8月の「アジア選手権」を全勝で3大会ぶり10回目の優勝を飾り、6月~7月にかけて開催された「ネーションズリーグ」でも、46年ぶりとなる主要国際大会で銅メダルを獲得したバレーボール男子日本代表。

元日本代表の福澤達哉氏(37)
元日本代表の福澤達哉氏(37)
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これから始まるFIVBパリ五輪予選を兼ねたワールドカップバレー2023に向けて、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの“龍神NIPPON”を元日本代表の福澤達哉氏(37)が分析。10年以上日本代表の中心として活躍してきた同氏が挙げた攻守における2つの進化とは?

オフェンス面は“サーブ”

オフェンス面での進化ポイントについて福澤氏は“サーブ”を挙げる。

世界ランキングTOP5の平均身長を見ると、
1位ポーランドが197.2cm
2位アメリカが198.7cm
3位イタリアが197.9cm
4位ブラジルが197.7cm
5位日本が190.2cm
となっており、日本チームと海外チームは平均身長で約5cmの差がある。

「海外のトップチームは2m超えてくる(選手も多い)。身長差が一番関係ないプレーというのがサーブなんです」

平均身長で劣る日本が磨いたサーブは、身長192cmの石川祐希(27)や、同186cmの西田有志(23)などが得意とするジャンプサーブだけではない。

「以前より成長したなと思うポイントがフローターサーブを打つ回数の多さですね」

100km/h以上のスピードが出るジャンプサーブに対し、 フローターサーブは約65~70km/hのスピードで無回転で打った時に一番ボールが変化する。全選手にそういうシーン(フローターサーブを打つ場面)が増えてきた」

左:石川祐希 右:山内晶大
左:石川祐希 右:山内晶大

日本の新たな武器・フローターサーブ。 中でも福澤氏がキーマンにあげたのが山内晶大(29)だ。

「特にこのアジア選手権に関しては、山内選手がフローターサーブで連続サービスエースをとっていた」

ポジションはミドルブロッカーで、アジア選手権ではチームNo.1となる204cmの長身選手の山内。アジア選手権でフローターサーブで5連続のサービスエースを決めた。

「これからパリ五輪予選に向かうにあたって日本にとっては 好材料だなと私は思います」
 

ディフェンス面は“打たせてとる”

ディフェンス面での進化ポイントについて福澤氏はこう語る。

「まず日本のつなぎというところ。“打たせてとる”

「組織としての動き、ブロックからのフロアディフェンスは非常に日本の精度が高い。例えば、ライト側に2枚ブロックがついた時に、コースを限定してそこにレシーブを配置する」

福澤氏が例に挙げた“ライト側に2枚ブロック”がついた場面
福澤氏が例に挙げた“ライト側に2枚ブロック”がついた場面

世界の強豪ポーランドと行った強化試合でも、その進化ポイントがさく裂していた。
福澤氏が例に挙げた“ライト側に2枚ブロック”がついた場面を別アングルで見てみると、相手に対し2枚ブロックを配置し、スパイクのコースを限定。

コースを限定して相手スパイクを確実に拾い素早く攻撃につなげた場面
コースを限定して相手スパイクを確実に拾い素早く攻撃につなげた場面

そうすることで相手が放ったスパイクを確実に拾い、素早く攻撃にうつることができたことが分かる。

レシーブを強化してきた日本にとって、“あえてスパイクを打たせる”ディフェンスこそ進化した“つなぎ”なのだ。

「石川選手、髙橋(藍)選手もディフェンス力が非常にあるので、チームとしての戦術理解と連動性というのが非常に日本の完成度としては高いので、日本の粘りにつながっている」

さらにこのつなぎのバレーが、今後のパリ五輪をかけた戦いにつながるという。

「ラリーが続いて、点数を取ったというのが日本は(勢いに)のるんですよね。 相手の渾身(こんしん)のスパイクを ひろって、つないで、つないで、最後決めたとなったら相手からすると、これ決めたらっていうダメージが倍になって返ってきますし、逆に日本はそこを取り切ったというところで 一気に流れがくる」

「それが今一番、海外チームが日本と対戦する時にやられたくない展開なんです」

いよいよ今月始まるパリ五輪予選。 日本の負けられない戦いが続く。

FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023
日本戦全戦をフジテレビ系独占中継!
女子大会 9月16日(土)-9月24日(日)
男子大会 9月30日(土)-10月8日(日)
東京・国立代々木競技場 第一体育館にて開催