高校生の陸上競技大会などで、性的な目的で、女性選手の体の一部を拡大して撮影する「アスリート盗撮」と思われる事案が増えている。広島県では8月に逮捕者も出たが、大会の主催者は被害を防ぐために新たな対策を始めた。

カメラの上にタオルを載せるなど手口が巧妙化

16日に行われた高校の新人陸上競技大会。競技前の午前8時すぎ、大会運営委員が観客席となるスタンドに次々とはりだしたのは撮影禁止の貼り紙。目につく場所に数多く貼る背景には…。

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5月に高校生の女子選手3人の下半身を拡大して撮影した、広島県の迷惑防止条例違反の疑いで、鹿児島市の会社員男性が8月に逮捕され、罰金30万円の略式命令が出された。

警察が押収したハードディスクには3000本以上の動画が残され、男性は「服の上からは盗撮にならないと自分に言い聞かせていた」と供述していた。

今回の件について広島陸上競技協会の競技運営委員長を務める新宅さんは…。
広島陸上競技協会・新宅昭二 競技運営委員長:
逮捕は、そこまで驚かなかった。ここ10年くらいで増えてきていると感じているが、コロナ禍があけて、有観客になって、特にまた増えてきているんじゃないかなと思う

特定の種目や選手だけを追ったり、足の間にカメラを置き、タオルをのせて撮るなど大会の度に、盗撮を疑われる不審者が1人、2人は現れるという現状。

そこで16日の大会から”初めて”導入したのが「不審者情報」を通報するシステム。

QRコードでスマホから不審者情報を通報

保護者などの観客が、盗撮など不審な行動を見かけた際に、スマホでQRコードを読み取って「不審者がいる場所」や「服装、特徴」などを記入し、その通報を受けた大会本部の担当者が該当者に声掛けし、行動が確認された場合は警察とも連携するもの。

広島陸上競技協会・新宅競技運営委員長:
あまりやりたくないが、例えばガードマンを雇ってずっと見回りをしてもらうとか、そういったこともしていかないといけないかもしれない。我々の使命はいかに選手がベストパフォーマンスを出せる環境を作るかが一番なので、そこを阻害されていることには憤りを感じている

Q:広島の陸上界で育ち世界で活躍された木村さんは、アスリート盗撮が増えてきた現状をどう見ていますか?

エディオン女子陸上部アドバイザー・木村文子さん:
こうした行為はとても残念に思う。ただこの10年間において学生たちもトップアスリートに近いユニホームに変わってきたという現状がある。そういった現状があってもこういった行為は許されないと感じる

Q:ユニホームは、競技のためのものなので、ある程度の肌の露出は理にかなっている?

選手のパフォーマンス向上のためのユニホーム

エディオン女子陸上部アドバイザー・木村文子さん:
記録であったり順位であったり、パフォーマンスを向上していくためのユニホームなので、そこを改良していくというところは取り組むべき。こういった問題があるから変えるというのは違うと思う

木村文子さん
木村文子さん

広島陸上競技協会・新宅昭二 競技運営委員長によると、コロナ禍が明けて不審者対応が、さらに増えている。県外からきた不審者への声掛けについてはここ最近だという。
一つの要因としては陸上の普及・発展のために大会の開催日程をHPで情報発信していることもあるのではないかということで、新宅・競技運営委員長は他県との情報交換も重要になると話している。

エディオン女子陸上部アドバイザー・木村文子さん:
日本の陸上界も世界で活躍できる選手が増えてきて、そこにあこがれて陸上をやりたい、チャレンジしたい、大会に出たいというという思いを持った学生たちが頑張っている。

木村さん:
パフォーマンスに集中できる環境を作ってあげたいというのが一番。こういう行為は減らしていってほしいし、ぜひ観客に、保護者の皆さんだけではなく、見に来られた方が参加して、こういう行為を見つけて声をかけてほしいと思う

盗撮に関する新しい法律では、女性のスカート内の盗撮などを処罰する「撮影罪」が7月から施行された。今回のような事案が撮影罪の対象となるかどうか、今後の法律の運用が問われている。

(テレビ新広島)

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