記録的な猛暑が続く新潟。暑さとともに水不足が深刻化している。上越市の田んぼではひび割れが確認され、コメ農家は被害のあった稲の収穫を断念。農家の頭を悩ませている。

コメ農家 収穫は5割ほどに…

連日、記録的な猛暑となっている新潟。

新潟市中央区で降水が観測されたのは8月の1カ月でわずか1日のみ。猛暑日を記録したのは観測史上最高となる18日間に上った。そして、8月の最高気温の平均も統計史上初めて35℃を上回った。

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この異常な暑さにより、上越市では田んぼへの水不足の被害が拡大していた。上越市板倉区の田んぼを視察した中川幹太市長が目の当たりにしたのは、枯れて倒れてしまった稲だ。

上越市板倉区
上越市板倉区

農家の大谷貞夫さんは「枯れてしまったのは刈り取って処分して来年に備えたい」と話した。

市長に被害状況を説明する大谷さん
市長に被害状況を説明する大谷さん

こしいぶきを栽培する大谷さんの田んぼでは用水路から水が流れて来ず、収穫できるのは5割ほどにとどまる見込みだ。

大谷さんは「天を恨んでも仕方ない。私はこれも一つの運命かなと思っている」と話した。

地滑り地帯でひび割れ 二次災害も懸念

しかし、この地域では更なる被害の拡大も懸念されている。「この地域は地滑り地帯。地滑り地帯で田んぼにひびが入った所に、これから大雨が降ると、二次災害になって困る」

田んぼの至る所にある大きく深いひび割れ。

板倉区では2012年に大規模な地滑りが発生するなど、地滑りの起こりやすい地域でもある。

板倉区で発生した大規模な地滑り(2012年)
板倉区で発生した大規模な地滑り(2012年)

視察した中川市長は「これだけ大量のひび割れが起こっているとなると、補修事業の発注が一気にかかることがあるので、優先度の高い所から早めにやっていかなければいけない」と渇水対策に加え、ひび割れ対策にも取り組む考えを示した。

稲刈り“前倒し”する農業法人も

新潟市西蒲区の田んぼでは、日照時間が増え、稲が枯れる可能性があることから例年より5日ほど早く稲刈りを始めたという農業法人の姿が見られた。

新潟市西蒲区
新潟市西蒲区

稲刈りをしていた、そら野ファームの吉田一徳さんは「コメが太らなくなるので収量に影響する。もうちょっと涼しくなってもらいたい」と話していた。

“恵みの雨”も続かず…

一方で、ネギなどを栽培している原田農園の原田亮さんは「いま収穫している畑にとっては恵みの雨だった」と話す。

新潟市西蒲区では28日に3ミリの降水を観測。7月20日以来、39日ぶりの恵みの雨となった。「水があげられないときは、葉っぱが枯れて白いネギという感じになってきたが、28日の雨から一日経って、緑色が伸びてきたかなと」

しかし、ネギの生育のためには今後も継続的な降水が欠かせない。「1週間に一度程度降っていただくと、非常に農家にとっても助かる」

新潟の農家はまとまった雨を待ち望んでいる。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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