
保険金の不正請求問題を受け、兼重宏行(かねしげ・ひろゆき)前社長が、26日付で辞任したビッグモーター。
26日午後1時から、国土交通省が「不正な修理」や「不正な車検」があったのか、聞き取り調査を行うが、金融庁も損害保険会社とビッグモーターとの関係について調査を開始している。
複数の官公庁の調査が進む中、社長自らが口にしたように「刑事事件」となるのだろうかー
兼重前社長は出席せず
国交省は26日午後1時から、和泉伸二(いずみ・しんじ)新社長ら経営陣を呼び、道路運送車両法に基づいて不正な修理や車検があったのかを、約2時間にわたって聞き取る予定だ。兼重宏行前社長は出席しない。

国交省によるビッグモーターへのヒアリングは、26日午後1時から約2時間にわたって行われ、辞任する兼重宏行社長は出席せず、和泉伸二新社長などが出席する予定。
国交省は、ビッグモーターが公表した調査報告書に基づき、顧客から依頼されていない不必要な整備や、実際にはやっていない整備で、料金を請求していた点などについて質問する予定。
これからの調査で、道路運送車両法での違反が複数確認されれば、最悪の場合、業務停止の可能性もあるが、政府関係者は「現時点でビッグモーターから何も提出されておらず、報告書を見る限りでは、そこまで問えるのか分からない」と話した。
また、別の政府関係者は、「車を故意に傷つけた行為や不正請求をしていた行為は、刑事罰に相当する可能性があり問題だ」と指摘していて、国交省だけでなく金融庁など他の関係省庁にも対応が求められる事態となっている。
保険業所管する金融庁も“調査”明らかに

一方、保険業を所管する金融庁も調査を進めている。
鈴木金融相は7月21日の会見で「ビッグモーター社が保険業法上の保険代理店として保険募集を行っていることから、監督官庁として、現在事実関係の確認を進めている」と明らかにした。その上で「保険契約者保護に欠ける悪質な問題が認められた場合は法令に基づき、適切に対応する」と強調し「本当にこんなことがあるのだと、我が目を疑うような状況だ」と不快感を示した。また「多くの国民は車を愛する気持ちを持っている。事実であれば非常に不愉快なことだと思う」と指摘し、「こうした国民感情にもしっかり配慮し適切に対応したい」と強調していた。
さらに25日には、大手損害保険会社からビッグモーターへの出向者が多数いた事について「損保会社の出向者がどんな役割をしていたのか、損保会社とビッグモーター社との関係、損保会社がビッグモーター社を修理業者として紹介していたのではないかということなど、事実関係の確認をすすめている」と述べた。また「損保会社についても問題が認められた場合には、法令に基づいて厳正に対応していきたい」と強調した。
経済団体トップ「詐欺」「早晩淘汰される」など痛烈に批判

ビッグモーターの問題については、経済団体トップからも厳しい声が出ている。
経済同友会の新浪代表幹事は25日、「こういう会社は早晩淘汰されるだろう」と厳しく批判した。さらに経団連の十倉会長も21日、「あってはならない話で、詐欺ですよね」「非常にショッキング」と述べた。「詐欺」という強い言葉を使って批判したのだ。

確かにビッグモーターの報告書にあるように、従業員が故意に客の車を傷つけ、保険料を不正に請求していたなら、刑事事件に発展する可能性もある。現に兼重宏行前社長自身も25日の会見で、「本当に衝撃的で、一線を越えている。ゴルフボールを靴下に入れて振り回して水増し請求する。本当に許せません。ゴルフを愛する人への冒涜です。分かり次第刑事告訴含む厳正な対処をしたい」と話し、水増し請求に関与した従業員の刑事告訴を検討していることを明らかにした。

刑事告訴の意思は会見の最後に撤回したが、今後刑事告訴や告発がなされるかどうかが、焦点になるだろう。
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