都会の子育て世代が、秋田・由利本荘市で過疎化が進む地域の暮らしを体験し、その子どもは保育園でのびのびと過ごす「遊学」に参加している。遊学は将来的な移住を見据えた市の取り組みで、2023年度で2年目を迎えた。

大自然の中でのびのび過ごす「遊学」

由利本荘市の山あい、東由利にある認可保育園「えみの森」。自然に囲まれた環境と広い敷地を生かした、少人数ならではの“見守る保育”が特徴だ。

10日6日は、園で収穫した野菜をふんだんに使った「なべっこの日」。

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保育士に抱かれ調理の様子を興味深く見つめるのは、2歳の菊池輝季君。母・紗影さんの希望で、東京・足立区から親子での2週間ほどの遊学に訪れている。

菊池紗影さん:
今通っている都内の保育園は良い保育園だが、小規模保育園というかたちのところで園庭がない。大自然で走り回れるというのがすてきだなと思い、空気も環境も良いだろうし

市が2022年度から続けている「ゆりほん保育園遊学」。過疎化が進む東由利地域で交流人口を創出し、最終的には移住の実現につなげることが目的だ。

由利本荘市移住支援課・香川洋さん:
地域に活気が出てきたという話は聞いている。実際に地方暮らしをイメージしてもらう

えみの森・畑山玲子園長:
子どもたちにとって他の子が来るというのは視野が広がる。職員もお母さんと話をすることで、東京の保育園事情を教えてもらい、楽しい毎日

移住には様々な課題が…

2022年度は足立区から親子4組が参加し、このうち1組が2023年春に移り住んだ。都内のITコンサルタント会社を経営する大西秀嗣さん一家だ。

大西秀嗣さん:
子育てをする上では、人が少ないが故に感染症にかからないだとか、どこに遊びに行っても子どもが広いスペースと自分の好きなペースで遊べるということで、とても楽しそうにやっていて、我々も風邪にかからないことで充実した生活を送っている

妻・茜さん:
住むところを探すのが結構大変でハードルが高い。すぐに住める状態の賃貸住宅などがあれば、結構来やすいのかなと感じる

紗影さんも本気で移住を考えているが、車の運転や雪国の暮らしなどに不安を覚えている。

日中は保育園の一室でリモートワーク、週末は地域住民との触れ合いを楽しむが、夫や輝季君の意見、仕事の都合も踏まえながら検討している状況だ。

菊池紗影さん:
初日にいろいろあって地元の人が助けてくれた。地元の人との近い距離感、触れ合いがあり良さそう。今回2週間限定なので子育て支援について由利本荘市や秋田県でどういう支援があるか調べていないので、その比較も必要かなと

市は、遊学での宿泊施設や移住を希望する人の住居の確保など課題の解決に向け、空き家の活用も含め今後も検討するとしている。

(秋田テレビ)

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