いまだ激しく水蒸気を噴出している北海道蘭越町の地熱発電の掘削現場。

近隣住民からは「子どもたちが水遊びするので心配」など不安の声
近隣住民からは「子どもたちが水遊びするので心配」など不安の声
この記事の画像(12枚)

この敷地で採取した水から、飲料水の基準の1590倍のヒ素が検出されたことが分かり、近隣住民からは、「子どもたちが水遊びするので心配」「情報がなかなか流れてこないので、状況を見ていくしか仕方ない」との声が聞かれた。

蒸気の噴出から1週間 ヒ素検出に事業者は

現場は、札幌市から車で2時間ほどのニセコ湯本温泉近くの山中。

現場はニセコ湯本温泉近くの山中
現場はニセコ湯本温泉近くの山中

6月29日、地熱発電の調査で掘削作業をしていたところ突然、蒸気が噴き上がった。

6月29日
6月29日

蒸気が噴き出し始めてから1週間。掘削工事を行う三井石油開発は7月6日、現場敷地内で採取した水から、1Lあたり15.9mgのヒ素を検出したと発表した。

7月6日に発表
7月6日に発表

これは国が定める飲料水基準(1Lあたり0.01mg)の1590倍、農業用水基準(1Lあたり0.05mg)318倍に相当する。

長年、薬物などの鑑定を行う
長年、薬物などの鑑定を行う

この数値について、長年薬物などの鑑定を行ってきた専門家は次のように話す。

「この水を1L飲むと、15.9mgの濃度(のヒ素)が体の中に入ってくる」
「この水を1L飲むと、15.9mgの濃度(のヒ素)が体の中に入ってくる」

法科学研究センター 雨宮正欣所長:
この水を1L飲むと、15.9mgの濃度(のヒ素)が体の中に入ってくる。中毒量はだいたい5mgから数十mg、致死量だと100mgから200mg。これを100mL程度飲むと、中毒が起きるくらいの高濃度ということになります。

なぜ今回、これだけの高濃度のヒ素が検出されたのか。

「ヒ素はだいたい、鉄と一緒になって鉱物の中に含まれてる」という
「ヒ素はだいたい、鉄と一緒になって鉱物の中に含まれてる」という

法科学研究センター 雨宮正欣所長:
噴き上げている水自体、水脈がたまたまヒ素が大量に含まれている鉱脈に当たった。ヒ素はだいたい、鉄と一緒になって鉱物の中に含まれてるんです。

ただちに人体に影響が出るものではないとした上で、よく洗い流すよう呼びかけた
ただちに人体に影響が出るものではないとした上で、よく洗い流すよう呼びかけた

三井石油開発は「ただちに人体に影響が出るものではございませんが(中略)、水滴が皮膚に直接付着した可能性がある場合には、よく洗い流していただきますようお願いいたします」とコメントしている。

蘭越町は事業者に対し強く抗議を行い、早急に対策を講じるよう要請した。

(「イット!」7月7日放送)