各地で相次ぐ、高齢ドライバーのブレーキとアクセルの踏み間違い事故。
ドライバーの意識が、はっきりしている状態で起きたものも少なくない。それなのになぜ、踏み間違いが起こるのか。
その原因の1つは、加齢による体のある部位の“変化”である可能性がみえてきた。
「あっ、え?」戸惑っている間に暴走、柱に激突
高齢ドライバーが、ブレーキとアクセルを踏み間違えたことで起きた、事故の映像がある。

【北海道警公式YouTube映像より】
運転手:
あっ、え?
駐車場で、発進後に急加速した車。

停車している車や木々の間をすり抜けていく。

進行方向には、人の姿もある。

そのまま、速度を落とすことなく建物の柱に激突。

その直前には、走って逃げている2人組の姿もあった。
ドライバー自身が踏み間違いを認識しているケースも少なくない。
では、なぜ意識がはっきりとした状態でも、踏み間違いは起きてしまうのか。
高齢ドライバーの事故について研究する専門家は、その原因の1つに、こんな可能性があるという。

福山大学 工学部・関根康史 准教授:
高齢者は運転経験が豊富になるので、用心深い運転は行う可能性がある。
しかし若い人に比べると股関節の可動域が少なくなっているので、本当はブレーキを踏むべきところが、股を閉じないで、そのままアクセルの方を間違えて踏んでしまうケースがあるのではないか。

年を重ねるにつれ狭くなる、股関節の可動域。
ブレーキを踏もうとした際に股が閉じきらず、アクセルから離した足が、再びアクセルの上に乗っているという。
原因の1つは“狭まった股関節の可動域”?セルフチェックの方法
また、人体構造の専門家は、股関節の可動域をセルフチェックする方法があるという。
杏林大学 理学療法学専攻・松村将司 講師:
いすに座った状態で太ももを動かさないようにして、ひざから先の足を外に開いたり内側に閉じたりする。
頭とか体が過剰に倒れてしまわないように、注意していただければ。


そこで「イット!」では、日常的に車を運転する70歳以上の高齢ドライバーたちに、この股関節の可動域のセルフチェックをやってもらった。

日常的に車を運転する高齢ドライバー(70代)と、番組スタッフ(30代)を比較すると、スタッフは軽々と外側に上がったのに対し、高齢ドライバーはあまり上がらず、足が地面からなかなか離れない。その差は歴然だ。
さらに...。

トラック運転手(70代):
こっちがキツいな。外側の筋が。
キツいな。ここ(外側の筋)が張る。張ってるね。それ以上、張っちゃって痛い。

70代(ほぼ毎日運転):
これキツいです。自然には上がらない。外側キツいです。痛いより硬い。上がらない、これ以上は。
体を動かすと、痛みを感じるという人もいた。
こうした映像を、あらためて専門家に見てもらうと...。

杏林大学 理学療法学専攻・松村 講師:
確実に(股関節が)硬くなってくるんだなっていうのは、全体的な印象としてあります。
股関節の可動域が小さいと足が開いてしまいますので、ブレーキに足が届きにくくなって、アクセルを間違えて踏んでしまう、踏み間違いの事故が起こる原因の1つとしては考えられる。
時に、大きな被害を生むことがある踏み間違い。
日ごろのチェックが必要となる。
(「イット!」10月26日放送より)