福岡・久留米市の中央分離帯に植えられた、いわゆる“無許可バナナ”がついに撤去となった。気になるバナナの行方だが、受け入れてくれる人が現れ、隣接する市で植え替えられることになった。

植えた男性「汚い所をきれいに…」

2023年10月24日、中央分離帯に植えられたモンキーバナナに水をあげる男性の姿があった。

この記事の画像(16枚)

水をやる男性とのやり取り(2023年10月24日)
記者:
いま、水をやっていましたけど、バナナを植えられた男性ですか
水をやる男性:
そうです
記者:
日課のように水をやっているのですか?
水をやる男性:
あげてますよ

バナナを育ていたのは近くに住む50代の男性で、3株のバナナは2021年に植えたという。

バナナを植えた男性:
(違法であることは?)いいや、知りませんよ。汚い所をきれいに、それだけ。許可は得ていませんし、許可の取り方も知りませんでした

2021年3月、現場の中央分離帯には何も植えられておらず、ごみのポイ捨てが多かったという。

「きれいにしたい」という思いから育て始められた無許可バナナ。順調に成長し、食べられるようにもなったが、中央分離帯で植物を勝手に育てることは、道路法に抵触する恐れがあり、男性は、久留米市からバナナを伐採するよう要請されたのだ。

気になる“バナナ”の味は?

そして、2023年11月13日午前9時過ぎ、作業員がコーンを並べ道路を封鎖し始めた。さらにそこにやって来たのは、ものものしい重機だ。

川崎健太キャスター:
重機が動き出しました。これからバナナが根元から抜かれることになります

造園業者によって撤去作業が始まった。道路の真ん中に植えられた前代未聞の無許可バナナ。造園業者も経験のない作業だと話す。

造園業者:
バナナ自体は中央分離帯に不向きな植物。バナナは「木」じゃなくて「草」なので、根っこが張らない。台風被害とかで非常に倒れやすいので、中央分離帯に植えることは、まずない

川崎健太キャスター:
結構、根元までスコップで。手作業なんですね、これ。いまバナナが倒れました。道路側にバナナ1株を倒しました

バナナを植えた男性:
もったいないですね、もったいない。せっかくなったのを。「バナナ並木にすればいいのにね」と思うけど、行政の方も意見がありますからね

実際にこのバナナ、どんな味がするのか。試食すると…。

川崎健太キャスター:
あ、キュウリですね。(男性に)どうですか? どんな味ですか?

バナナを植えた男性:
水分取られますね、口の中が

川崎健太キャスター:
パサパサしますよね、ちょっと苦みもあって

本来であれば早くて、あと数週間で食べ頃を迎えていたとみられる。

作業が始まって約1時間。中央分離帯に植えられていた3株のバナナは全て撤去され、バナナはトラックで運ばれて行った。撤去されたバナナは、一体どこに運ばれたのか?

植え替えられ“許可バナナ”に

バナナを乗せたトラックは、久留米市の現場から東に40分ほど走り、到着したのは、隣接する朝倉市だった。バナナを植えた男性の友人が、バナナの受け入れを申し出たという。

植え替えられることになったバナナ
植え替えられることになったバナナ

川に面した家の土手の斜面にバナナは植え替えられた。

男性は、「もう中央分離帯に無許可で植物を植えることはない。今後は自宅でバナナを育てたい」と話していた。
また、撤去を求めていた久留米市は「一部の市民があのバナナを好意的に見ていたことは認識している。今後、車の通行に問題がない範囲でバナナに代わる、見映えの良い植物を植えることも検討したい」としている。

(テレビ西日本)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(16枚)
テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。