。例えば、半導体などの製造に欠かせないレアメタルの発掘、宇宙空間での新しい薬の開発といったものが期待されています。

ただ、日本の宇宙ビジネスはアメリカに比べるとまだ規模が小さく、遅れているとの声もあります。

堤キャスター:
宇宙を舞台にした世界的なビジネス競争において、日本はどのようなポジションにありますか。

エコノミスト・崔真淑さん:
宇宙ビジネスというと、今までアメリカが行ってきた「アポロ計画」「スペースシャトル」といった国家ありきのものが注目されていましたが、今は民間企業の動向が注目されています。

日本の宇宙ビジネスを行う民間企業は、アメリカの企業に比べると、規模が小さく遅れているという声があります。ではなぜそうなっているのかといえば、宇宙ビジネスを行うベンチャー企業に対して、リスクマネーが供給しきれていないからではないかという声があります。

そのため、政府も取り組みを行っていますが、私としては銀行の取り組みも注目したいと思っています。

巨額マネーを持つ「銀行」の取り組みに注目

堤キャスター:
銀行の取り組み、宇宙ビジネスへの投資というのは、具体的にはどういったことでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
宇宙ビジネスを行うベンチャー企業に対してリスクマネーを供給するといえば、ベンチャーキャピタルを思い浮かべる方も少なくないと思います。ただ、日本のベンチャーキャピタルはアメリカに比べると規模が小さく、早い段階で株式を手放してしまう、つまり、早い段階でベンチャー企業を上場させてしまうので、それが企業の成長の重しになってしまい、大胆な経営活動ができない、そういった事が指摘されています。

そうなるとやはり、日本で伝統的にリスクマネーを供給してきて、そして巨額マネーを持っている銀行がどう取り組むのか、私は注目しています。

堤キャスター:
宇宙産業の進歩が地球での課題解決に繋がるというケースもあるはずです。宇宙という新たな市場を上手く使うことで、世界のさらなる成長を期待したいですね。
(「Live News α」11月27日放送分より)

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