NTTドコモは、証券事業を展開するマネックス証券を子会社化し、資産形成の分野に本格参入する。金融系サービスとしては他社に出遅れた形となったが、「dポイント」などによる手軽な資産形成の提供が可能となり、顧客目線のサービスに期待がされる。

約485億円出資で共同出資会社設立

NTTドコモがマネックス証券とタッグを組み、資産形成の分野に本格参入する。

NTTドコモ・井伊基之社長:
ドコモはマネックスグループと、資産形成の世界を変えていく。

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NTTドコモは、証券事業を展開するマネックスグループと資本業務提携を結んだと発表した。

ドコモが約485億円を出資して、マネックスと共同出資会社を設立し、マネックス証券を子会社化する。

取引や残高口座開設に応じた「dポイント」での還元や、決済サービス「d払い」などによる入出金や積立を可能にすることで、手軽で簡単に資産形成ができる環境を提供するとしている。

共同出資会社は、2024年1月4日に発足する。

ドコモは携帯電話大手の中で唯一、自社で銀行や証券会社を持っておらず、他社が金融サービスを核とした経済圏を形成する中で、遅れが目立っていた。

マネックス証券にとって“生き残り策”

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
ドコモによる証券業への参入、どうご覧になりますか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
生き残りをかけた競争が激化していますね。携帯、そして、証券各社が垣根をこえて顧客の獲得に向かう時代に入っています。

特に証券業界に関しては、新NISAが来年から始まり、証券口座獲得の競争は激しいです。

堤 礼実 キャスター:
どうしてマネックス証券は、ドコモのグループ入りを選んだのでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
SBI証券と楽天証券が、2023年10月から日本株の手数料について、全面的な無料化へと舵を切っています。これに対してマネックス証券は、無料化には追随しないとしていました。

日本株の手数料の動きは、資本力のある企業が勝つ。ある意味、徹底した無料化・キャンペーンで、ほかを淘汰する「アマゾン方式」です。

経営体力で比較すると、なかなか厳しいマネックス証券にとっては、ドコモとの連携は生き残り策なのかもしれません。

顧客基盤を強みとしたサービスに注視

堤 礼実 キャスター:
一方のドコモにとっては、いかがでしょうか。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
ヤフーがPayPay証券・銀行、auがカブコム・じぶん銀行、楽天が楽天証券・銀行と金融系を持っているのに対して、ドコモは、携帯キャリアの中で唯一、自社で銀行や証券会社を持っていません。

金融の軸は欠かせない中で、マネックスとの連携を決めたものと思われます。証券を手に入れたドコモは、銀行やECの分野など、消費者の「経済圏構築」を視野に動き出すでしょう。

資本力によって、業界が大きく動いていますが、通信も決済も証券も私たちの生活の一部、インフラになっています。そうした時に、顧客が安心して使いやすいという目線を忘れないで欲しいです。

10月4日の「証券投資の日」にNTTドコモとマネックス証券の連携の発表が行われたことも、意味があるのでしょう。ドコモは9600万人のdポイントの顧客基盤という強みがあり、マネックス証券が投資初心者が使いやすいサービスを提供する、この新しい船出を注視したいと思います。

堤 礼実 キャスター:
よりキャリアの競争が激化していくように思いますし、通信と証券の融合によって生まれる新たな可能性を期待したいです。
(「Live News α」10月4日放送分より)

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