約50年ぶりにイギリス・スコットランドのネス湖でネッシーの大規模捜索が開始される。

今回の捜索では、赤外線カメラを搭載したドローンや水中聴音装置などが使われるなど、新しいテクノロジーが利用され、注目が高まっている。

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半世紀ぶりのネッシー大規模捜索について、FNNロンドン支局の田中雄気支局長がお伝えする。

約50年のネッシーの大規模捜索

イギリス・スコットランドの雄大な湖、ネス湖。全長は37kmm、幅は平均で約1.5㎞、表面積は琵琶湖の約10分の1だ。

ネス湖の特徴はその深さで、もっとも深いところだと230mにもなる。そして、水は少し不気味なほど濃い色だ。この地方特有のピート、つまり、泥状の炭が混ざっているためで、透明度はかなり低い。

ネス湖の土産店
ネス湖の土産店

ネス湖といえば、ネッシーが有名だ。ネス湖の近くには、数多くのネッシー関連の人気観光スポットがある。

ネッシーの模型や、土産店、そして2023年再オープンしたばかりのネス湖センターでは、様々な資料や展示が見られる。

そんなネス湖には、年間約50万人の観光客が訪れ、経済効果は日本円で78億円ともいわれている。いまだにネッシーは根強い人気だ。

そんな中、26日から、ネス湖で約50年ぶりともいわれる、ネッシーの大規模捜索が行われる。

ネッシー伝説の始まり

まずは、ネス湖でどのようにしてネッシー伝説が生まれたのか。

古くは西暦565年、ある聖職者がネス湖を訪れ、怪物を追い払ったとの記録があり、その後も地元では目撃情報などが継続的にあったという。

そして騒ぎが大きくなったのは、1933年に地元紙がホテルのオーナーによる目撃談を報じてからだ。さらに、同じころネッシーの写真が立て続けに新聞に掲載されたことで、一気にネッシー探しの幕が明けたのだ。

ネッシーは日本でもお馴染みだが、その日本とも関係が深い。

まずは、元東京都知事の石原慎太郎氏は、当時、衆議院議員を務めていた1973年に「ネス湖怪獣国際探検隊」を作り、1億5000万円という、当時としては巨額の費用をかけてネッシーの現地調査を行った。その時は、巨大なウナギを発見するのみだったという。

そして、1984年にはイギリス留学中に天皇陛下がネス湖を訪問されている。

当時のことを知る人によると、天皇陛下はネッシーについてもとても興味をもって話を聞かれていたという。

さらに、FNNが1987年に取材した映像を見ると、10数隻の船を使ってソナーで探索していた。ブームという意味では、この頃が1番盛り上がっていた時期かもしれない。

一方で、ネッシーと言えば1934年に公開された医師が撮ったという写真を思い浮かべる人も多い。しかし1990年代になって、模型を使ったトリックだったと判明した。

このことにより、少しブームは収まったかに見えたが、その後もネッシーの目撃情報は後を絶たなかった。

地元で観光業を営むウィリーさんは、実は父親も1960年代にネッシーを目撃したことがあるそうだが、自身も2016年にある光景に出くわしたという。

観光業を営むウィリーさん:
何か気になったから、私はipadをあっちに向けて写真を撮っていました。写真を撮っていた時には気づかなかったが、3日後に改めて写真を見ているときに気づきました。見てごらん、何かが映っているのが分かるだろ?何か大きなものが湖を横切っているだろう。 

この後、専門家に写真を分析してもらったところ、かなり大きな物体が水の中で流れに逆らって動いているようだとの結果が出たという。

この他にも、ネス湖の公式モンスター目撃記録には、合計1149件の「ネッシーかもしれない」という目撃情報が記録されている。

記録によると、2022年は6件、2023年は4件記録された。

2023年7月に撮影された映像では、水上に何か波紋ができている。この波紋、いったん消えたかと思ったら今度は画面中央に現れ、長い波紋となって動き始めた。

目撃記録をまとめているサイトによると、送られてくる写真や映像は、水面の切れ目や流木、そして鳥や小動物を撮ったと思われるものが多いそうだが、中には説明がつかないものがあるという。

では、いまイギリスの人や、ネス湖に来た人はネッシーについてどう思っているのか聞いてみた。

観光客の女の子:
私はネッシーはいると信じてるわ!

観光客の男性:
スコットランドでは、ずっとネッシーのことを聞きながら育つから信じてるんですよ!

ロンドン市民:
観光客を呼び込むための素晴らしい策略ですてきな話。でも、私は全く信じていない。

ロンドン市民:
ネッシーの捜索が行われたり、まじめに話合われたりしてるなんてクレイジーね。

最新テクノロジーでネッシーを捜索

いよいよ26日から始まる50年ぶりともいわれる大規模なネッシーの捜索。注目のウラ情報は「新技術でネッシーを見つけろ!」だ。

今回の捜索の特徴は、新しいテクノロジーを利用することだ。

湖の上空に赤外線カメラを搭載したドローンを飛ばし、水中の熱画像を撮影するほか、ネッシーの「鳴き声」を探ろうと、水中聴音装置を使った調査もする。

また、地上6カ所で水面監視もするという。

今回の捜索には約200人のボランティアも参加し、報道陣も含め、世界中から大勢が押し寄せ、ちょっとした騒ぎになりそうだ。

今回の大規模捜索を新たなブーム作りとみる人もいるが、これまでにBBCやワシントンポストなどが報じるなど、世界的なニュースになりつつある。

(「イット!」 8月25日放送より)