日本大学アメフト部の部員が覚醒剤と大麻を所持した疑いで逮捕された事件を受け、日本大学の林真理子理事長、酒井健夫学長、澤田康広副学長が8日午後3時から会見した。

林真理子理事長が冒頭謝罪

林理事長は冒頭「このたび、本学アメリカンフットボール学生寮が大麻取締法違反および覚醒剤取締法違反の容疑により警察から家宅捜索をうけ、同容疑により、学生が1人逮捕されました。このことは、大変に遺憾であり、理事長として深く、受け止めるとともに、本学の学生生徒卒業生保護者の方々、関係者の方々に多大なご迷惑とご心配をおかけしたこと。またこの問題に関しまして、私どもが説明することに時間を要したことを心より深くお詫び申し上げます」と謝罪し、10秒ほど頭を下げた。

会見で謝罪する林真理子理事長
会見で謝罪する林真理子理事長
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さらに、「先般、メディア取材に対して違法な薬物は見つかっていないという私の発言で混乱を招いた」と述べ、「その発言時点では、学生寮で発見されたものが違法薬物かどうか警察で確認を進めていただいていたところであり、本学としては確認の結果について連絡を受けていないという意図の発言だった」と釈明した。

その上で「私の発言は確かに言葉足らずで唐突だったと反省している」と謝罪した。

信頼回復「最後までやりぬく」

また、2018年の「悪質タックル問題」などを念頭に、「大切な存在の母校が不祥事によって地に落ちることになった。そのときに経験した悔しさ、歯がゆさ、憤りは昨日のことのように思い出される」と発言した。

会見に臨む林真理子理事長
会見に臨む林真理子理事長

「理事長の職を引き受けた時の志である、在校生や卒業生の誇りを回復し、日本大学に対する社会からの信頼を取り戻す、そのための取り組みを最後までやり抜く覚悟に変わりはない」と強調した。

空白の12日について

さらに酒井健夫学長は、大学の事前の調査で、大麻や錠剤を寮で発見していたが、警視庁への通報は発見から12日後だったことについて釈明した。

会見に臨む日大の酒井健夫学長
会見に臨む日大の酒井健夫学長

酒井学長によると、7月6日にアメリカンフットボール部の寮生の持ち物検査を行った際に、所有者不明の、細かい茶葉のようなものが付着したビニール袋という「不審物」が見つかったという。その検査から、発見されたものを警察に渡すまで12日間かかった理由については、「不審物発見の段階では違法薬物の確証が無かった」「部員へのヒアリングを終えてから、まとめて警察に相談しようとした」と釈明し、「ご理解頂きたい」と述べた。

この空白の12日間について、澤田副学長は、警察から犯罪事実が認められたら「自首をさせてほしい」と言われたとし「隠蔽しようなんてことは全く考えておらず、本人に反省を促し自首させたいと考えていた」と説明した。

この点について、「隠蔽の意図があったのでは?」と問われた林理事長は、「澤田副学長が自首させようとしていたと聞いた。隠蔽とはとっておりません」と答えた。

去年11月に大麻使用を自己申告していた

酒井学長は、去年10月にアメリカンフットボール部の保護者から、学生寮で大麻を使っていないか調査するようにとの依頼があったことを明らかにした。部の指導陣が部員121人に対して10月30日から11月6日に聞き取り調査を実施したところ、大麻使用は確認出来なかったということだ。

しかし11月下旬に、アメフト部員から「大麻とみられるものを7月ごろに吸った」との自己申告が、部の指導陣に対してあったという。アメリカンフットボール部として警察に相談したところ、本人からの申告のみで物的証拠がないことや、4カ月が経過していて、吸ったとされるものが大麻かどうか確認出来ないことから、事実の立証は困難との回答が警察からあったとしている。

自己申告した学生には部の指導部から厳重注意したうえで、警察官を招いて、薬物乱用防止の講習会を行ったという。

自己申告した学生が現在も部に所属しているかについて、澤田副学長は「個人の特定につながる」として回答しなかった。

理事長の役割

林理事長は会見の後半で、スポーツ関連事案への自らの関与の度合いについて聞かれ、「スポーツ関係とは距離をおくという私の心理が、影響しているのではないかと考えている。酒井学長と相談しながらグイグイいくべきだった。就任して1年、色々人事とか訴訟をやってきたが、スポーツは後回しにしていたのは事実。このような問題が生じたことを厳粛に考えています。これからは酒井学長と一緒にスポーツの面で改革を進めたいと思います」「機構とかシステムについてよく分からないので、(スポーツについて)口を挟んではいけないのではないかという気持ちがあったのは事実です」と反省の弁を述べた。