死んだ子牛を敷地内に不法に埋めた疑いがあるとして、牧場に警察の強制捜査が入った。8年前から死産した子牛などを埋めていたとみられ、その数は約200頭に上るとみられている。社長が取材に応じ「埋葬していいと解釈していた」と語った。

子牛とみられる骨 約300キロ

福島県福島市の「復興牧場・フェリスラテ」 警察は7月20日に、死んだ子牛を不法に埋めた疑いがあるとして、福島県と福島市の職員の立ち会いのもと敷地内を掘り起こした。その結果、数十頭の子牛とみられる約300キロの骨を確認したという。

牧場の敷地からは数十頭の子牛とみられる骨300キロが
牧場の敷地からは数十頭の子牛とみられる骨300キロが
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稼働当初から埋めていた

8年前、国などの補助金を利用し完成した復興牧場。原発事故で避難や休業を余儀なくされた酪農家が共同で、約600頭の乳牛を飼育している。21日に取材に応じたフェリスラテの社長は、牧場を稼働させた当初からの役員で、死産した子牛など約200頭を埋めていたと明らかにした。

原発事故で避難や休業を余儀なくされた酪農家が共同で飼育
原発事故で避難や休業を余儀なくされた酪農家が共同で飼育

フェリスラテ・田中一正社長:死産の子牛ですとか、流産してしまった子牛っていうのを自分の敷地内であれば、埋葬するのは良いのではないかというふうに勝手に解釈しておりまして、埋葬しておりました。登録前、死んで産まれて登録も何もというとこなので、我々で適正に処理すれば問題ないという風に勝手に思っていました。皆さんに本当にご迷惑をおかけしたというふうに思って、申し訳なく思っております。本当にすみませんでした

取材に応じるフェリスラテ・田中一正社長
取材に応じるフェリスラテ・田中一正社長

同業者は「あってはならない」

同じく牛を育てる牧場では、死産した子牛などを最終処分場に委託している。南ヶ丘牧場の下薗将史さんは「牛をやっている人であれば、ちゃんと処分する業者があることは分かっていると思う。ルールがある以上は、ちゃんとやっていかないといけない」と話し、自ら処分することは「あってはならない」と厳しく指摘する。
警察では関係者などから話を聞き、廃棄物処理法違反での立件に向けて捜査を進めている。

南ヶ丘牧場の下薗さんは「あってはならない」と厳しく指摘
南ヶ丘牧場の下薗さんは「あってはならない」と厳しく指摘

動物の死体は産業廃棄物に

社長は「死産・流産した子牛を自分の敷地内であれば埋葬していいと解釈していた」と発言した。今回の強制捜査で、違反した疑いが持たれているのが「廃棄物処理法」 畜産業では、動物の死体や排泄物が「産業廃棄物」に該当し、適切な処分が求められる。正しくは、焼却して残った灰は埋め立て処分。運搬も含めて県などの許可を受けた業者しか行えないので、所有する土地であっても勝手に埋めてしまうと法律違反となる。

所有する土地であっても勝手に埋めてしまうと法律違反
所有する土地であっても勝手に埋めてしまうと法律違反

産業廃棄物の処分について定めた法律は、その目的について「生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る」としている。

(福島テレビ)

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