スペイン語で「神の子」を意味する「エルニーニョ」はクリスマスと漁業に由来する言葉。2023年は、その「エルニーニョ」の傾向がさらに強まり、「スーパーエルニーニョ」となり、日本の暖冬傾向が強まる可能性が出てきた。2015年には、「スーパーエルニーニョ」の影響で、スキー場で12月に雪が降らなかったり、ウメの花が12月に咲くという、季節外れの現象が起きていた。

「エルニーニョ」=「神の子」

23日は東京都心をはじめ、今シーズン一番の冷え込みとなるところがあった。例年とは異りそうな予測が出てきている今年の冬について、川原気象予報士がお伝えする。

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この冬のキーワードは、「スーパーエルニーニョ」だ。
発生すると、日本は暖冬になる傾向が強くなる「エルニーニョ」だが、今年の冬は、それがさらに「スーパーエルニーニョ」になるのではないかという見込みだ。

11日、気象庁が、この冬は「エルニーニョ現象が続く可能性が高い」と発表した。

「エルニーニョ現象」は、太平洋の東側海域、ペルー沖の海面水温が、基準の値よりも継続して0.5℃以上高くなることをいう。

「エルニーニョ」は、スペイン語で「神の子」を指す言葉。

かつて、冬に急に海水温が上がり、獲れるはずの魚が獲れなくなる現象が起き、それがちょうどクリスマスの時期だったことから、漁師たちがその現象を「エルニーニョ(神の子)現象」と呼ぶようになったと言われている。

2023年は、ペルー沖の海面水温が9月、10月と続けて2℃以上も基準値より高くなっており、「スーパーエルニーニョ」が久しぶりに発生すると予測されている。

2023年冬は雪不足か

日本には、どんな影響があるのだろうか。

雪が降らず止まったままのリフト
雪が降らず止まったままのリフト

偏西風が日本付近で北に蛇行し、暖かい空気が列島を覆いやすくなるため、暖冬になる傾向がある。

実際、8年前の2015年の冬に「スーパーエルニーニョ」が起きた。2015年12月の新潟県湯沢町のスキー場の様子を見ると、雪が降らず、止まったままのリフトに、草が生い茂ったゲレンデ。12月のスキー場とは思えない光景だった。

そして、広島県広島市の庭園では、本来なら真冬の1月半ば以降に咲き始めるウメの花が12月に咲くという現象も起きた。

今年の冬も、雪不足になる可能性があるのだろうか。

9月に発表された今年の冬の予報を見ると、平均気温は全国的に平年より高い予想になっている。特に東京から西側では、それが顕著だ。また、雪の降る量も、雪国を中心に平年と比べて少ない予想となっている。

しかし、8年前の「スーパーエルニーニョ」の時も、年明けに関東で雪が降ったりした。今年も海水温が高く、寒気が下りてくるなどの条件が合えば、まとまった雪が降る可能性もあるので、十分に備える必要がある。
(「イット!」 10月23日放送より)

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