台湾の半導体製造大手「TSMC」の熊本進出で“人材育成”が課題となっている中、熊本県教委は県立高校の生徒を対象に、初めて宿泊型の研修会を行った。また、熊本高専は台湾の国立成功大学と半導体関連産業の人材育成の協力などについて覚書を結んだ。
高校生がクリーンルームで製造実習
クリーンルームで半導体の製造装置の説明を受けるのは、熊本県内の県立高校に通う1年生と2年生あわせて15人。

この研修会は半導体に興味がある生徒に、より理解を深めてもらおうと、熊本県教育委員会が初めて企画したもので、水俣市にあるアスカインデックスの半導体実技総合大学校で、11月8日から2泊3日の日程で始まった。
参加した生徒の中には、工業系だけでなく普通科の生徒もいる。

研修では工場で実際に使われている半導体の製造装置を使った実習や、製造工程などを学ぶ講座などが予定されている。
研修に参加した高校生からは「製造装置を見る機会はないので良かった」などと好評だ。

熊本工業高校の生徒:
TSMCの熊本進出で半導体をくわしく知りたいと思った

翔陽高校の生徒:
半導体関連企業に入るなら知識は必須だと思った
この研修会は2023年度は3回開催され、あわせて45人の高校生が参加する予定で、県教委は「半導体関連の人材育成に向けて2024年度以降の実施も検討したい」としている。
熊本高専が台湾の国立大学と協定
また、9日は合志市にある熊本高専熊本キャンパスで調印式が行われ、熊本高専の高松洋(高は「はしごだか」)校長と国立成功大学のスーヤンクン学部長がそれぞれ協定書にサインした。

台湾の国立成功大学は1931年に創設された工業系が中心の総合大学で、2021年に半導体技術におけるハイレベルな人材育成を行う専門の学院が学内に新設された。

締結した覚書には、「学生や教員間の交流」、「半導体に関する学術的な情報交換」のほか、共同で研究を進めていくことなどが盛り込まれている。

熊本高専・高松洋校長:
世間では半導体というと経済面にハイライトされがちだが、その基盤となるもっと重要な研究や教育面で貢献できるようになることを心から願っている

両校によると、2023年8月に熊本高専の学生が台湾の成功大学を訪れ「サマーセミナー」を受講するなど、すでに交流事業が始まっているということで、今後も半導体関連産業の人材育成に貢献するため互いに協力していくという。
(テレビ熊本)