人口・約1万4700人の町、山梨県・市川三郷町。
10月20日に開かれた住民説明会では、自治体の出した“ある宣言”に対して、住民たちが憤りの声を上げていました。

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住民:
具体的にいつから、どのように改善・目標達成するのか?いつまでに赤字脱却するのか。期限を切ることが大事です。コミット(約束)してください。

住民:
今日は、町長さんの政治の話を聞きに来たんじゃないです。どうやって立て直すかを聞きたかったんです。

住民たちの怒りの理由は、9月19日の会見で、山梨県市川三郷町の遠藤浩町長が出した「財政非常事態宣言」

めざまし8の取材に答える遠藤町長
めざまし8の取材に答える遠藤町長

「めざまし8」は、町長を独自取材。財政非常事態に陥った背景、さらには今後の住民への影響が見えてきました。

住民説明会で住民と町長が激突

少子高齢化などにより税収減少が続き、7年後には、財政が破綻するおそれがあるとして、「財政非常事態」を宣言した、山梨県・市川三郷町。
赤字決算は、2017年から5年間続いていたといいます。

遠藤浩町長:
住民の皆様に情報を共有してもらう。ピンチをチャンスに変える宣言だという二つの意味合いがございます。

20日の住民説明会で、遠藤町長は具体的な取り組みとして、自身の給与を4割減額。さらに、事業の見直しや改革推進計画を今年中に発表すると説明しましたが…。

住民:
まさかと思いますけど、来年度の職員の採用をするなんてことはしないでしょうね?普通の企業であれば大体赤字になれば、新入社員なんて採れませんよ

遠藤浩町長:
今年は(職員の)新採用をする方向性でございます。ただ、「若干名」ということで最小限はさせていただきたいと思います。

住民:
何を言ってるんですか!私の質問と違うじゃない!答えていることが。
遠藤浩町長:
何を?今聞いてました!?聞いてました!?

住民と町長のやりとりは、どんどんヒートアップしていきます。

遠藤浩町長:
今年、今年度で退職される職員が、約10名前後います。
住民:
10名だから何なんですか?
遠藤浩町長:
その分の、人件費が少なくなります。
住民:
だから、支出をいかにね。支出をいかに少なくするか、抑えなきゃならないかということを考えた方がいいんじゃないですか?
遠藤浩町長:
だから、さっき質問したのは、新採用するかどうかっていう質問じゃないですか!

議論は平行線をたどります。さらに、別の参加者からは将来に対する不安の声も。

町に移住予定の女性:
財源が困っている町で、子育てに財源が回せるんですか?そういうものだけの財源がない。
遠藤浩町長:
それ(財源)を作るために今、改革をしているということが…。
町に移住予定の女性:
その改革がはっきりしてないのに、先にやるんですか?とても不安なんですよ、子供たちのために。子供たちに全部「負」は回るんです。これから先が。

平成大合併の負の遺産 町長語る財政危機の理由

一体なぜ、これほどまでに、町の財政が危機的な状況となったのか。めざまし8の取材に対して、遠藤町長は以下のように話します。

遠藤浩町長:
平成17年(2005年)町村合併を致しまして、3つの町が一つになりました。旧町単位、あるいはそれぞれの地域が非常に愛着がありすぎたために、施設の統廃合ですとか、色んな事業を、廃止。廃止といいますか、まあ縮減できなかったということが原因なのかなと思っております。

今から18年前、三つの町が合併して誕生した市川三郷町。それに伴い、当初は、町の予算に国からの交付金などが含まれていました。交付金は徐々に減っていきましたが、公共施設や事業の見直しが進まず赤字が続いたといいます。

――今後については?
遠藤浩町長:

新しい事業に切り替えてですね。削減だけではなくて、「スクラップアンドビルド」を取り入れて、今後は新しい時代を目指して、進んでいくっていうそんな転換点というふうに認識をしております。

地方自治に詳しい、大正大学の江藤俊昭教授は、これは市川三郷町だけの問題ではない指摘します。

大正大学 江藤俊昭教授:
平成の大合併の負の遺産。人口減少それから、高齢化といった状況の中で税収が減ってくる。そして、一方でサービスが高度化せざるを得ない中で、(地方)自治体は今回の市川三郷だけの問題ではなくて全国に大きく波及する問題だと思いますね。
(めざまし8 10月23日放送)