人気喫茶店チェーンと大手証券会社がコラボ

赤いソファと木の温かみを感じるこのお店は、おなじみのコメダ珈琲店。

コメダ珈琲店
コメダ珈琲店
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コメダと大和証券がコラボした新店舗が7月1日、東京・吉祥寺の駅前にオープンした。

吉祥寺駅前は、商業ビルや飲食店などが多く立ち並び、休日には地元以外からも多くの人が訪れる街。

コメダホールディングス・臼井興胤社長:
こういうプライムロケーション、良い場所で商売したいというのがあるが、良い場所で商売するのはお金もかかる。大和証券がたまたまいろんなところにプライムロケーションを持っていて、この店で何か一緒にできないかと。

コメダホールディングス・臼井興胤代表取締役社長
コメダホールディングス・臼井興胤代表取締役社長

コラボのきっかけは、SDGs(持続可能な開発目標)。両社のSDGsの発信基地として、このコラボ店が生まれた。

コーヒー飲みながら金融情報を確認

そしてコラボ店ならではの、こんな仕掛けも・・・

店内には株価ボードに加え、お金に関する書籍がずらりと並ぶ。

さらに、各座席にはタブレットが置かれていて、お金に関する情報を気軽に確認することができる。

新店舗が入るこのビルは大和証券の所有で、もともと1階は大和証券の店頭窓口だった。
証券会社といえば、平成初期は投資家が株価をチェックしに集まる場所だったが、今はスマホで手軽に株価のチェックや注文ができる時代に。

そこで、吉祥寺駅前の一等地で、かつ人の目につきやすい1階の路面店を有効活用すべく新店舗オープンにふみ切った。

“入りやすさ“を生かし、新たな客層開拓へ

大和証券グループ本社・荻野明彦専務:
この1階店舗を情報発信基地のような形で使うことで、コメダ珈琲店でくつろぎに来た客が店の中で情報端末を見て、相談してみたいなと2階の大和証券に上がってくるような、新たな客を開拓する機会になればと思う。

大和証券グループ本社・荻野明彦専務執行役
大和証券グループ本社・荻野明彦専務執行役

証券会社を訪れるのはハードルが高いと感じる人もいる一方で、コメダ珈琲店は誰でも気軽に入りやすい雰囲気が特徴。
大和証券は、コメダ珈琲店の入りやすさを生かし、新規客層開拓を狙う。

喫茶店と証券会社の新たなコラボ。このスタイルが定着していくのか、今後に注目だ。

失敗してもいい“既存の組み合わせ”がイノベーションに

三田友梨佳キャスター:
今夜は経営学がご専門で早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに伺います。長内さんもよく行かれるというコメダと大和証券のコラボはどうご覧になりますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
どちらも既存の会社とお店で単なる既存店舗のコラボレーションに見えるかもしれないですが、実際に新たなサービスや商品を作るときに、全く新しい物を作るより、既存のものの組み合わせというのが案外すごいイノベーションになります。
アメリカではバーンズ・アンド・ノーブルという書店チェーンがあって、アマゾンの台頭でなかなか苦戦していたんですが、スターバックスと併設店舗を増やすことで、これまでと違ってゆっくりと本を選びながらコーヒーを飲むという新しいサービスもできるようになり、うまくいっているようなんです。

三田友梨佳キャスター:
そうなんですね。そういった成功例を踏まえて企業同士のコラボで大切なこととはどんなことでしょうか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚氏:
双方が既存の事業の組み合わせだということで、日本人はどうしても全部自分でやるとか絶対に成功するように苦労するみたいなことを美徳と感じがちなんですが、むしろ自分で全部やらない、あるいは失敗してもいいんだ、絶対に成功すると思い込まない方がいいんだという時もあるわけです。

例えば、機械などの設計手法の話で「フェイルセーフ(Fail-safe)」という言葉があります。これは失敗への備えという意味ですが、新しいことをやるときには必ずリスクがつきまとって、そのためにいかに失敗しないようにするか考えがちですが、むしろ別の方策として「失敗してもいいようにしておく」ことも考えられるわけです。
例えば飛行機も重要な部品は2つあるとか、万が一事故が起きてもいいようにしておくわけですね。

ビジネスに関しても一緒で、絶対に成功しないといけないと思うと萎縮して新しいことがなかなかできないので、むしろ失敗してもいい既存の組み合わせ、元に戻ればいいだけの話ですから、そういう新しい組み合わせをどんどん作っていく方がいいかもしれません。

三田友梨佳キャスター:
異業種の企業同士がタッグを組むことでこれまでなかった商品やサービスを生み出すことというのは最近多いですが、今回はどんな新たな価値が生まれるのか楽しみにしたいと思います。

(「Live News α」6月30日放送分)