16日、北朝鮮によって韓国との南北連絡事務所が爆破された。文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領は今後どのような対応策を打つのか。それが日本にどのように影響するのか、拉致問題解決へのチャンスは生まれるのか。
今回の放送では、松川るい参院議員と朝鮮半島情勢の専門家を迎え、議論を深めた。

爆破は北朝鮮の文政権への怒り

竹内友佳キャスター:
北朝鮮が南北連絡事務所を爆破したことの意味は。

洪熒(ホン・ヒョン) 統一日報論説主幹:
北朝鮮が芝居に疲れた。今まで文在寅大統領から巨額の金がもらえると芝居を続けてきたのに、それが通じなくなった。怒りの爆発の行動

李泳采(イ・ヨンチェ) 恵泉女学園大学大学院 教授:
韓国でも爆破の場面は衝撃だった。南北和解の象徴である政府施設の爆破は、北朝鮮による文在寅の南北和解政策の全面否定。北朝鮮はアメリカにも中国にも不満を言えない立場で、韓国・文在寅政権にだけ不満を爆発させている。共同施設の爆破は、韓国がアメリカだけを意識しその範囲で動くならこの施設はいらない、というメッセージ。韓国を動かしたい意図のほうが大きいのでは。

松川るい 自民党外交部会副部会長 参議院議員:
背景は複合的でちぐはぐなところもあるが、文在寅大統領に対して大変怒っているのは明確。開城(ケソン)工業団地、金剛山(クムガンサン)観光、南北鉄道など文大統領は夢を語ってきたが、米朝決裂以来何もできていないという非常な不満がある。「北朝鮮文学」は昔から痛烈な表現だが、それにしても今回の談話は口汚い。選挙戦まで待ってあげたのにという、韓国に対する怒りがある。

韓国内で文大統領ら進歩派と保守派の対立が根深い

反町理キャスター:
北朝鮮・金与正氏が、文大統領に「根深い事大主義」とのコメント。

洪熒 統一日報論説主幹:
もともと北朝鮮は、韓国はアメリカの植民地だと言っている。だから韓国を動かすためにはワシントンを動かせばよい。日本に対しても同じ捉え方をしている。北朝鮮から見れば文政権は本来北朝鮮の同志、労働党支部のようなもの。それなのにアメリカを切らないのかと。

竹内友佳キャスター:
北朝鮮の発表した軍事行動計画については。

李泳采 恵泉女学園大学大学院 教授:
直ちに軍事衝突することを意味しているのではない。平壌での軍事合意をひとつひとつ撤回している行動だが、全否定ではない。例えば開城からは北朝鮮軍が撤退し工業団地を作ったが、それを元に戻すのか、それとも臨時的措置なのか。北朝鮮は軍事行動ではなくビラ撒きで対抗しており、制限がある中でのメッセージという見方が正しいのでは。

反町理キャスター:
平壌に対する敬意を言葉の端々に感じる。李さんは進歩派に近いが、それが礼儀やルールとなっているものですか? 

李泳采(イ・ヨンチェ) 恵泉女学園大学大学院 教授

李泳采 恵泉女学園大学大学院 教授:
国際社会で不良国家のような立場だった北朝鮮は、米朝首脳会談で合意までした。南北合意は北朝鮮にとってひとつの正当性。また北朝鮮には、ある程度の体制の秩序がある。非常に国際情勢に敏感かつ戦略的であり、平等な視線で解釈をしないと本音が見えない。
韓国の進歩派は共存を願い、刺激を避けて戦争に至らないための説得を考える。しかし北朝鮮を無視する立場の人はその行動に意味を見出さず、上から目線で何も認めないため、会話ができない。研究者としては平等な立場で北朝鮮をみる必要がある。

洪熒 統一日報論説主幹:
このように野蛮な行為をする北朝鮮と、なにが共存ですか。研究者が無責任に言ってはいけない。敵に怒りを爆発させるのがいけないのか。ビラを撒くのも個人の権利で、北の要望に応じて法律を勝手に作り禁止するのは間違いです。

李泳采 教授(左)、洪熒 統一日報論説主幹(右)

