秋の行楽シーズンとなり、気を付けたいのが虫刺されだ。ハチに刺されると皮膚の症状だけでなく、アナフィラキシーショックの危険も伴う。最悪の場合は、死に至るケースもあるという虫刺されの注意点や対策を救急科の医師に聞いた。

命に関わる「アナフィラキシーショック」

登山・キャンプ・農作業に家庭菜園…屋外での活動が多くなる11月ごろまでは肌への「虫刺され」に注意しなければならない。

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新潟市民病院・救急科の佐藤信宏医師は「特に今年は夏が暑かったので、屋外での活動を控えていたと思う。これから屋外での活動が増えてくると、虫刺されが増えてくるのではと気にしている」と話す。

新潟市民病院・救急科 佐藤信宏 医師
新潟市民病院・救急科 佐藤信宏 医師

最も刺される頻度が多く、危険度が高いのがスズメバチなどの「ハチ」。

ハチに刺されると、直後から激痛・局所の腫れ・かゆみが数日続くが、こうした皮膚の症状以上に危ないのが「アナフィラキシーショック」だ。

画像提供:兵庫医科大学・皮膚科学 夏秋優 教授
画像提供:兵庫医科大学・皮膚科学 夏秋優 教授

佐藤医師は「呼吸困難・血圧低下・消化器症状としては、おう吐したり、下痢をしたり、おなかが痛くなったりすることもあるが、本当に最悪の場合は命に関わることがある。もし、ハチに刺されて、アナフィラキシー症状が起きた場合は、より早く救急病院に行くことが大事。躊躇なく救急要請してほしい」と話す。

過去にハチに刺されたことがある人は再び刺されることでショック状態を起こし、最悪、死に至る場合もある。

刺されてから数分以内に呼吸困難・意識障害などの症状が出た場合、ただちに救急車を呼ぶことが重要だ。

ハチに刺された時の対処法

刺された時の対処法について、佐藤医師は「刺されたけど、アナフィラキシー症状がない場合、まず冷たい水で流して傷をキレイにすること。たまに針が残っていることがある。針が残っていた場合、手でつまもうとすると、毒の袋をグイッと押してしまい、自分で毒を入れてしまうことがあるので、ピンセットなどの細かいもので針の先をつまんで抜くか、自分で難しければ皮膚科を受診して抜いてもらうのがいい」と話す。

そして、皮膚をかくことで皮膚を傷つけ、新たなバイ菌が入らないようにするため、冷やしてかゆみを抑えることが効果的だが、最も重要なのは「刺されないように対策をとる」ことだ。

ハチに近づかない・皮膚の露出避けて

スズメバチの巣は「切り株」や「茂みの中」「木のうろ」「小屋の軒先」などにあることが多く、むやみに近づいたり、突いたりしないようにすることが大切。

そして、ハチを引き寄せてしまうのは、黒い服・香水などの匂いの出るもの。屋外での活動の際は使用するのは控えて、安全な色とされている真っ白や黄色の服を着用してほしい。

黒い服は控える
黒い服は控える

また、長袖・長ズボンはもちろん、シャツをズボンに入れる。ズボンの裾は靴下にしまうなど、皮膚の露出は避けることが重要だ。

刺されても気付きにくい「つつが虫」

ハチの他にも注意が必要となるのがダニの一種「つつが虫」。

つつが虫
つつが虫

佐藤医師は「つつが虫病は高熱が出るが、診断するまでがかなり難しい」と話す。

その理由は、刺されたかどうか分かりにくいから。「つつが虫病でよくあるケースは、本人が刺されたことを全然自覚していない。だいたい、熱が出て、具合が悪いと病院に来るが、普通のよく使う抗生物質が、つつが虫病には効かない。なので、最初診断がつかないと、なかなか熱が下がらなくて状態が悪くなっていく」

つつが虫に刺された痕
つつが虫に刺された痕

刺されたところはかさぶたのようになるが、見つからない場合も多く、山や川などに行ったあと発熱したら、「つつが虫病」を疑ってほしい。ハチ同様、治療が遅れると命に関わる。

山に行く時は「虫除け」を

虫から自分を守るためにはやはり「虫除け」が効果的で、佐藤医師は塗ったあとによく伸ばすことを勧める。「皮膚の露出をしないとか、虫除けを塗るとか、わりと防げることなので、ぜひ山に入る・キャンプに行く時には、自分で自分の身を守るような予防していただけたら」

しっかり虫除けを塗る
しっかり虫除けを塗る

虫刺されを予防して、秋の行楽シーズンを楽しんでほしい。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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