12月21日は日本列島に強い寒気が流れ込む見込みだ。冬は暖房器具の使用などで電気代が家計に与える影響が大きくなる。多くの家庭で使われているのがエアコン。少しでも電気代を抑えるにはどうすればいいのか。大手空調メーカーのダイキン工業にエアコン暖房時の節電のポイントを聞いた。

設定温度1度下げると10%節電

ダイキン工業は「エアコン暖房の節電に関する実態調査」を実施。(全国528人の20歳~59歳の男女を対象)

調査によると、エアコン使用中に肌寒さを感じた人のうち7割以上がエアコンの設定温度を上げているという。

ダイキン工業の広報・森重雄己さんは、「エアコンの設定温度は消費電力に大きくかかわっています。設定温度を上げるとそのぶん運ぶ熱の量が多くなるので消費電力量は増加します。設定温度を1℃下げると約10%電気代を節約できると言われています」と話す。

肌寒さを感じると、エアコンの設定温度を上げたくなるが、その前に少し工夫するだけで節電できるという。

基本的な節電ポイントは

ダイキン工業の広報・森重雄己さん節電のポイントを聞いた。

【設定温度】
お住まいの地域や住宅の断熱性など、各ご家庭の適切な設定温度はさまざまかと思います。一般的には環境省も推奨している室温20℃を目安に調整していただけたら。

エアコン 節電のポイントは?
エアコン 節電のポイントは?
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【フィルター掃除】
エアコンの室内機は部屋の冷たい空気を吸い込み、暖かい空気にして送り出すことで部屋を暖かくしています。エアコンのフィルターにホコリがたまっていると、熱交換器を通る空気の量が減り、熱を送り出す効率が下がるので、その分、電気代がかかってしまいます。空気の通り道をふさがないよう2週間に1回を目安に定期的な掃除を心がけましょう。フィルターを1年間掃除しないと消費電力が約25%も無駄になると言われています。フィルター掃除は節電にたいへん効果的です。

フィルターのお掃除は簡単で、エアコン前面のパネルを開けてフィルターを取り外し、ホコリを掃除機などで吸い取りましょう。また、エアコンがキッチンの近くなどにある場合は、油煙を吸い込むなどしてフィルターの汚れが落ちにくいことがあります。そういった場合は中性洗剤を溶かしたぬるま湯で洗い、十分に陰干ししてから室内機に戻しましょう。

フィルター掃除
フィルター掃除

【室外機周辺の整理整頓】
エアコンの暖房運転時、室外機は屋外の空気から熱を集める役割をします(集めた熱は室内機に運ばれて部屋を暖めます)。空気中の熱を集める際、室外機は背面や側面から空気を吸い込み、その空気から熱を奪った後に正面から吹き出します。室外機の周辺に障害物などがあると空気の流れが滞り効率的に熱を集められなくなって消費電力が増える場合があります。室外機の周辺はすっきりと余計なものは置かず、障害物は取り除くことが大切です。

室外機周辺の整理整頓
室外機周辺の整理整頓

ON・OFFは控えめに 風量は「自動」

【エアコンの心臓にかかる負担を減らす】
工夫の1つ目はスイッチのオン・オフは控え目にすることです。エアコンはスイッチを入れると室内を素早く暖めようと圧縮機が勢いよく動いてより多くの熱を運びます。圧縮機は室内が適温になったら、その状態を維持できる程度に力を落として安定運転を続けます。室温が下がってくると、圧縮機はまた動きを強めます。スイッチのオン・オフを繰り返すと、圧縮機への負荷が高まる頻度が増えて多くの電力を消費します。ダイキンの実験では30分程度の外出なら一度オフにするより「つけっぱなし」の方が節電につながるという結果となりました。エアコンの頻繁なオン・オフはなるべく控えることをおすすめします。

ON・OFFは控えめに ダイキン工業の資料より作成
ON・OFFは控えめに ダイキン工業の資料より作成

【風量】
工夫の2つ目は、「風量自動」です。節電のため風量を弱めに設定していると、熱交換器を通る空気の量が減り、室内に送り出す熱の量も減ってしまいます。その分、圧縮機に負担がかかり、余計な電気を使ってしまいます。風量を自動にしておくと、エアコンはスイッチを入れた後、どんどん熱を室内に運んで素早く部屋を暖かくします。必要な分だけ室内の熱を増やしたら後はお部屋の温度を維持できるよう安定運転を続けます。風量自動は、より効率的な運転で圧縮機の負担を減らします。

風向は「下向き」 

【温度ムラを抑える】
1つ目は、お部屋の「温度ムラ」を抑えることです。暖かい空気は軽くて上昇する性質があり、暖房中は天井付近と床付近の温度に差が出る「温度ムラ」が起こりやすくなります。室内機で吸い込んだ空気の温度から室温を判断しているエアコンは天井に暖気がたまっていると「設定温度に達した」と判断して、床付近が寒くても運転をゆるめてしまいます。設定温度を上げれば足元の寒さも和らぎますが、その分、消費電力は増えてしまいます。無駄な電力消費を抑えるためには温度ムラを改善することが大切です。

温度ムラを抑えるためには、風向は「水平」ではなく「下向き」がおすすめです。下から暖かい空気が自然に上がるようにすることで温度ムラを抑える効果が期待できます。

風向は「下向き」に
風向は「下向き」に

それでも時間とともに温度ムラはできてしまうので、空気清浄機やサーキュレーターなどの活用もおすすめです。エアコンと向かい合わせに置いて天井方向に風を送ると室内の空気がかきまぜられて温度ムラが和らぎます。気流をコントロールしながら、ムダな電力消費を抑えることが大切です。

空気清浄機やサーキュレーターなどの活用も
空気清浄機やサーキュレーターなどの活用も

部屋の「湿度」を上げて

【設定温度を上げる前に】
2つ目は設定温度を上げる前にお部屋の湿度を上げてみましょう。空気には、温度が上がると湿度が下がる性質があり、エアコン暖房で部屋を暖めると湿度は下がります。また、湿度が低いと体感温度が下がり、同じ温度でも寒さを感じやすくなります。

体表温度のサーモグラフ 提供:ダイキン工業
体表温度のサーモグラフ 提供:ダイキン工業

洗濯物を部屋干ししたり、加湿器や加湿機能付きの空気清浄機を使ったりしてお部屋の湿度を40%~60%程度にするのがおすすめです。加湿機能付き空気清浄機を使うと温度ムラを抑えることもできるので、一石二鳥です。

部屋の「湿度」を上げて
部屋の「湿度」を上げて

カーテンでひと工夫を

【熱を逃さない】
最後の3つ目は熱を逃がさないことです。熱は暖かいところから冷たいところに移動する性質があり、室内から屋外へ少しずつ逃げて行ってしまいます。熱がたくさん逃げるほどエアコンは多くの熱を運んでこなくてはいけなくなるので消費電力の増加につながります。室内の熱が一番逃げやすいのが窓なのでカーテンでひと工夫するのもポイントです。断熱性の高いものを選んだり、上部や下部に隙間ができないよう、天井から床いっぱいまでたっぷり垂らすと保温効果が高まります。

実はカーテンの色も節電効果が期待できます。暖色系でまとめられたお部屋は、寒色と比べて暖かく感じるといわれています。カーテンの色で体感温度をあげて、暖房の設定温度をおさえるのも冬を快適に過ごす工夫のひとつです。

エネルギー価格の高騰や物価高が続き、家計への影響は厳しさを増している。少しでも電気代を抑えるため、工夫してみてはいかがでしょうか。

熱を逃さない
熱を逃さない

(長野放送)

長野放送
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