にぎわいや交流を目的としたJR敦賀駅西口の再開発地区「otta(オッタ)」が9月、オープンから1年を迎えた。地区内には想定以上の来場者が訪れる一方、駅近くの商店街までは経済効果が十分に波及していない。北陸新幹線の敦賀延伸まで残り約半年、官民あげての試行錯誤が続いている。
核となる公設書店 来館者は30万人を突破
オッタは敦賀市が施設整備、運営は民間で担っている。新幹線延伸を前に再開発が進められ、地区内には現在、本屋や子育て支援施設、飲食店、ホテルなどが出店している。
この記事の画像(10枚)核となるのは、迷路のような本棚が特徴の公設書店「ちえなみき」だ。売れ筋ではなく、独自の視点で選んだ本3万冊が所狭しと並ぶ。
この独自の空間が話題を呼び、1年間の来館者数は想定の3倍となる30万人を突破した。福井を代表する観光地・大本山永平寺の観光客数に並ぶ。
選書などを手掛けた編集工学研究所・小森康仁さん:
グループで来る客が思っていたより多い。会話しながら、想定を超えて楽しんでもらえていると思う
書店内には、子どもの遊び場や勉強のスペースもあり、幅広い年齢層が訪れている。
ちえなみき・笹本早夕里店長:
口コミや紹介で次の人を連れてきてくれることが多い。もっとまちやさまざまな施設との連携を深めていきたい
多くの店で試行錯誤の1年に
オッタ開業後にも、飲食店と土産物店のあわせて3店舗がオープンした。残る1区画もテナントと出店を協議している。想定の1.5倍を売り上げた土産店もあるが、多くの店では新幹線開業を見据えた試行錯誤の1年だった。
丼屋 荘兵衛・高野和則店長:
約7割が県外客なので、福井らしいメニューを始めた。客は順調に伸びている
新設したホテルは131の客室を抱えるが、稼働率は8割とこちらも想定を上回っている。敦賀市は、来場客には観光の「玄関口」に、市民には「普段使い」になる地区を目指す。
敦賀市・米澤光治市長:
今のところ順調にきている。このにぎわいを駅前商店街の方へ人の流れ、導線をもっていきたい
大通りに「さらなるにぎわいを」
敦賀を代表する観光地・氣比神宮などにつながる駅前大通りは現在、歩道拡張の工事が進められている。完成は新幹線開業前の2023年12月を目指す。
商店街を訪れた人:
昔は気比神宮までの通りが(にぎやかで)。あそこがもう少し活性化されるといい
敦賀駅前 商店街振興組合・河藤正樹理事長:
商店街の人通りはかなり増えた。拡幅した歩道を使ってイベントなどを催したい。玄関口を任された商店街として、さらなるにぎわいをつくりたい
オッタ誕生による集客力を生かす取り組みを進めることが、新幹線開業後の飛躍のカギを握る。北陸新幹線の敦賀延伸は約半年後に迫っている。
(福井テレビ)