皇后・雅子さまは7月27日、名誉総裁を務める日本赤十字社の「フローレンス・ナイチンゲール記章 授与式」に臨まれました。名誉副総裁の秋篠宮妃紀子さまは新型コロナウイルスへの感染で、高円宮妃久子さまは服喪のため欠席され、常陸宮妃華子さま、寬仁親王妃信子さまが出席されました。

第49回 フローレンス・ナイチンゲール記章授与式(東京・港区)
第49回 フローレンス・ナイチンゲール記章授与式(東京・港区)
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看護学生による「キャンドルサービス」で厳かに始まったこの式典。近代看護の基礎を築いたフローレンス・ナイチンゲールにちなんで創設された記章は、2年に1度、赤十字国際委員会から優れた功績のあった看護師らに贈られます。今年は世界で37人が選ばれました。

日本で受章したのは3人。福島の原発事故の経験から、被災者の不安に寄り添う「放射線看護」に取り組んできた東京医療保健大学の草間朋子名誉教授。スーダンやアフガニスタンなど世界の紛争地で救援・救護活動に携わってきた姫路赤十字病院の髙原美貴看護副部長。日本の看護教育の礎を築き、看護師の養成に尽力した教育・ヘルスケア振興節英会の今村節子理事です。
コロナ流行前は、皇后さま自ら記章を受章者の胸元に付けられていましたが、前回に続き今回も、感染対策のため、ひとりひとりに記章を手渡す形で行われました。

《草間朋子さんによる受章者答辞より》
「本日このような栄誉に浴しましたのは、私たちを支え、励ましてくださいました先輩、同僚・後輩をはじめとした多くの方々との出会いがあったお陰であると深く感謝しております。このうえは、フローレンス・ナイチンゲールの意思を受け継ぎ、看護の質の向上、また、後輩育成のため、今後とも尽力して参ることをお誓い申し上げまして、お礼の言葉とさせていただきます。」

受章者とのご懇談

式典後、受章者と懇談された皇后さま。それぞれの活動状況に熱心に耳を傾けられました。

東日本大震災の後、両陛下にご進講した経験のある草間さん。「患者さんの一番近くにいて心のケアができる看護師が、原子力や放射線の影響を、心に納得が出来るように落とし込んでいくことが大切です」と話すと、皇后さまは「看護師の役割ですね」と話されたといいます。

東京医療保健大学 草間朋子 名誉教授
東京医療保健大学 草間朋子 名誉教授

これまで11か国で17回にわたり国際支援活動を行ってきた髙原さんは、シリアから一時帰国しての式典出席。皇后さまから「シリアの状況はどうでしょうか?」と尋ねられ、「厳しい状況が続いています」と返答しました。また髙原さんが「赤十字の看護師は強いんです。でも私たちを強くしたのは赤十字」と話すと、名誉総裁の皇后さまは、深くうなずかれていたそうです。

姫路赤十字病院 髙原美貴 看護副部長
姫路赤十字病院 髙原美貴 看護副部長

現在98歳の今村さんは、鹿児島県在住。上京して万が一迷惑をかけるといけないとの理由で、長男の英仁さんが代わりに式典に出席しました。皇后さまは「お母さまはお元気でいらっしゃいますか」などと気遣い、「よろしくお伝えください、お元気で」とメッセージを託されました。

教育・ヘルスケア振興節英会 今村節子 理事の代理で出席した 長男・英仁さん
教育・ヘルスケア振興節英会 今村節子 理事の代理で出席した 長男・英仁さん

これからも看護師たちの活動に心を寄せていかれる皇后さまです。

(「皇室ご一家」8月6日放送)