パリ五輪出場をかけた、ワールドカップバレー2003。

開幕2戦、フルセットの苦闘とまさかの逆転負け。

エジプト戦 「魔の第3セット」が待っていた
エジプト戦 「魔の第3セット」が待っていた
この記事の画像(59枚)

中盤、リセットして臨んだ2戦でチームの歯車は回り出し、ストレートで完勝した。

3勝1敗で4位…パリへの切符はわずか2枚だ。

トルコ戦 会場入りする 関田誠大
トルコ戦 会場入りする 関田誠大

10月6日(金)からの3連戦。ここからが正念場。パリへの本当の戦いが始まる。

ここでは逆境から立ち上がり、パリへ挑むバレーボール男子日本代表の10月4日(水)、トルコ戦の戦評を独自の写真とともに振り返っていく。

10.04 第4戦 日本 vs トルコ

FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023 日本対トルコ(10月4日 東京・国立代々木競技場 第一体育館)

来夏のパリ五輪出場権獲得に挑む男子日本代表(世界ランキング5位・10月3日現在)は第4戦でトルコ(同15位)と対戦する。

試合前 石川祐希 西田有志 髙橋藍(写真:©️FIVB)
試合前 石川祐希 西田有志 髙橋藍(写真:©️FIVB)

日本は今大会、フィンランドとの開幕戦でフルセットの末勝利。2戦目は格下のエジプトにまさかの逆転負けを喫したが、第3戦ではチュニジアを相手に今大会初のストレート勝利を飾り2勝1敗。上位2チームにパリ五輪出場権が与えられるなか、日本は現在4位と苦しい状況にある。

残る4戦、ひとつも落とせない戦いが続く中、アウトサイドヒッターの髙橋藍(22)は、「ギアを上げていく」と巻き返しを誓う。

オポジットのアディス・ラグンジヤ(写真:©️FIVB)
オポジットのアディス・ラグンジヤ(写真:©️FIVB)

対戦相手のトルコはここまで3戦を終えて1勝2敗。第3戦ではアメリカから今大会初めてセットを奪うなど、チーム力の高さを伺わせる。

チームの中心はイタリア・セリアAで昨季レギュラーシーズン最多得点を挙げたオポジットのアディス・ラグンジヤ(24)で、ここまで3試合全てでチーム最多得点を挙げている。

「ラグンジヤ・ブラザース」の弟・ミルザ(写真:©️FIVB)
「ラグンジヤ・ブラザース」の弟・ミルザ(写真:©️FIVB)

さらに弟のミルザ・ラグンジヤ(22)も兄とならんで要注意だ。

日本のスターティングメンバ―は、髙橋健太郎(28)、石川祐希(27)、関田誠大(29)、西田有志(23)、髙橋藍、小野寺太志(27)、リベロは山本智大(28)が起用された。

第1セット 日本 25-15 トルコ

第1セット序盤。前日チーム最多の3本のブロックを決めた小野寺太志がサービスエース、この試合初得点を挙げる。すると同じく前日にスタメンとして初起用され、9得点の活躍を見せた202㎝のミドルブロッカー・髙橋健太郎も、勢いをそのまま強烈なスパイクを相手コートに叩き込む。

強打だけでなくフェイントでも技を見せた 石川祐希
強打だけでなくフェイントでも技を見せた 石川祐希

さらに、キャプテンでエースの石川祐希、 今大会アタック決定率1位の西田有志、今大会得点ランキング2位の髙橋藍の強打などで5連続得点を挙げ、主導権を握る。

対するトルコは、ラグンジヤ兄弟・兄のアディスが身長211cmの高さを生かし、パワフルなバックアタックを決めれば、さらに弟のミルザもポイントゲッターとして得点を呼び込む。

多彩なパスを繰り出した 関田誠大
多彩なパスを繰り出した 関田誠大

それでも日本は中盤以降もセッター・関田誠大のトスワークから7連続得点を奪うなど、平均身長で8cm上回るトルコの高さをかいくぐり、第1セットを25-15で先取した。

