全国でクマが大量出没する中、福井では2023年初めての人身被害が発生した。農作業中の70代男性が頭を引っかかれ、けがを負った。男性は「最初は大きな犬かと思った。身構えたが、ほんの数秒で襲われた」と対応の難しさを語った。
「もう一瞬ですわ」被害男性が語った当時の状況
被害が発生したのは、福井・勝山市村岡町浄土寺の畑内。国道に面する地域で、周囲には複数の住宅がある。

勝山市によると、10月18日午前7時20分ごろ、72歳の男性が農作業をしていたところ、突如背後からクマに襲われた。男性は頭を引っかかれ、6針縫うけがを負った。命に別条はなかったが、全治2週間のけがを負った。
襲ってきたのは成獣1頭とみられ、山の方に逃げていったという。

クマに襲われた男性は「もう一瞬ですわ。鼻息が荒く、わたしは最初、犬かと思った。今までクマを見たことがない。クマと分かって身構えたけど、ほんの数秒だった」と当時の状況を語った。
付近には小学校の通学路も 県は緊急対策会議
現場付近には小学校の通学路があり、男性が襲われた10分ほど後に児童たちが集団登校をしていた。この小学校では、一部の地域の集団下校を取りやめた。

村岡小学校・有島直孝校長:
山側の4地区に対しては、保護者にお迎えをお願いしている。市街地の子供は先生がついて、集団下校する。校外学習やマラソン大会を控えていて、外を見守る教員を増やして活動していきたいと考えている

福井県内でクマによる人身被害が発生したことを受け、県は緊急の対策会議を開いた。クマのエサとなるドングリが不作で9月以降、冬眠を控えたクマがエサを求めて集落などに出没するケースが相次いでいることが報告された。
福井のこれまでのクマの出没件数は134件で、2022年の2.1倍になっている。

福井県はクマと遭遇しないための対策として、エサとなる柿の実などを早めに収穫すること、クマが動き出す早朝や夕方は、屋外での活動を控えるよう呼び掛けている。
(福井テレビ)