子育て世代で利用者が急増「スキマバイト」 背景には?

札幌市内の生活介護事業所でヴィオラを演奏する猿渡美穂子さん。
猿渡さんは、東京音大を卒業後にドイツに留学。帰国後は、演奏家の夫と結婚し、札幌に移り住み、フリーの演奏家として活動している。

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猿渡さんは、札幌・南区で長男の周(あまね)くんと次男の希(まれ)くんと夫の4人で暮らしている。

猿渡さんには別の姿もあった。

札幌市南区にある「ノースサファリサッポロ」は、動物の自然な姿を触れ合いながら楽しむことができる人気の動物園だ。

その中で猿渡さんがスタッフとして働いていた。
こうした仕事をするきっかけはなんだったのか?

猿渡 美穂子さん:
コロナで演奏関係の仕事がまったくなくなったときに(友達に)タイミーで働くのがいいんじゃないかと勧められた

猿渡さんが使っているのは「タイミー」。
タイミーとは、働きたい人が自分の好きな時間に好きな場所で働けて、企業側は人手が欲しいときに欲しい時間だけ手軽に募集することができる、スキマバイトサービスだ。

猿渡さんは、本業の演奏の仕事の傍らタイミーを利用してアルバイトをしている。

猿渡 美穂子さん:
固定でアルバイトに入ると、演奏会が入ったからとかで休むと迷惑がかかるので、その点タイミーならば最初から空いているところに入れられるので心強いと思う

この日は、初めてのノースサファリサッポロでのアルバイト。
動物のフンの掃除やエサの補充などの仕事を付きっ切りで教えてもらっていた。

ノースサファリサッポロでは、2023年5月からタイミーを利用し始めて、1日平均3人ほどを雇っている。

ノースサファリサッポロ・小林邦啓さん:
大量に辞めて新しい人ばかりになったので、誰でもできる仕事をカバーしてもらえればと思い始めました。必要な時間に必要な人数だけという風に、こちらが欲しい時間帯だけ働いてくれるのも大きなメリット

タイミーの利用者数は、5年間で6.8倍の500万人まで伸びている。

北海道でも本格的にサービスが始まり、今では野菜の収穫やゴルフ場、遊園地など多種多様な仕事を選ぶことができる。

タイミー・荒川真志歩さん:
一番多い職業が会社員になっていて、年代が20~40代が非常に多く、お子さんを育てている人や、働きざかりの世代の人が非常に使ってくださっている

実際に会社員でタイミーをしている人はどのようなきっかけで働くことになったのか?

休日の4~5時間を"スキマバイト"

石狩市に住む菊池豪洋さん。妻のひろみさん(仮名)と長女のあかりちゃん(仮名)、長男のはるとくん(仮名)の4人家族だ。

菊池さんは、平日は会社で働きながらタイミーを使って副業をしている。 

菊池 豪洋さん(34):
(Q:タイミーを始めたきっかけは?)やっぱり生活費がかなり上がったのと物価高、あとは電気代が主にです

菊池さんの2023年1月の電気代。その額は何と5万円を超えていた。

さらに、副業を考えたのが子育てにかかる費用。長女のあかりちゃんは、バレエやダンス、体操の3つの習い事をしている。月謝や用具代などもかかるため、菊池さんはタイミーを始めた。

妻・ひろみさん(仮名):
やりたいと思っているうちが大事で、思っているうちにやらせたい。今までぎりぎりだったのが、余裕ができてほかの習い事にも回せるし、今まで私の分のお給料(パート)も全部使っていたけど、そっちがちょっとでも貯められるようになったので、その分パパが働いてくれると助かります

子どものやりたいことを親の都合で止めたくない。

その気持ちで菊池さんは副業をしていた。

菊池 豪洋さん(34):
(Q:歩きなんですね?)近くなので歩いていきます。(Q:ちなみにご家族は?)今家族は公園に遊びに行きました

家族のためにも大黒柱のパパはがんばっていた。この日のアルバイト先は、市内の宅配すし専門店だ。

タイミーではQRコードを読み込むことで出退勤を管理している。

菊池さんはタイミーでデリバリースタッフの仕事をよく選んでいるという。

菊池 豪洋さん(34):
一人で車に乗っている時間が長いので、自分に合っていると思う

人とかかわる時間が短いデリバリーの仕事はストレスも少なく、副業として合っているようだ。
勤務終了後はQRコードを読み取り、即日でアルバイト代が入金される。

菊池さんは2023年3月から休日の4~5時間をこうしたアルバイトにあてていて、1回の給料は約4000円だ。

菊池 豪洋さん(34):
結構体力的にはきついところもありますけど、元気に遊んでいるのでちょっと頑張れます

子育て世代に増えるスキマバイト。
その背景にあったのは、物価上昇の中でも子どもたちを笑顔で育てたいという親の深い愛情だった。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
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