アルピコ交通は11月10日、長野市と松本市を結ぶ高速バスの運行を2024年3月末で廃止すると発表した。その理由の一つが「運転手不足」。バス業界では、運転手の高齢化が進む一方、募集をかけても新たな働き手が現れず、運転手不足が深刻化している。減便や路線廃止などの動きも表面化する中、地域の足をどう守っていくのか、取り組みを取材した。
募集しても応募がない
教官のサポートを受けながらバスを運転する男性。新人運転手の訓練ではない。
運転手を確保しようとバス会社が開いた運転体験だ。
長電バス総務部の小林茂課長は、「運転士不足が顕著で、募集をかけてもなかなか応募がないので、実際に運転してもらって体験してもらい運転手ががこういう仕事だとわかってほしい」と、狙いを話す。
長野市を拠点に路線バスや高速バスを運行する長電バス。
10月1日時点の運転手は160人程度と、この4年間で2割も減った。
この記事の画像(5枚)減便・路線廃止 生活にも影響
小林課長は、「運転手は拘束時間が長くなりがちで敬遠されている。若くて免許を取る方も少なくなってきてる中で長野県で大型二種の免許取っている方は限られているので、応募がなくなってきている」と、現状を危惧している。
こうした影響で、10月1日から長野市や飯綱町を走る路線バスの減便を実施。
さらに、12月には長野と東京・池袋を結ぶ高速バスなどでも減便を予定している。
一方で、車を持たない高齢者などにとってバスは大事な「足」で、減便や路線の廃止は生活に大きく影響する。
地道な取り組みで人材確保を
現役ドライバーは、「待ってくれているお客さん、路線バスがなければ生活が成り立たない方がいっぱいいて、お手伝いできるのが醍醐味(だいごみ)。今だいぶ厳しい状況だけど存続して、われわれもしっかり運転して安心安全を届けたい」と話す。
地域の足を存続するためにどう運転手を確保するか。
そこで、長電バスが2022年12月から開いてきたのが、実際のバスを運転できる説明会。この日の参加者は2人。
ともにバスの運転に必要な「大型二種免許」を持っていて、「バス業界に興味があった」という。
長電バスによると、これまでに26人が参加し、3人の就職につながっていて、当面、説明会を継続していきたいとしている。
小林課長は「地道にこういう形で人材を掘り起こし、1人でも2人でも採用に結び付けていければ」と話す。
(長野放送)