東京・八王子市で10月18日から始まった「あるサービス」をめぐって、市民らから1200件を超える苦情が殺到しています。

それは、八王子市が独自に始めた、デジタル地域通貨「桑都ペイ」。
「桑都」とは古くから使われる八王子の別名で、「桑都ペイ」とは、専用アプリにクレジットカードやATMなどからお金をチャージすると、1人当たり上限3万円で最大9000円相当のポイントが還元されるというものです。(来年2月まで利用可能)

市内の飲食店や家電量販店など、1000件以上の加盟店で利用できるという“市政が力を入れる”地域経済振興策です。

しかし・・・その盛り上がりとは裏腹に“思わぬトラブル”が発生!
初日からまさかのトラブル発生
桑都ペイ加盟店スタッフ:
本当に始まるのか。本当に使えるのか?
18日午前10時に「桑都ペイ」のサービスが始まってもいまだに、利用者はゼロだという加盟店。
その理由というのが、“利用者殺到によるチャージ機能の停止”。
チャージ機能停止の理由について担当者は?
八王子市担当者:
10時から開始と周知していた関係で、10時の段階で一斉にやはりアクセスが発生したんですね。チャージができないという不手際があってご迷惑をおかけしている点については心からおわび申し上げます。

市の担当者によると、運用初日の18日、ポイントの還元が先着順だったためか、サービス開始と同時にアクセスが集中。
アプリの処理機能が追いつかず、わずか30分でシステムダウン、現在に至るまでチャージ機能が停止しているといいます。

桑都ペイアプリ利用者は・・・
桑都ペイ利用者:
購入してから結構そのおにぎりのマークがずっとグルグル回って、エラーになったみたいな感じですね。3分ぐらい回ってて、その後もう一回失敗したんで、やったんですけど、同じように失敗しました。

桑都ペイ利用者:
クレジットカードでチャージしようとしたらエラーが出ちゃって。チャージ全然できてなくて0円の状況です。

八王子市民以外も利用できるデジタル地域通貨。
これまでに、約5万人が、アプリをダウンロードしましたが、現在、サービスを利用できている人は機能が停止するまでにチャージを行った1400人ほどのみだといいます。
八王子市は「来週の中頃までに復旧を目指す」としていますが、出だしからつまずいた形になってしまいました。
システムトラブルだけじゃない?高齢者のデジタルサービス利用の課題
めざまし8が八王子市が開設している相談窓口を取材すると、多くの高齢者が詰めかけ、スマホと悪戦苦闘、窓口で2時間もやりとりするなど、デジタル通貨ならではの課題も見えてきました。

スタッフ:
認証コードが間違っている。
説明を受けに来た男性:
えぇ~~~!?
こんなの繰り返してんだ(笑)

説明を受けに来た男性:
できないんですよ!難しいんですよ。これからわからなかったらまた聞くしかないよね。
慣れない操作に悪戦苦闘し、認証コードを何度も間違え、思わず笑ってしまう男性。
約2時間に及ぶ奮闘の末、ようやくアプリの登録ができました。
他にも今回、八王子市のデジタル通貨の相談に訪れた高齢者の方からは、「専用アプリのダウンロードのやり方がわからない」「入力に必要なメールアドレスの「@」がどこにあるのかわからない」などの質問もありました。

高齢者に広がる“デジタル格差”ですが、実は、世界と比べても日本はかなり深刻なようです。
世界と比較 日本のデジタル格差問題
2021年内閣府調査によると、スマートフォンを利用しているシニアの割合は、日本では、75歳以上になると半数以下に、80歳以上では16.9%にまで激減しますが、世界では75歳以上でも半数を超え、80歳以上でも30%台をキープします。

ネットショッピングの利用率は、日本では75歳以上になると20%台、80歳以上では、一桁にまで激減しますが、世界では75歳以上では概ね半数を超え、80歳以上でも20%~30%台をキープしています。

社会の仕組みもありますが、世界と日本との違いはどこにあるのでしょうか?
ITジャーナリストの三上洋氏にその理由を聞きました。

ITジャーナリスト 三上洋氏:
日本の高齢者の“デジタル格差”の原因は、個人情報の漏洩に対する警戒心が強いことにあります。警戒心が強いとサービスの利用を敬遠しがちになり、また、デジタルを選択しなくても生活が可能だということも理由に挙げられると思います。

高齢者が抱える“デジタル格差”。活用の場を広げるには、どうしたらいのでしょうか?
(めざまし8 10月20日放送)