第2セット 日本 25-20 トルコ

第2セット。今大会アタック決定率1位の西田有志が、強烈なアタックでファーストポイントを奪う。西田はさらに高さのあるトルコの攻撃に、自身の1枚ブロックをドンピシャで合わせて雄叫びを上げる。

ブロックを決めた 髙橋藍
ブロックを決めた 髙橋藍

さらに髙橋藍もブロックポイントで相手の攻撃を封じ、点差を広げる。

対するトルコは弟・ミルザの高速バックアタックや打点の高いアタックなどで加点。点差をじわりじわりと縮めてくる。

雄叫びを上げチームを鼓舞する 髙橋健太郎
雄叫びを上げチームを鼓舞する 髙橋健太郎

そこで存在感を出したのが「ブロック番長」髙橋健太郎。大事なところでクイック、ブロックと決めコートを躍動。雄たけびを上げる。

さらに石川祐希や髙橋藍が強打に加え、フェイントや軟打も織り交ぜる多彩な攻撃でトルコを翻弄。第2セットを25-20で連取した。

第3セット 日本25-19 トルコ

セットカウント2-0で迎えた第3セット。序盤からシーソーゲームの競った展開となり、観客にも「魔の第3セット」の記憶がよみがえる。

しかし、日本はそんな不安をかき消すかのようなスーパープレーを連発する。

コンディションも上向き 動きにもキレが増した 石川祐希
コンディションも上向き 動きにもキレが増した 石川祐希

西田有志がアタックを決め7点目。
小野寺太志がBクイックで8点。
石川祐希がフェイントで9点。
髙橋健太郎がミドルからのアタックで10点。

「神業」関田誠大 のワンハンド・バックトス
「神業」関田誠大 のワンハンド・バックトス

12点目は技あり。
トルコの強烈なアタックから上がったレシーブを、セッター・関田誠大が右手だけで「ワンハンド・バックトス」、そのボールを西田有志が決めてみせた。

14点目。
石川祐希が最高到達点317cmからのバックアタックをたたき込み、吠える。

髙橋藍 の「フェイクセット」西田有志 へトス
髙橋藍 の「フェイクセット」西田有志 へトス

そして最後に必殺。
髙橋藍がアタックを打つと見せかけて見方にトスを上げる自慢の「フェイクセット」を見せると、このボールを受けた西田有志が華麗に決めて16点。

日本の選手たちが繰り出すさまざまなプレーに会場も沸き立ち、一気に流れを引き寄せた。

最高得点の15点を記録した 西田有志
最高得点の15点を記録した 西田有志

その後、トルコが猛追を始める局面でも、西田有志が弟・ミルザ・ラグンジヤの強烈なアタックをブロック。続けざまに石川祐希もブロックで続き、高さで上回るトルコをシャットアウト。

結果、第3セットも25-19で取り、連日の3-0ストレート勝利。日本は勝敗を3勝1敗とした。

チーム一丸となってパリを目指す
チーム一丸となってパリを目指す

今大会の男子日本代表はグループBに入り、世界ランキング2位のアメリカや、同7位のスロベニア、さらには同9位のセルビアと同組。パリオリンピック出場権獲得のためには、出場8カ国の総当たり戦で、2位以内に入ることが条件となっている。

日本は6日(金)にセルビアと対戦。

ここからの3連戦が正念場。パリへの本当の戦いが始まる。

写真:©️FIVB
写真:©️FIVB

FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023
プールB順位表(開催国:日本)10月4日時点
1位:アメリカ 4勝0敗
2位:スロベニア 4勝0敗
3位:セルビア 3勝1敗
4位:日本 3勝1敗
5位:トルコ 1勝3敗
6位:エジプト 1勝3敗
7位:フィンランド 0勝4敗
8位:チュニジア 0勝4敗
※上位2カ国がパリオリンピック出場権を獲得する

FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023
日本戦全戦をフジテレビ系独占中継!
男子大会:9月30日(土)-10月8日(日)
東京・国立代々木競技場 第一体育館にて開催

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(59枚)
プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。