愛知県愛西市で2022年11月、40代の女性が新型コロナワクチンの接種後に死亡した問題について、市の第三者委員会は2023年9月26日、現場の医師らの対応は「標準的ではなかった」とする報告書を公表した。
アドレナリン注射の準備があったことが医師に伝わらっておらず…
2023年9月26日の朝、最愛の妻の遺影に手を合わせた飯岡英治さん(45)。

飯岡英治さん:
再発防止に役立てるという話でやってくれていることなので、妻が亡くなったことがこれでちょっとは意味があるのかなって思ったりもっていう感じで、複雑な気持ちではありますね。亡くなってから約10カ月ですからね。やっとこの時が来たという気持ちですね。まだ寂しさには慣れませんよね、なかなか
2022年11月、妻・綾乃さんが新型コロナワクチンの接種後、まもなく死亡した。

綾乃さんは接種して5分後に息苦しさを訴えたが、医師は体調不良と判断し、アドレナリンなどの治療薬を投与されないまま心肺停止となり、搬送先の病院で死亡が確認された。死因は急性心不全だった。

飯岡英治さん:
薬を打ってもいない。ちゃんとした処置もしてない。見殺しにした
その後、飯岡さんも市などに情報公開を求めたが、開示された資料はほぼ黒塗りだった。
飯岡英治さん(2022年12月・市の説明を受けて):
僕はね、ただ妻が何で亡くなったかを知りたいだけなんだよ。ずっとそうやって言っとるんだよ。何を隠すことがあるの?
そして2023年9月26日、医師や弁護士ら第三者6人で立ち上げた愛西市の医療事故調査委員会が報告書を公表した。
この中で、死因について「アナフィラキシーが関与していた可能性が高い」と、ワクチン接種との因果関係を指摘された。
また、アドレナリンの筋肉内注射が医師によって迅速になされなかったこと、患者が接種前から調子が悪かったと解釈したことなどについて「標準的ではない」と評価した。

医療事故調査委員会の長尾能雅委員長:
(医師は)接種前から呼吸苦の症状が継続していると認識して、アナフィラキシー以外の病態の可能性が高いと判断し、即座にアナフィラキシー対応目的のアドレナリンの筋注を行うのではなく、バイタルサインの確認を優先した
現場では、看護師がアドレナリン注射を準備していたことも明らかになった。しかし、医師へ「準備ができている」と伝えていなかった。

飯岡英治さん:
接種会場にいた人間の中には、アナフィラキシーを疑った人間がいたらしいんですね。なのになぜ医師と看護師はそれに気付けなかったのかな。気付いてくれていたらまだ生きていたかもしれない。それがすごく悔しくて、辛くて、残念ですよね
(東海テレビ)