日本を訪れる外国人観光客がコロナ前の水準に戻りつつある中、お客さんが増えるのはうれしいことだが、「外国人の忘れ物」に頭を悩ませているという。観光客でにぎわう大阪なんばのホテルを取材した。

「忘れ物」なのか?「捨ててほしい」のか?

この記事の画像(13枚)

難波にあるカンデオホテルズ大阪なんば」は、宿泊してる方の8割が外国人観光客だという。そのため、フロントも国際色豊かだ。一時、新型コロナウイルスで客数はだいぶ減ったというが、今は復活。取材した日もほぼ満室と、人気のホテルになっている。中国の団体客も解禁され、ますます増えることが予想される。

そんな中「忘れ物」の増加に困っているという。

7月、韓国人の観光客がチェックアウトしたホテルの一室では、韓国の小銭や化粧品、地下鉄のパスカードが残されていた。

カンデオホテルズ大阪なんばフロント 朴栽圓(パク・ゼウォン)さん:
忘れていかれたのか、それとも捨ててほしくて部屋に置いたままチェックアウトされたのか、という判断が難しいものが結構あります。連絡がとれなかったら全て保管しないとならないのでスペースをとられてしまう

ほかにも、携帯電話や腕時計にモバイルバッテリー、そして大きなスーツケースまで…忘れ物は1日に30個以上にのぼる。

7月、日本を訪れた外国人の旅行者は約230万人で、新型コロナ感染拡大前の8割近くまで回復したが、それとともに「忘れ物」も増えているというのだ。

大阪を観光していた外国人に忘れ物の経験を聞いてみた。

カナダからの観光客:
父が箱根のホテルにクレジットカードを忘れたら、ホテル側が鹿児島まで届けてくれました。私がカナダで物をなくした時は返ってきませんでした。宝石とか携帯電話とか

日本のホテルのサービスに感謝する声がある一方で、「忘れ物」ではなく、わざと置いて帰るという人もいるようだ。

オーストラリアからの観光客:
スーツケースにお土産を入れるために、洋服をホテルに置いて帰るという話はよく聞きます。私もやってしまうと思います

忘れ物を海外へ配送「月で1,000~1,500個」

外国人客の忘れ物を海外へ配送する大阪の代行業者「オー・エス・エス」は、全国のホテルなどから依頼を受けて海外の持ち主と連絡を取り、配送料の入金を確認してから国際便で配送している。

オー・エス・エス 荒本修一社長:
東京からですね。リュックで送ってきているんですけど、中から出てくるのはお菓子、ぬいぐるみ、日本で手に入れたものですね。毎日こんなかたちでいろんなものが送られてくるんです

オー・エス・エス 荒本修一社長:
忘れ物を送れるかという問い合わせは、一気にまた増えてきていると思います。30~50個くらい取り扱いが1日であるから、月で1,000~1,500個くらい

ただ、この業者に届くのは、あくまで持ち主が「送ってほしい」と言った忘れ物だ。持ち主から何の連絡もなければホテルが処分するしかないのだが、大きな問題が生じている。

処分費用はホテル負担

部屋にあった忘れ物が、忘れ物なのか置いていっているものなのか、処分してほしいのかわからないので、安易に処分できず、たまっているという状況になっている。カンデオホテルズの岡さんによると、「ゴミ箱の中に入っていると、はっきりと分かるが、あちこちに置かれていると判断は難しい」という。

さらに、処分する時は費用が発生するという。

カンデオホテルズ 岡益充さん:
スーツケース1つにつき1,000円、傘は1本50円、処分するのに費用がかかってしまいます

ホテル側はひと月にいくらぐらい費用を負担されているのだろうか。

カンデオホテルズ 岡益充さん:
だいたい平均でひと月で約6万円ぐらい。

意外と多い忘れ物が「お金」だ。3カ月保管後に、”貴重品”として警察に届け出ているというが、小銭の特定は難しいという。特定されなった小銭がその後ホテルのものになるのかというと、それはちがうそうだ。

“忘れ物”よくするのは外国人観光客、日本人は後で取りに来る

ホテルには、いろんな国のお金が残っていた。岡益さんによると、忘れるのは「海外のお客さまが多い」というが、なぜ外国人観光客はお金を忘れるのだろうか?チップの可能性もあるというが、その判断はつきにくいという。

また、日本の観光客は純粋な忘れ物がほとんどで、後で取りに来る人がほとんどだそう。

今後も増えると考えられる外国人観光客の忘れ物に対して、ホテル側も何らかの対策をしていく必要があるかもしれない。

(関西テレビ「newsランナー」2023年8月29日放送)

関西テレビ
関西テレビ

滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山・徳島の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。