反町理キャスター:
李さんは韓国が北朝鮮との共存を目指しているという説明をされたが、洪さんは。

洪熒 統一日報論説主幹:
国の権力者と国民を切り離して見なければいけない。文政権は屈辱的な方法をとるから馬鹿にされる。韓国の税金で作った施設を爆破とは異常な行動。朴槿恵(パク・クネ)大統領時代に非武装地帯での衝突について北朝鮮が謝罪したように、韓国政府が強気に出れば北朝鮮は折れてきた。一番悪いのが文大統領のようなタイプ

反町理キャスター:
このように、韓国では二つの異なる立場からの議論がある。

松川るい 自民党外交部会副部会長 参議院議員:
それぞれの考え方はますます乖離していると思う。文政権下において保守派が相当に追いやられ、冷遇される社会状況になっている。

夏の米韓軍事演習は行われるのか

竹内友佳キャスター:
文大統領は夏の米韓合同軍事演習を行うのでしょうか。

李泳采 恵泉女学園大学大学院 教授:
このタイミングで北朝鮮が軍事演習に怒りを見せることには、今後の演習再開への歯止めの意味もある。再開はSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)などを用いた北朝鮮の挑発行為に名分を与える。
トランプ大統領は、大統領選を考えれば約束通りに訓練を削減したいという論理にはならない。韓国に防衛分担金を増やさせ賄いたいが、韓国は渋っている。文大統領は北朝鮮の軍事的進出が強まれば米韓合同演習を行わざるを得ない。これは南北合意の完全破綻。トランプ大統領は、大統領選で有利に働くのなら合同演習を行う。しかし有利に働かないのなら、強硬政策は北朝鮮政策の失敗を認めることになる。

洪熒 統一日報論説主幹

洪熒 統一日報論説主幹:
この問題は要するに米中間の戦争で、その戦略要衝が韓半島(朝鮮半島)。北朝鮮は核保有国としてアメリカに制裁解除してほしい。文大統領は、アメリカ側から先に三行半を突き付けてほしいという態度。しかし、韓米の訓練をやめるかわりに日米の訓練が多くなった。逆に日米同盟が強化される矛盾を感じるようになった側面がある。

反町理キャスター:
夏の米韓合同軍事演習は行われるのか。

洪熒 統一日報論説主幹:
やらなければ韓国にとっては損になる。

今が拉致問題解決のチャンス?

松川るい 自民党外交部会副部会長 参議院議員

反町理キャスター:
北朝鮮からは日本がどう見えるか。拉致問題も表面上は動いているようには見えない。北朝鮮は拉致問題をテコに日本の向こうのアメリカに働きかけようと考えるか。

松川るい 自民党外交部会副部会長 参議院議員:
ありえるかも。過去をみても、北朝鮮が日本との関係を正面から考えるのは困難なときで、今もそう。経済的に外貨が入らず、体制もおそらく動揺。北朝鮮が使えるツールを考えると、安倍総理はトランプ大統領と極めて近く、北朝鮮の立場では日本に対して債権がある。かつ日本政府が無条件で解決しようという拉致問題がある。

反町理キャスター:
トランプ大統領と安倍総理の関係も、大統領がバイデン氏にになればチャラでは。バイデン氏は北朝鮮に対しフレンドリーな態度をとる?

松川るい 自民党外交部会副部会長 参議院議員:
絶対にない。民主党は人権に厳しい。バイデン氏は、対北朝鮮政策で結局何もしなかったオバマ政権の副大統領だった人。北朝鮮はそもそも期待しない。

反町理キャスター:
日本から見た拉致問題解決の突破口は今なのか、トランプ大統領が選挙に負けて米朝関係が一気に冷えるときがチャンス?

松川るい 自民党外交部会副部会長 参議院議員:
大統領選挙はかなり先で結果はわからない。昨今の暴動でトランプ大統領再選が厳しくなってはいるとは思うが。日本としては、リーダーと直結したパイプで拉致問題解決の交渉をしていかなければ。

(BSフジLIVE「プライムニュース」6月23日放送)